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お題「昨今の俺TUEEEE主人公の在り方について」

「ねえ求、チート系主人公ってどう思う?」


命は寝ころびながら求に質問を投げかける。


「ああ? それを命が言うかね、自称チートさんよぉ。確かにチート系主人公は見ていてかっこいいしとても目立つ。しかしそこが欠点にもなりうるな」


求はキッチンで洗い物をしながら命のほうを見ずに答える。


「なるほど、それじゃあ最初は弱くて努力で強敵に勝つ物語のほうが好きなの?」


「そうだな。俺としては力の弱い主人公が努力をして強敵に勝つ。十分共感足りえるし好きだぜ」


「でもそれってさ、弱者は努力しなければ強敵には勝てないっていうことだよね? 鬼のようなつらい特訓をしてやっと強敵に渡り合えるってことだよね? 努力したことのない僕が思うに努力するっていうのも大した才能だと思うんだけどね。つまりそういった作品は強者が勝つ。負けたくないなら努力しろ。努力もできないやつは落ちこぼれだ。っていうことだろ?」


「努力はすることに意味があるのさ。努力をしない命さん。努力は結果じゃないんだぜ」


「ふぅん……じゃあ求は日々こそこそと僕に勝とうと努力しているわけだけれど、僕に勝つことができるのかい?」


命は挑発的な目で求を見る。


「努力は結果じゃないと言ったけれど、俺は努力の成果は出ていると確信している。命に負けるとは思わないね」


「そう、それじゃあ少年漫画よろしくバトルでもしてみるかい? いつも通り僕がどれだけ怪我をしても外にでたら元通りな便利空間を創造してやるからさ」


その発言自体がチートだろ。と思いながらも求はエプロンを脱ぎ捨て挑発を受ける。


「ああ、いいぜ! ルールは相手を戦闘不能にすること。武器や能力は使い放題でいいな?」


「僕が本気をだしたら3秒で終わっちゃうから、最初は武器だけで相手してあげるよ」


命が立ち上がり手を頭の上に掲げると生活空間から一変し、真っ白なドーム状の空間へ変貌した。


「チート能力は基本、縛られているものだしな。これくらいのハンデで礼は言わないぜ」


求は目の前で腕をクロスし振り下ろすと、二対の剣を構えた。


「双剣って基本強キャラが使うよね」


「それは意識してなかった。双子だからなこれがいいと思っただけだ」


「二人で戦うならまだしもお互いに敵な今それは別にいいと思うんだけど……本当はスナイパーライフルとか使ってみたかったんだけど僕もそれに乗るとしよう」


命はそう言うと手のひらを上にして下した腕を上げた。その動きと連動するように地面から台座に飾られた二対の銃が現れた。それを手にとると命はうーん、これでいいか。というと求のほうを見て言った。


「よーい……ドン!」


命はドンの合図で求に銃を発射する。しかし求はそれを紙一重で避け命に接近する。


「おい! ずりーぞ!」


求の連撃を命は難なくかわしながら剣を振り下ろしたタイミングで銃を頭めがけて放つ。しかし紙一重で避けられる。何度も剣を振るが一向に当たる気配がない。


「チッ! 当たる気がしねぇな。そのくせ涼しい顔しやがって……」


求は命に聞こえない声でつぶやく。命はなにか言っていることはわかったようで


「随分苦しそうだね。僕も双剣にしようか?」


命は求の連撃を避けながら言う。


「いらねぇよ! 壁!」


「うわっ!」


交代しながら避けている命は突然背後に出現した壁に当たり動きが止まる。


「(ふぅん、避けられるなら動きを制限して逃げ場を無くそうって考えか・・・だが甘い!)」


命は求の右の剣での横ふりをしゃがんで避け、左に避けた。そして横ふりでがら空きになっている背中に弾を撃つ。


「壁! 壁壁壁壁壁壁壁壁壁!」


求は命との間に壁を生成して弾を防ぐ。それと同時に命の足元から壁を作り出し攻撃する。命はそれを後ろに跳びながら避ける。しかし避けた先には扇形に壁が生成されており命の動きが止まる。


「終わりだ! 球ぁ!!!」


命の頭上に巨大な岩の球が生成されその球は自由落下で命に向かって落ちる。










……ということはなく球は命の頭上でふわふわと浮いたまま落ちてくることはなかった。


「今のは危なかったな。今は無重力空間だ。あの球が落ちることはないよ」


「しかし! 逃げ場は無い!」


求は自分の後ろに壁を作ると足場にして命に向かって跳んだ。


「解除」


命が前に踏み出しつつそういうと求は勢いよく地面に打ち付けられ数メートル滑った。


「ってぇえええええ! 何てことしやがる!」


「いやいや、普通こうするだろ。てかバトル中だし痛いとか言われても」


命は求に近付きしゃがんで顎に手を置きそう言う。


「不用意に近付いたな!? 隙ありっ! ……あれ?」


求がそう言って攻撃しようとするが四つん這いになった体制から少しも動くことはできなかった。


「底なしの泥沼だ。求は動くこともできず飲まれていくのさ。戦闘不能にしたから僕の勝ちだね」


「くっそ! 腕が抜けねぇ! ええっと、気球!」


求は自分を引き上げようとするが命が気球を打ち抜き、させない


「諦めなよ。なんのために近付いたと思ってるのさ。変な行動したらすぐに対処できるようにするためだよ」


「いや! まだだ! 俺が沈み切る前に命を倒せば勝ちだ!! 球」


求が能力を発動しきる前に命は求の眉間を打ち抜いた。


「全く。これを見ないために降参を促したって言うのにさ……なんで弟の死体なんて見なくちゃいけないんだよ」


はあ、とため息をつくと命は便利空間を解除し生活空間に戻した。


「てめ! 何てことしやがる! 一回死んだじゃねーか!」


求は足音を盛大に立てながら命に近付く。


「求が降参しないからだよ。それに今生きてるんだからいいじゃない」


「そうだけどよ……」


どこか納得のいかない顔をする求である。


「ともあれチートである僕が勝ったっていうことはやはりチートが一番ということだな?」


「いやちげ―だろ。要は戦い方や流れによるってことだろ」


「ふむ、まあそうだね。さっきの戦いを少年漫画だとするなら僕は二回目の戦いで敗れる敵キャラポジションだしね。僕は負けないけれど」


「うっせ、次は勝つからなぁ」


「楽しみにしておくよ。それじゃあまた、機会があれば」


「俺は洗い物があるしな。じゃあな」

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