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かわいい子には女装をさせよ!

作者: 月海海月

初めまして。よろしくお願いします。

 僕の名前は早乙女(さおとめ) 纏依(まとい)。女の子みたいな名前だけど歴とした男子高生だ。

 高校生になって早二ヶ月。学校にも慣れ、運動は()()()()苦手だけれど学業のほうは問題なくやっていけている僕には悩み事が二つある。

 一つは僕の第二次成長期が早々に終わり、身長もろくに伸びずさらに髭はもちろん体毛もほとんど生えてこない事。あそこの毛も未だに……。つまりは僕の見た目が中性的で女の子に間違われるのが悩みの一つ。

 もう一つの悩み事。それは……、実の姉だ。


 僕の姉さん、早乙女 姫子(ひめこ)は一つ上の二年生。成績は常に上位でスポーツも万能。さらには容姿も(弟の僕が言うのもなんだけど)長身で整っている。そのため姉さんの学年だけでなく新入生である僕達のクラスでもすでに話題になる程だ。

 そんな何処ぞの登場人物のようなスペックだけど、姉さんには困った、本当に困った楽しみが……否、性癖がある。それは、


「纏依ー! 今から買い物に行くから付き合いなさい」

「嫌! 行くなら一人で行ってくればいいじゃん」


 コンコンというノックの後に姉さんが用件、と言うか命令を言ってくるが、ただ買い物に行くわけがないのはわかりきっていることなのですぐさま断る。

 それに今日は嫌な予感がして事前に鍵も閉めてあるから、姉さんが諦めるまで部屋にいれば僕の勝ちだ。


 ガチャガチャと扉を開けようとする音が響くがすぐにそれも止まった。

 ふっ、勝ったな。


 ガチャン! …………と思っていました。


「ほら、早く着替えて買い物行くよ」

「ほら、じゃないよ! 何で普通に解錠してんの!」

「弟の部屋のピッキングなんて姉なら出来て当たり前よ」

「何処の当たり前だ何処の! それにプライバシー侵害だ!」

「ふっ、姉の前では弟のプライバシーなんて無いわ!」

「理不尽だ!」


 話は終わりとばかりに指をワキワキ、笑顔をニタニタさせながら姉さんがジリジリと近づいてくる。

 終わった。姉さんに接近を許した時点でもう僕に勝ち目はない。

 えっ、男なら力で勝てるだろって? 普通はそうだろうね普通は。けど片や運動が苦手で体格も一五五センチの細身と小柄な僕、片やスポーツ以外も万能完璧で僕より背が高く万能故に筋肉もしっかり付いている姉。ね、勝てないでしょ。


「さーて。今日はどんな服に着替えよっか? ふりふりスカート? ゆるかわワンピ? 久しぶりにゴスロリにする?」

「……僕の制服ってのはどうでしょうか?」

「だーめ。じゃあ、お着替えしましょっか」

「い、い、いやあああぁぁぁ……」


 僕の困り事。それは実の姉が弟の僕に女装をさせてくることだ。


~~~~~~~~


 ぬぼー……、ぬぼー……。


「全く。いつまでそんな魂が抜けたような顔してるつもりよ。かわいい顔が台無しよ」

「嬉しくないよ! 誰だってこんな格好させられて無理矢理連れ出されたら現実逃避ぐらいするよ!」

「いい加減認めなさい。あなたは可愛く変身(女装)する運命だと」

「そんな姐さんに弄ばれる運命なんて嫌だ!」

運命(私の着せ替え人形)……」

「ルビがおかしい!」


 あの後必死に抵抗したが、姐さんのハイスペックから繰り出された無駄に洗練された無駄のない無駄な着せ替え技術によってあっという間に女装させられてしまった。

 本当はこんな情報いらないと思うけど、なんか姐さんのプレッシャーが怖いから、念のために今の格好を説明しようと思う。

 上は半袖のホワイトブラウスで上から水色で薄手のショートカーディガンを羽織っている。下は花柄の膝丈フレアスカートにレディースのスニーカーだ。さらにはヘアアクセにバック、うっすらメイクまで施されている。

 なんか男のくせに詳しくないかって? 好きで詳しくなったんじゃない! 姐さんが説明しながら着替えさせるから知らないうちに覚えちゃったんだよ! あぁ、男なのにこんな格好してると再確認すると恥ずかしさを通り越して情けなくなってきた……。


「うぅ……」

「ちょっといきなり何泣いてるのよ……。化粧が崩れるから止めてよね」

「あんたは鬼か!」

「情緒不安定ね。周りの人から変な目で見られるわよ」

「うぐぅ」


 僕たちは今電車で十五分ほど乗った先にあるデパートの()()()エリアに来ている。そこら中から様々なBGMが流れているから、多少僕の嘆きの声が大きくても気にしている人はいないと思いたい。

 手を引く姐さんに連れられて目的の店舗に到着すると有無を言わさず僕を試着室に押し込め、姐さんは品定めに向かった。


「よーし、ゴールデンウィーク以来のまとちゃんの買い物だから気合い入れちゃうぞー!」

「……」

「まずは夏物をメインにして、時期的に清楚系もいいわね。私が着られる物も着せてみて。あっこの服も可愛い」

「…………」

「お客様。今年の夏はこちらがトレンドになっていますよ」

「そうなんですか。ならそれも試着してみていいですか?」

「はい、こちらなら妹さんにお似合いだと思います。どうぞごゆっくりお試しください」

「………………妹じゃないし……」


 今の僕は心を閉ざし姐さんが押しつける服に着替えては見せる、着替えては見せるを繰り返している。いっそ何かに目覚めてしまえばこの状況も楽しめるかもしれないが僕はまだ男として生きたいと思っているのでこの時間が早く終わるのを願うばかりだ。

 子供じゃ無いんだし逃げれば良いじゃんと思うかもしれないが、姐さんはそんなに甘くない。


 中学の時に逃げたことがあるけどその時姐さんはあろう事か館内放送で僕を呼びつけた。その時も女装させられていて当然着せたのは姐さん。だから上から下まで僕の容姿をわかっていてそれを全て放送するもんだからあっという間に周りの大人たちに見つかってしまった。

 それだけじゃなく当然名前も言うもんだから当時たまたまそこで買い物に来ていたクラスメートにも聞かれ、後に学校でからかわれた。幸いその後は服装については覚えてなかったので僕が女装していたことはバレなかったが、もしまた同じ事をされて誰か知り合いにバレると思うとこの状況で姐さんには逆らえない。完全にトラウマだ。


 それから一時間半。

 あれやこれやと僕を着せ替えていた姐さんは結局ブラウスとTシャツを一着、ミニのプリーツスカートとロングのフレアスカートを一着買っていた。当然僕の意見はない。


「いやー、やっぱりこのお店はいいわね! 学生に優しい値段でこんなに良い物が買えたわ」

「うん」

「あの服も可愛かったなー。でもこれと被るから比べるとやっぱりこっちよね」

「うん」

「やっぱり選んだ中ではこれが一番しっくりきたわね。じゃあ今度はこれ着て出かけようね」

「やだ」

「やだって言っても無理矢理着せるから」

「この人でなし!」


 弟に人権はないのか。昔の姐さんはあんなに優しく、やさしく……、いや優しくはないな。でも僕に女装させるなんてことはしてなかった。やるようになったのは僕が小六の時だった気が……。

 まぁ、そんなことはどうでもいいか。今はあの地獄の時間が終わったことを祝おう。

 姐さんとの約束で女装しているときに買う店は一カ所までと決めてあるから今日はもう試着せずに済む。そう思うと心が軽くなってくる。


「あっ、そう言えば買いたい本があるんだった。姐さん上の本屋行ってくる」

「それなら私も行くわ。今月のファッション誌まだ見てないから」



 本屋にやってきた僕らはそれぞれ目的の本を探しに向かった。

 早々に目的の漫画を見つけた僕はそれを手に取り、他に何かないかと何気なしに棚を見ては気になるタイトルの漫画やラノベを手に取っては戻すを繰り返していた。すると、


「あれ、早乙女君?」

「えっ?」


 女の子から声を掛けられた。

 振り返るとそこにはロングヘアーでメガネを掛けた僕より少し背の高い見覚えのある女の子。確か図書委員の……


「あっ、清水(しみず)さん」

「あれ?」

「……あっ! えっと、その」


 な、な、何してんだ、僕! 今の僕は女装してるんだぞ。それなのに何普通に返事してんだよ!

 このままじゃまずい。何とかして誤魔化さないと明日から学校行けない! な、なんて言い訳すれば……。


「えっと、こ、これにはある人の陰謀が」

「ご、ごめんなさい。人違いでした」

「えっ?」

「仕草? 雰囲気? がクラスの人と似ていたから思わず声を掛けちゃったけど、あの人が()()()こんな可愛らしい格好するわけ無いわ」

「は、はぁ」

「あわわ、と、とにかく失礼しました! 私ったら……妄想……似ていた……ブツブツ……」


 結局清水さんは僕が何か言う前に独り言を言いながら立ち去っていった。


「た、助かったー」

「何から助かったって」

「わっ、姐さん!」


 自分の用事が終わったのかいつの間にか姐さんが隣に立っていた。視線は去って行った清水さんの方を向いているからもしかしたら何かを察して来てくれたのかもしれない。それはないか。


「何って今クラスの子に出会って危うくバレるところだったんだから」

「その口ぶりからバレてないんでしょ。ちゃんとヘアセットと化粧もしといて良かったじゃない」

「うっ、確かにそうかもだけど! そもそもこんな事しなければ……!」

「まぁまぁ。そんなことより私は生地を買いたいからいつもの店に行ってるわ」

「そんなことって! ちょっと、姐さんったら!」


 この時、急いで会計を済ませ姐さんを追いかけた僕は彼女がまだ僕のことを見ていたなんて思いもしなかった。


「あれって、早乙女先輩……だよね……」


~~~~~~~~


 僕の男としてのプライドが減った日の翌日、月曜日。ただでさえ週の始めで憂鬱なのに僕は清水さんのことが気がかりでさらに気が重くなっている。

 もし清水さんが気付いて僕が女装野郎だと広めていたらもう学校には行ける気がしない。そうじゃなくともこれをネタに下僕にされてしまうかも。あぁ憂鬱だ……。


 しかし、どうやらそれは僕の思い過ごしだったらしく僕の女装が噂になることも誰かからこれをネタに脅されることも無かった。


 次の日もまた次の日も何もなくやっぱり清水さんにはバレなかったんだ、あー良かった、と思っていた次の日、木曜日の放課後。


「あの、早乙女君。この後ちょっと時間あるかな?」

「! な、何かな清水さん」

「うん、お話があって。図書室まで来てくれない?」

「えー、あの、ちょっと、その」

「ダメかな?」

「……行きます」


 まだ教室に残っていた何人かが告白かー! キャーキャーと騒いでいるけど、僕は今それらが聞こえないくらい混乱している。

 なんで呼び出された。バレたのか。ならなんで月曜じゃなく今日なんだ。ただ用事があるだけかも。ダメかなって言ったとき可愛かったな。本当に告白かも。脅されて下僕にされるんだ。女装してるのがバレたのか。

 頭の中で色んな事がぐるぐる回っている。すると清水さんが立ち止まった。考えている内に図書室に着いていたようだ。


「ここなら誰も来ないかな」


 わざわざ誰も来ないとこに呼ぶなんて。


「急に呼び出してごめんね。どうしても確認したいことがあって」


 これはもうバレてるかもしれない。


「あのね。この前の日曜日に隣町のデパートにいなかった?」


 やっぱり気付かれたか。でも、でもまだ誤魔化せるかもしれない。


「女の子の格好して」


 あっ、終わった。


「さ、早乙女君、大丈夫?」

「何のことかな!? 確かにそのデパートには行ったけど、女装なんてするわけ無いよ!」

「あ、そ、そうだよね」


 そう言うと清水さんはガッカリしたような、しゅんと落ち込んだような気がした。つ、強く言い過ぎたかな。

 そんな姿を見たからか僕のつい聞いてしまった。


「なんでそんなこと聞いたの?」

「あの日ね。早乙女君と似た声と雰囲気の女の子が早乙女先輩と歩いてたのを見かけたから誰なんだろうと思ったの」

「……早乙女先輩。姐さん!」


 あの後帰ったと思ってたけど、まさか見られていたのか。くっ、何か言い訳しないと。


「それは多分親戚の子で」

「早乙女君に聞くのはなんか後ろめたくて、先に早乙女先輩に聞いたんだけど、そしたら弟に聞けって」


 何やってんだよ、姐さん!


「本当はすぐに聞こうかと思ったんだけどなかなか言い出せなくて。今になっちゃって」

「……」

「でもそうだよね。いくら早乙女君が女の子みたいな顔してるからって女装なんてするわけ無いよね」


 泣いていい?


「あはは、ごめんね。あまりにもあの子が私の妄そ……、んんっ! 考えてた人に似てたから」

「そ、そうなんだ」

「本当に早乙女君じゃないんだよね」

「そ、そんなことあるわけ無いよ! 僕がスカートなんて着るわけ無いよ!」

「! そう、だよね。わかった。ごめんねこんな事聞いて」

「じゃ、じゃあ僕は行くね」

「うん、じゃあね……」



 急いで図書室を後にして部屋に戻った僕はやっと一息ついた。


「ふぅ、逃げるように帰ってきたけどバレてないよ、ね」


 清水さんから呼び出されたときは終わったかと思ったけど、清水さん自身も確信は持ってないから姐さんや僕に直接聞きに来たんだと思う。それを僕が否定したからこの話はおしまいだろう。


「いやー良かった良かった。でも今度からはもっと変装しないと誰かに見られたらバレるかも……、って何でまた僕が女装する前提のことを考えなきゃ行けないんだよ!」

「纏依うるさーい」

「誰のせいでこんなに悩んでるとは思ってるんだ!」

「うるさいって!」

「理不尽!」


 次の日学校に行っても噂になることも清水さんに呼ばれることもなかった。これでようやく僕は安心して普段通りの生活ができる。はずだった。


 何もない休日を過ごした土曜日が終わった次の朝、朝食を済ませ姐さんから逃げて部屋にいた僕は家の呼び鈴が鳴るのが聞こえた。


「姐さんまたなんか買ったのかな? もしかしてまた僕の服だったり。むっ」


 なんて考えていたら何だか嫌な予感がする。これは間違いなく姐さんがらみだ。


「早く隠れないと!」


 とは言っても鍵が意味ないのは前回確認済み最早家にいる時点で逃げ場など無いのでは、なんてアワアワしながら考えているとあの足音が僕の部屋の前で止まった。


 ガチャン!


「纏依入るわよ」

「入ってこないで! あと平然と鍵開けないで!」

「まぁまぁ。とにかくお着替えしましょうか」

「唐突すぎる! 買い物は先週行ったばっかじゃん」

「今日は買い物じゃないわ。まぁ私は行ってもいいけど。いいからさっさと着替えるわよ。拒否権はなしね」

「理不尽だ!」


 抵抗しても次々と着せ替えられていく僕は女装し終わった後に気付いた。

 今来てるのは先週と同じ格好だった。同じ服を使うことはあっても上下とも同じでしかも先週と同じにするなんてこと今までなかった。


「姐さんそんなにこの服が気に入ったの?」

「確かにその服は似合ってるわ。でもそれだけじゃないの」

「な、なんだよ」

「さてと早く私の部屋に行くわよ」

「えっ! 何すんのさ、わざわざ姐さんの部屋に行くなんて」

「いいから早く来なさい」

「もう、何なのさ」


 さっさと自分の部屋に行った姐さんの後を追い、部屋に入った僕はその中にいた人物を見て意識が止まった。


「じゃじゃーん! これが女装した纏依の姿よ!」

「はうぅ、私の理想通り。と、尊い……!」

「そうでしょうそうでしょう。私が何年も仕込んだんだから」

「流石です!」


 仲よさげに話し合う二人。一人は当然この部屋の主、姐さんで問題なのはもう一人の方。


「な、なんで……清水さんが……」


 何とかなったと思っていた彼女、清水さんが部屋にいて、両手で口元を覆いながら恍惚とした表情をしてらっしゃる。


「いやー私も何とか誤魔化そうとしたんだけど、纏依がやらかしたって聞いてこれはもう無理かなって思ってたんだけどさ」

「やら……かした……」

「あんた自分でスカート履いたって言ったでしょ」

「えっ! ……あっ」

「女装したか聞いたけどスカートの事は言ってないのにあんたが言うから確信したって言われてさ」


 はは、何自分からバラしてんだ僕は。


「で、もし纏依の女装が噂になりでもしたら私も困るから彼女消そうかなって思ってたんだけど」

「そ、そんなこと思ってたんですね。素直に話して良かったぁ」

「そう、話してみたらどうやら彼女、私の同類なのよ」

「同……類……」


 姐さんの同類って何だ。清水さんは成績良さそうだし可愛いとは思うけどスポーツは僕と同じく苦手そうに見える。

 と言うとファッションに詳しいって事か?


「そうなんです! 私前から早乙女君の事可愛いなぁって思っていて、可愛い服着せたいなぁって妄想してたんです!」

「その話を聞いたら私も嬉しくなっちゃってさ。今まで家族以外で話せる人なんていなかったからつい盛り上がっちゃって。ねー」

「はい!」


 あっ、これ同類だわ。そしてさっきから嫌な予感がどんどん膨れ上がっていく。これもしかしなくてもここにいるのマズいんじゃないか。

 すると立ったまま話していた姐さんがすっと移動して部屋の鍵を閉めた。

 ヤバい! 僕の警鐘がガンガン鳴ってるのに気が動転してるからか体が動いてくれない。猛獣(姐さん)と密室にいるだけなのに危険なのに、ここにはその同類がもう一人いる……!


「で、話していく内に、なら今度家でやろうと言うことになったのよ」

「はい、それでお呼ばれされちゃいました」


 ギラギラした瞳でとても良い笑顔を浮かべた二人が僕を見つめている。今なら蛇に睨まれた蛙の気持ちがわかる。


「や、やるって何をするつもりなのさ!」


 やっと口から出た言葉は緊張からか大きくなってしまった。だが二人はそんなこと気にも止めていない。


「そんなの決まってるでしょ」

「はぁ、妄想がかなうんですね」

「じゃあ、纏依……」

「早乙女君……」


 ジリジリとにじり寄ってくる二人の手にはいつの間にか女物の洋服が備えられている。


「「お着替えしましょうか」」

「い、い、いやあああぁぁぁ……」


 僕の名前は早乙女 纏依。

 僕には悩み事が三つある。

 一つは自分が中性的で女の子に間違われること。

 もう一つはそんな僕を姐さんが無理矢理女装させてくること。

 最近増えた最後の悩み事は、


「おはよう、纏依君♪」

「げっ、清水さん! なんで僕の家に」

「先輩が呼んでくれたの」

「来たか、文香ちゃん。じゃあ早速始めるか」

「そうですね! 今日も楽しみです!」

「あのー、僕に拒否権は」

「「ありません」」

「理不尽だ!」


 クラスメートの女の子が姐さんと一緒に僕を女装させてくることだ。


「「さぁ、お着替えしましょうねー」」

「い、い、いやあああぁぁぁ……」

お読みいただきありがとうございました。

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