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偽物の邪悪な王

これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。

夜更け。残業を終え、

「今日こそは早く寝るんだ…」

とつぶやきながら、ヒロキは机の前に座った。

けれど、頭の隅ではずっと引っかかっていた。

――アレクサンドロス。

ナターシャが語った、かつて別の世界を焦がした覇王。

そして、彼女が今も震えるように警戒し続ける存在。

ヒロキは、恐る恐る検索欄に名前を打ち込んだ。

「アレクサンドロス 」

何度も、何度も。

ページをめくるたび、手が少し汗ばむ。

しばらくして、一つの記事が目に止まった。


「新たな若き富豪、アレクサンドロス・イーストマン」

“世界を導く王” と語る謎の青年


添えられた写真には、氷のように冷たい笑みを浮かべた男が映っていた。

「……え。こ、こいつ……?」

ヒロキの喉が鳴った。

どこか芝居じみている。

彼は知らなかったのですが、コンピューター画面に映っていた男はケネスでした。

どこか“わざと強く見せている”ような表情。

だが、ページ全体に漂う雰囲気は妙にリアルだった。


“世界は弱者の血で回る。

その真理を理解できぬ者こそ、

私が導いてやろう。”

— アレクサンドロス・イーストマン


「やば……なにこの人……いや、でも……」

その時だった。

背後でかすかに床板が鳴った。

「……ヒロキ。」

振り向くと、薄暗い部屋の中でナターシャが立っていた。

目は闇の奥の灯火のように鋭く、だが震えていた。

ヒロキはモニターを指差した。

「な、ナターシャ。これ……まさか……」

ナターシャは一歩、静かに近づく。

画面を覗き込み、

たった一秒で顔つきを険しくした。

そして、吐き捨てるように言った。

「――違う。こいつは“本物”じゃない。」

ヒロキは息をのむ。

「で、でも名前が……アレクサンドロス・イーストマンって……」

「名を奪うことは簡単。

 歴史の影に寄生し、“覇王”を語るのも簡単。

 本物はこんな浅い目をしない。」

ナターシャの声は、どこか震えていた。

「本物のアレクサンドロス……

 あの男は、世界そのものを“道具”だと信じている。

 生き物の命を数えるとき、あいつの目には色も重さもない。」

「じゃあ……こいつは?」

「ただの偽物。

 覇王の名を掲げて世の中に影を伸ばそうとしている“凡庸な人間”。」

そう言った後、ナターシャは目を伏せた。

「だが……厄介だ。」

「厄介……?」

「偽物が現れたということは、

 世界が“覇王の物語”を欲している証拠。

 そういう時は――本物が動き出す。」

ヒロキの背筋に冷たいものが走る。

「ナターシャ……まさか、 アレクサンドロスは……」

ナターシャは短く、だが確信を込めて言った。

「――この世界のどこかで、もう“目を開けている”。」

画面の中で “アレクサンドロス イーストマン” が薄ら笑いを浮かべていた。

だが、ヒロキにはもう分かっていた。

この男は影にすぎない。

本物は……もっと深い闇に潜んでいる。

ヒロキは息を呑み、ナターシャの言葉が頭の奥でこだました。


“物語が動き出したぞ、ヒロキ。”


この夜、ヒロキは悟る。

――自分の日常は、もう完全に戻らない。

このエピソードを楽しんでいただければ幸いです。次のエピソードはすぐにアップロードします。

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