選択エピソード 都麻理
僕は事件を思い出さなかった。
でも都麻理は僕の前から消えてしまった。
都麻理は知っていた僕が事件を思い出さなくても
自分が幸せになりその絶頂時に自分の思念は成仏という終焉を迎える事を。
だから、もう、この世界に都麻理はいない。
僕は現世にも戻れない思念体となり
現世の肉体は経過により駆逐する。
時間の感覚は分からない。
この世界の1日が現世の何日なのか、何秒なのか
と、そこのベンチに腰掛けた男が教えてくれた。
男は自分の名をカルマと名乗った。
頭のてっぺんから爪先まで黒色だ。
帽子、サングラス、マスク、マフラー、スーツ
手袋、靴下、革靴
よく見ると実体が無いように見える。
カルマはゆっくり立ち上がると僕に語りかける。
「近づいても大丈夫かな?
、、、
やっと落ち着いたか。いきなり飛びかかり首を絞められたからな。」
真二「当たり前だ。都麻理のいない世界を受け止める事なんて出来るかよ!
ただあんた何か知ってるんだよな?
僕が都麻理を救う方法をさ。」
カルマ「、、、ああ。でも救われない。
全部は救えない。少なくとも君は消滅する。」
カルマの話はこうだ。
思念体の僕は一度だけ少しの時間だけなら実体化する事が出来る。
カルマが事件当日へ僕を連れて行き、実体化した僕があの事件を未遂に終わらす事が出来れば未来は変わる。
ただし僕は消滅する。
僕に関わった全てが消滅する。
あの事件から今までの僕は消滅する。
少し悩んだふりをしたが僕は迷わずカルマの提案に乗った。
カルマ「で、いつ出発するんだ。
時間はたっぷりあるからいつでも良いぞ。
、、、まぁ出発したら君は消えてしまう運命だけどね、、、」
真二「今から出発だ。」
僕はすぐに会いたかった。僕を守ってくれた
小さな都麻理に。
不思議だ、僕はこれから消えてなくなってしまうのに嬉しいんだ。
僕は都麻理を助ける事が出来るんだと思うと
嬉しくて仕方ない。
カルマ「、、、じゃあ行くよ。僕の肩に手を乗せてくれ、、、」
僕がカルマの肩に手を乗せると僕らは光に包まれた。
僕は、グランドに立っていた。
時間は午後1時半、確か犯人は2時頃教室に押し入り生徒を人質に立て籠もったんだ。
僕は犯人の顔を知っている。正門玄関から侵入したんだ。
校門で待機して学校へ入る前に捕まえてやる。
おかしい。時刻は2時を回っている。
カルマ「未来が変わったな、、、」
振り向くとカルマが腕時計を見ている。
真二「ど、どういう事だよ。」
カルマ「まぁ、簡単にいうと君がここにいる、、、
おかしいよね、、、だから未来が変わったも不思議では無い。
君が小石を蹴っただけで変わる未来もある。
犯行は今日行われないかもしれん。
ただ勘違いしないで欲しい。今日を救ったからとて未来永劫大丈夫なんて保証は無い明日交通事故に合うかも知れない。
僕に言える事は君に出来る事は祈る事だけだよ。」
真二「、、、じゃあ、僕は何の為に今、ここにいるんだ。」
カルマは教室を指をさす。
指さす方向には満面の笑顔で笑い合う都麻理と
真二がいた。
僕の涙が頬を伝う。
「きゃあ、、、、、!」物凄い悲鳴がびびき渡る
犯人が裏口から教室へ侵入したんだ!
真二「しまった!」
僕は急いで都麻理の教室へ駆け寄る。
台本とは違う現実に恐怖を感じながら
一瞬早く犯人は教室へ侵入した。
僕は窓から教室へ飛び込む。
犯人は僕めがけて凶器を振り降ろす
横腹に激痛が走るが僕は犯人の首を力一杯絞め上げる。
犯人は必死に凶器を振り回し僕の意識は薄れてゆく。
犯人は失神をしてその場に崩れた。
教室「だ誰か警察と救急車!早く!」
僕はきっとめちゃくちゃに刺されたと思う。
目も片目しか開かないや。全身がドクドク脈を
打つ、、、ででも良かった。たとえこの先に色んな災いが真二と都麻理に降りかかったとしても
きっと乗り越えてくれると思う。
僕は意識が薄れていくのを感じたその時
ポフッ、、、誰かが僕にしがみついて来た。
振り返る力はなかったが少しだけ言葉が出た
「だだれ?」
都麻理「しんちゃん、しんじゃだめ。私が助けてあげるから、だからがんばって!」
都麻理のしがみつく力の強さに涙が止まらない。
真二「僕は真二じゃないよ。真二は都麻理ちゃんの隣にいるからね。」
都麻理「うん、あの子もしんちゃんでも、でも
あなたもしんちゃんだよ!、、、うわぁぁぁぁん」
都麻理は力強く僕にしがみつくと大きな声で泣いた。
真二「誰かの為に何かが出来る事がこんなに
幸せだとは思わなかったよ、、、」
僕の体は足元から消えだした。
カルマ「未来が変わり君は存在全てが無に
なるんだよ、、、たかが人間にしてはちょっと
カッコ良かったよ君」
真二「カ、カルマ、、、最後に1つだけお願いを聞いて欲しい、、、」
カルマ「駄目、駄目僕はそういうのは聞かない
事にしてます。」
真二「、、、ケチだなぁ、、、」
カルマ「、、、こんな話いくらでもあるし僕が心を動かされたのは今まで1回だけだからさ。」




