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『新天地ケイロンを目指して』  作者: 牧主計
*序章* /道徳なき商業(CwM)/
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 2050年 

 

 時代は人工知能の発達により、あらゆる産業が機械化されつつあった。

 

 都会では、ロボットによる生産・出荷・物流、犯罪監視・抑制、に対応するため二重化構造の市街地に整備されている。

 

 地上は人類が住む居住区と芸術活動が行われる芸術特区で構成。

 

 地上の移動手段は反磁石道路が拡張されクリーンな移動路。

 

 上層区と名付けられた地上から浮遊する地面階層が作られロボットの稼働区。

 

 上層区は全面を人工的な地面が覆うわけでなく、ロボ稼働用の細い道路が何本も交差するような網目面。

 

 郊外にはロボ稼働道路に連結する形で物流倉庫、その先には生産工場が連なっていた。

 

 生産工場は、家電製品や日常品のみならず、農作物、魚の養殖なども管理。

   

 貨幣は労働の対価に変わりはないが、国営企業所属の人口知能とロボットによる仕事の報酬を分配する共存国家に移行。

 

 先進国では、人口知能に統制されたロボットの工場管理、生産・出荷、物流管理・発送が高度な機械化によりシステマチックに完結。

 

 機械化された国営企業により、国民は機械化都市以前の中流階級並みの衣食が提供され、先進国では、機械化社会が発達するに従い働かなくても過度な貧困がない新時代に突入していた。

   

 生きていくことに安定した中流的な保証が与えられたとき、人はさらに働いて貨幣を取得して物欲を満たす生き方を放棄しつつあったのである。

 

 人が活躍出来る場所は、人に感情を与える芸術分野。人の限界に挑むスポーツ分野。そして、人口知能にはできない分野として発想を求められる発明家や研究者の世界がヒューマンワークとなっていた。

 

 上記の3分野に望む生き方こそ意義深い生涯であるという価値観がメディアを踊った。

 

 発明家・研究者、芸術家・スポーツ選手の成功者は至福の名誉と階級が与えられる。

 

 ただ、ほとんどの人は凡人。

 

 簡単な生きがいを求め、他者との差別化を暴力に求めたり、宗教戦争・人種闘争などの精神的闘いを試みて自己満足を求めようとするものも少なくなかった。

 

 法規違反は人工知能警備システムにより、すぐに犯人が判別され鎮圧され、法規違反者は人工島に島流しされて自給自足の生活をおくり、その島流し生活状況はライブ中継され見せしめとされた。

 

 そのため都会での法規違反者は減少されていたが、人権違反という声は報酬共存社会では声にならない声として処理され、凡人として生きる人々の”人間としての活動意欲”も減少していった。

   

 そんな都会の機械化が進む中、地方圏との生活する上での地域格差が止まらない。

 

 地方都市における貧困は解消されていたが、地方都市は機械化を許されず自然都市としての役割を法律により定められていた。

 

 都会は機械化が進みほとんど自然といえる緑がなくなったため、自然圏の維持が地方権に対する表向きの名目であったが、実際は都市圏に住む凡人に属する人々の卑下する対象を求めていたからである。

 

 地方においてもロボット報酬の分配はあるため生活に困らないのだが、働くという生きがいを喪失されていたため、研究開発、芸術とスポーツの成功を夢見て若者の都市への人工流出が止まらずにいた。

 

 いつしか、都市圏と地方圏のあいだには国内移動を制限する関所が設けられる。

   

 世界の機械化先進国において国家内部の懸案事項は上記のような問題に悩まされていた。

 

 各国は凡人と区切られた人々の生きがい問題を早急に解決しなければならなかったのである。

 

 人類の新たな生きがいと好奇心を宇宙開発事業にシフトさせようと7国が手を結び、宇宙国家7zが2050年春に樹立された。

 

 7カ国は、アメリカ、ロシア、中国、EU、インド、カナダ、日本・韓国連合。

 

 それぞれの国から資金は出資するが7zは自治権が確立された連邦国家であることが了承されていた。

   

 宇宙都市及び恒星間航行50年計画が7z樹立と同時に発信された。

  ①地球外郭都市の建造のため、月の資源採掘・利用。

   ②星間航行するための技術の開発、恒星エネルギーの備蓄。

   ③宇宙政府は国境を越えた技術主導の国を目指すため、技術開発者を組織の頂点とする。


 7カ国の住民は、この2050年を宇宙世紀元年とする新たな幕開けに人類の未来を予感して歓迎していた。

 

 ただし、南アメリカと中南米、東南アジアと豪州、アフリカは、自然国として位置づけされ、機械化の波と宇宙産業の流れから遠くにいたのである。

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