シュールレアレスム
<書き出し>
また、このアモーレの砂浜に来てしまった。
砂浜は一面の浜木綿が咲き乱れている。
岩には桜貝の音符が不連続に張り付いている。
私はその咲き乱れた浜木綿を観ながら、不連続に張り付く桜貝の音符を砕いて行く。
周囲からオーケストラの様な波の音が聞こえて来た。
波は怒りに満ちた音を岩と岸壁にぶち当てる。
ショパンの幻想即興曲だ。
波はその旋律を描き、桜貝を舐め尽くして転調しながら引いて行く。
今日は大潮である。
オーケストラの波は朝日を浴びて、遠くに浮かぶ「ヨットの指揮者」の元に集まる。
誕生から始まり、少しずつ老いて行き、病いに蝕まれ、そして最後は引き波と成って大海に消えて逝く。
砂浜に打ち上げられた縛られた船。
まるで私の様だ。
私は洞窟に向かった。
・・・洞窟の壁は一面の桜貝の音符で埋め尽くされている。
洞窟の出口からあの大海が見える。
転調されたおとなしい波に変わっている。
苦しい時は嘆き悲しみながら洞窟の中で吠え、楽しい時は、はしゃぎながら砂利と戯れる。
青い空には入道雲。
砂浜には難破した船。
崩れそうな砂山が見える。
まるでアリ地獄が反転した様な砂山。
蟹の兵隊がこの砂山に登ろうとしている。
兵隊達は爪を振り上げ友を呼んでいる。
この崩れる幻想の様な砂山の先には何が待っているのだろう。
幻聴の波音と錯覚の砂山。
この妄想を辿ってオマエも私と一緒に生きて行け。
私はまたこの砂浜の舞台で、オーケストラに合わせ、大声で歌った。
「ラッパパ、トンテン、トントンカーン・・・」




