お題「腹巻に初期のPS3入れれば冬場最強の暖房器具になるんじゃね!? あわよくば好きな女子にお腹触ってもらえるチャンスもできるじゃんスゲーじゃん!」
「はぁ……今日は寒いな……」
そんな冷え込む朝、命はリビングに向かう。リビングにつくとしゃがみこんでなにやらごそごそしている求の姿があった
「求、なにしてるの?」
求は体制を変えず、満面の笑みで命のほうを向くとこう答えた。
「いやーP○4が発売されたし長い間お世話になったP○3をどうにか活用できないものかと考えていたのだけれど、こいつ直ぐ熱くなるからさ腹巻の中に入れれば暖かいんじゃないかなと思ってさ。しかもこれで登校すれば女子に触ってもらえるチャンスじゃん!」
「……もはや突っ込みどことしかないのだけれど……まず、僕達は学校なんて行ってないしこの世界には僕達以外の生命体は存在しない。ついに現実と2次元、もとい別次元との区別もつかなくなったのかい……? さらに突っ込んだ質問をするならコードを差していない状態でその機器の温かさをどうやって保つつもりなんだい?」
「それは冷たくなるたび充電すればいいじゃないか」
「第一直ぐに充電できる場所があるものでもないし、大体充電できるところというのは暖かいものだろう。と言うよりその大きさのものを持ち歩くのはいささか不便だと思うのだけれど」
嬉々として話す求に命はその機器の正当な使い方を伝授する。
「大体その機器はゲーム機だろう? つまりゲームをするために存在しているわけであって決して暖房器具ではないんだよ。大体暖房器具ならカイロとかいろいろあるだろう」
「じゃあこの使わなくなったP○3はどう活用すればいいんだよ。これは俺の能力で作ったものだけど知ってる通り消すことは出来ないし、できるだけ作りだしたものは大切にする約束じゃないか」
「確かにそんな約束だけれど、今そこにあるのはゴミだ。いいかい? 物の価値と言うのは需要によって決まるのさ。炭と変わらないダイヤが価値が高いようにね。つまりそこのある需要のなくなった場所をとるだけの機器はゴミというわけだ。さっさと粉砕して地面に埋めるなり宇宙に飛ばすなりして場所を空けなよ」
「ま、待ってくれよ! 見ろ! この黒光りするボディ! プレイするのに十分なスペック! まだまだこいつは現役だぜ!? レトロゲーに使ったりするしさ!」
求は焦った顔で弁護をする。
「求はそのレトロゲームをプレイしないから腹巻暖房器具としての用途にたどり着いたんじゃないのかい?」
「ほ、ほらオブジェとしても使えるし、なんなら俺の部屋に置いておくからさ!」
「ふぅん……それならいいけど……僕達は創造主を通じてあちらの世界の生命体に見られているんだ、あまり馬鹿な行動は控えなよ」
「……ああ、わかってるよ……って、え? もしかして今のも見られてた?」
「うん、ばっちりと見られているし、ちゃっかりと伝えられているね」
「うわあぁ~マジかよぉおおおお。くっそ! 今回はこれで終わりだ終わり! この言葉を言えば終わるしかないだろ! 知ってんだぜ!」
求の言葉に反して引き続き観察を続けることはいくらでもできるのだけれど、今回は求の羞恥心に免じてこれで終わろう。
それでは彼らの生活に平穏が続くことを祈って……。