無意識の中の懐古
記憶が途切れて、目が覚めたらこの状態と状況。
頭が痛い。
俺の携帯や財布は…
動く方の手で
触れられるとこを触れてみる。
財布はあった…
携帯は…
ある。
上着のポケットに。
強盗に遭ったわけではないようだ。
俺は
そのまままた
気を失った。
深い眠りと言う名前の、失神。
俺は、子供の頃、
かなりのガキ大将で、
小学校の頃から高校を出るまで、
喧嘩ばかりしていた。
勝つことの方が多かった。
負けることもあったが、大抵は勝つ。
小学校の高学年の頃には、
仲間を引き連れて万引きしたり、
学校のトイレを詰まらせたり、
屋上からプリントを撒き散らしたりしては、
慌てる大人をみてはおかしがり、
後始末に追われる姿を、笑ってみていた。
叱られている間も、ニヤニヤしながら、
まったく話を聞いていないような状態で、
それが、面白かった。
自分に向かって怒っている大人の、
真っ赤な顔が、面白くてたまらなかった。
担任の女の先生は、
病気で途中からいなくなった。
別にその先生が嫌いで、
そんなことをしていたわけではなかったが、
『心の病』らしいと、母親が言っていた気がする。
中学校の頃は、大人はもうなにも言わずに、
無視するようになってきたので、
面白くなくなって、退屈しのぎと刺激は、
弱そうなやつ、不器用なやつ、生意気なやつ、
とにかく、俺に何かしてきたわけでもないが、
俺がイラッとした、という理由で、
いろんないたずらや嫌がらせをしては、
面白がっていた。
高校になると、それにも飽きてきて、
今度は女の子で遊ぶことを考えた。
2ヶ月単位で彼女をかえて、
3人くらいは同時進行。
女の子同士が喧嘩するのを見ては、
腹のなかで笑っていたし、
俺に怒りが向けば、脅すか無視するかで、
大抵は縁が切れた。
高校三年になって、
進路をどうするかと言う話になり、
俺の学力でも行ける大学に、
進学することにした。
家はそこそこ金があったし、
俺には弟がいたが、子どものいない叔父夫婦が、
養子にとっていたので、独りっ子同然。
勉強は嫌いだったが、成績は中程だったので、
二流の大学に入った。
そこで、嫁になる女と出合った。
大学4年の夏に、向こうから突然声をかけてきた。
前から気になっていたんです、
あなたのこと…
付き合ってる人とかいますか?
当時、めんどくさい女と別れたばかりだった俺は、
そこそこかわいいけど、それほど好みでもない、
でも、断る理由もない、ということで、
付き合うことにした。
和海。
それが、嫁の名前だ。