パンツ!うほっ!イケメンのパラダイス!俺たちが愛してあ❤️げ❤️る♂
ある夜、友人に連れられてクラブに行った涼は、すぐに違和感を覚えた。
フロアを埋め尽くすのは、なぜか全員――ブーメランパンツ一丁の男たち。
「い、いやだ……罠だろこれ……!」
逃げようとした瞬間、会場の視線が一斉に彼に注がれた。
筋肉質の男たちが口々に叫ぶ。
「見ろ! 新しい王子だ!」
「彼にこそ、我らの伝統を受け継いでもらうべきだ!」
涼の前に差し出されたのは、眩しいほどに光る 黄金のブーメランパンツ。
「履け……さあ、履くのだ……」
「サイズはLでよろしいか……いや、君ならXLだな……!」
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「やめろーっ!」
涼は必死に逃げる。
だがトイレに隠れれば、個室のドア下からブーメランパンツがにゅるっと差し込まれてくる。
自販機でジュースを買えば、出てくるのは缶コーヒーではなく折りたたまれたブーメランパンツ。
極めつけは、夜道を走って逃げても――
「フゥッ!」
電柱の陰からパンツ男たちが飛び出してきて、リズミカルに腰を振って迫ってくる。
「近寄るなあああ!!」
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数日後、涼は気づいた。
あの日、無理やり履かされた黄金のブーメランパンツ――脱げない のだ。
どれだけ引っ張っても、ハサミで切ろうとしても無駄。
伸び縮みして肌にぴったり吸いつき、まるで意思を持つように「キュッ」と締めつけてくる。
「俺の人生、終わった……!」
鏡を見ると、下半身だけやたら眩しい。
道を歩けば人々の目線がそこに集中し、羞恥で顔が赤くなる。
しかし――一番恐ろしいのはやはり、あの群れだ。
大学にも、駅にも、スーパーにも。
気づけば必ず、数人のブーメラン男が遠巻きに涼を見つめている。
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ついには、告白ラッシュが始まった。
「涼くん、僕の家に来てくれ……ブーメランは揃えてある」
「私財を投げ打ってでも、君のパンツを拝みたい」
「君が腰を振れば、世界は救われる!」
……なにを言っているのかわからない。
ただ一つだけ分かるのは、逃げ場がない ということだった。
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追い詰められた涼は、ついにステージに引きずり出された。
クラブの照明が彼を照らす。
観客席はブーメランパンツの海。
「踊れ!」
「我らの王よ!」
黄金のパンツが「ギラリ」と光り、涼の体は勝手に腰を振り始めた。
「やめろぉぉぉぉ!!」
しかし音楽は鳴り止まず、ブーメラン男たちの歓声は夜を突き抜けて響いた――。