死刑囚
<書き出し>
私(村山丈志)は村人達を毒殺した死刑囚だ。
判決の後、五年が経過した。
そろそろ執行の時期が近づいていると、私もウスウス感じて居た。
その夜、奇妙な夢を見た。
川の無い河原に無数の人が石を積んで居る。
積み終わると石はひとりでに崩れて行く。
また、積み上げる。
ようやく積み終えて、立ち去って行く人が居る。
私もなんとか積み終え、後に続いた。
川(三途の川)が見えて来た。
川は真っ赤な血の色をしている。
川の手前には川を渡す為の荒縄が一条のびている。
石を積み終えた人がその荒縄に一列に掴まって少しずつ前に進んでいる。
荒縄の先には二人の熊の様な男が『割り箸』を配っている。
橋が見える。
橋の下にはヒト一人が乗れる『タライ舟』が浮いいる。
橋を渡る人が見える。
橋を渡る人は割り箸を握っている。
タライ舟に載る人が見える。
タライ舟に載る人は割り箸の片方だけを握っている。
血の川を泳いで渡っている人も居る。
その人は割り箸の不自然に割れた片方を握っている。
その川の向こうに、『針の山』が見えた。
針の山を血だらけになりながら登って行く人が見える。
山の頂上まで来ると、その先は暗い井戸の様な奈落の底である。
熊の様な大男が、登り終えた人を蹴りあげ、井戸の底に落として行く。
落とされた人はクルクルと回り、首、胴、腕、足が外れて行く。
途中、木の枝にバラバラに成った躯が引っかかって居のが見える。
その木の枝に私の首があった。
私の首は飛んで来たカラスが咥え、鉄格子の今居るこの獄舎の中に置いて行った。
その朝、私は看守に起こされた。
「34番、村山! 朝食だ」
朝食はいつもと違うものだった。




