お題「物欲センサー」
突然だが、前のお話で察した人がいるだろうが家事全般は俺こと南海求がやっている。
本来ならば女子である命がやっているであろうことを俺がやっているというのは何もおかしいことはなくむしろ当然ともいえる。
別に命が家事ができないだとか家事を任せたら火事になるだとかそう言ったことはない。
命はあれでいて多才だ。
それならばなぜ俺がやっているかと言う疑問に答えると多趣味だからだ。つまり家事全般も俺の趣味だからだ。という結論になる。
そんな俺の趣味の一つにゲームという物がある。ゲームは面白い。
なにが面白いって、アイテムを集めるという概念が存在することだ。
しかも簡単には手に入らない。
確率だったり、ミッションの報酬だったりする。
なんでもすぐに手に入る現実とは大違いだ。
この事をあまりゲームをしない命に言ったら『はっ、ドMかよ』って言われたけどな。
今はモン○ンというゲームにはまっている。モンスターを倒して武器を作るゲームなのだが、なかなか欲しいアイテムが出なくてつい何時間もやってしまう。
特にレアアイテムだったりすると1%とかの確立でしか出ない。今集めている銀○竜の逆鱗っていうアイテムもかなりの低確率だ。
ちなみに命は珍しく今ゴミを捨ててくるとか言って外出中だ。
「ん?なんだお題が来ているのか……なになに? 『物欲センサー』?」
その時ガチャと扉が開く音がして命が扉から入ってくる。
「お題がきているのか。今回のお題はなんだい?」
「『物欲センサー』だってさ」
「ふむ『物欲センサー』……ね。なんでも手に入る僕達にそのお題を送ってくるなんて捻くれているとしかいいようがないね。どうやってそんなお題クリアすればいいのか……」
「そもそも『物欲センサー』ってなんだ?」
命に聞いてみると命は、はあ? こいつ何言ってんだ?知らないのか? みたいな顔をしたあと呆れたように説明をしてくれた。
「『物欲センサー』ってのは欲しいものほど手に入らなくなる症状の名称だよ。たとえばゲームなどで普段普通に手に入っていたアイテムが必要になった時に限ってまったく手に入らなくなるときとかに『物欲センサー』が働いている。とか言うんだよ」
「なるほど、確かにそういった症状はゲームをやってると頻繁に発生するぜ。あれは『物欲センサー』だったのか……」
「そういうことだね。じゃあ僕はちょっと疲れたから自室で仮眠取ってくるよ。そのお題は僕には到底無理そうだし。まだゲームをやっている求ならなんとかなるだろうから頑張ってくれ」
「おいおい、ゴミ捨てしに行っただけで疲れたのかよ。普段からこういう事しないからだぜ?」
命は少しだるそうにしながら自室に戻っていった。
あの様子を見る限りそこまで疲れているようではなかった。
慣れないことをしたから消耗しただけだろう。心配するほどではないようだ。
「さてお題の件については俺がゲームやってれば解決するだろ」
その後求は6時間ゲームを続けたが銀○竜の逆鱗は出なかった。