表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/32

 ラーゲリからの帰還者

<書き出し>

 あれは昭和23年6月03日の事だった。


その日は雨が降っていた。

自分はシベリアのラーゲリから、ようやく故郷の生家に帰還した。

家族を驚かそうと、自分は玄関の戸をそっと開けた。

玄関には沢山の履き物が揃えてあった。

人が集まっている様子だ。

自分が今日、帰還して来る事を誰が知らせたのだろう。


 線香の匂いがした。


自分はフスマをほんの少し開けて部屋の中を覗いた。

集まって居る人は全て喪服を着て居る。

そして肩を落として俯いている。

・・・泣いている人も居る。

自分は奥の仏間を見た。

仏壇には生花に囲まれた「白木の箱」が置いて有った。


 白木の箱の上。

  自分の出征の時の写真が載せてある。


自分の葬式をやっているのである。


   自分は死んで居るのである。


そっと襖を閉めました。

自分は帰って来てはいけなかった。

今、帰ったら自分は幽霊になってしまう。


喪主は自分が大嫌いだった義理の弟だ。

義理の弟は自分が死んだ事を喜んでる筈だ。

この家の相続はあの義理の弟が全て継ぐ筈だ。

自分はこの家の周りには近づいてはいけないのだ。

たとえ幽霊に変わっても。


 自分は帰って来ては、いけなかったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ