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ヒロインたちは大家に自己紹介をします。

これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。

第5.2章 ―― 夢のような夜、そして覚醒の朝


 次の夜も、ヒロキの疲労は極限に達していた。

 彼の部屋の中に、彼はPCの前でようやく肩の力を抜いた。


「……終わった。今日は……もう無理だ……」


 目の奥が熱い。

 瞼を閉じれば、そのまま落ちてしまいそうなほどの眠気。


 しかし、その背後で――気配が動いた。


 柔らかな足音。

 木製の小さな身体が床を踏む、かすかな音。


 ヒロキは半分眠りながら振り返った。


 そこには、四つの人形たちが立っていた。


人形たちの“生”の名乗り


 アレクシスが、一歩前へ出る。

 星光のような柔らかさを宿した瞳でヒロキを見上げる。


「ヒロキ。聞こえる?

 ……私たち、生きてるの」


 ヒロキの脳は疲労で現実と夢の境界を失っていた。


「……あぁ……すごい夢だ……。

 なんか、今日はやけにリアルだな……」


 スカイラーがため息をつく。


「夢で済ませるか。まあ、そう思うのも無理ないかもな」


 だが、その声には、確かな“体温”があった。


 ニアが長い金髪を揺らしながら微笑む。


「しゃあないな。ほな、うちらの“物語”をあんたにちゃんと見せたるわ」


語られる“物語”――選んだ過去


 アレクシスが自分の胸に手を当てる。


「私は、星海を渡る旅人として生きると決めた。

 本当の私がどうであれ――この物語は、私が選んだ翼だから」


 スカイラーは目を細め、刃を引くような静けさで言う。


「私は“忍”という孤独の道を選んだ。

 過去がなくても、自分で作ればいい。

 そんなの、精神の鍛錬みたいなもんだ」


 ニアはゆったりとした声で続ける。


「うちは、荒野と星空に生かされるカウガール。

 静けさは、弱さを隠すんやなくて……心を整える場所や。

 せやからこの物語を生きるんは、うちの誇りなんよ」


 ヒロキの視界がぐにゃりと揺らぐ。


 夢にしては、言葉に重みがありすぎる。

 でも、夢なら――このくらい鮮明でもおかしくない……?


ナターシャの告げる現実


 最後に、ナターシャがヒロキの前へ進む。

 紫の瞳が、夜明け前の空のように冷たく深い。


「私は……“選んだ”物語を持たない。

 私は、本当に存在していた。

 悪魔の王アレクサンドロスと戦い続けた、ひとりの魔女として」


 ヒロキは寝ぼけた目をこする。


「……魔女……? アレク……なんだって……?」


 ナターシャは首を横に振る。


「今は覚えなくていい。

 ただ――あなたに伝えたいのは一つだけ」


 光のように、静寂を破る。


「私たちは、あなたの世界に本当に生きているということ」


 その言葉が胸に落ちた瞬間、ヒロキはふっと意識を手放した。


 眠りが彼を包み込んだ。


覚醒の朝――世界の色は変わった


 翌朝。

 ヒロキは重い瞼を開け、ぼんやりと天井を見つめた。


「……はぁ……変な夢だった……」


 掠れ声でそう呟き、机の上を見る。


 そこに――四つの爆乳人形が立っていた。

 夜と同じ位置で、夜と同じ表情で。


 ヒロキの全身が凍りつく。


「……ゆ、夢……じゃ……ない……?」


 アレクシスが近づいた。


「いいえ。夢じゃないよ、ヒロキ」


 ヒロキの心臓が跳ねた。

 世界が音を立てて反転する。


 この世界には“生きている人形”がいる。

 奇跡は、六畳一間の中にも降りてくる。


 その事実が、ヒロキの“灰色の日常”を一瞬で塗り替えた。


季節は巡り、絆は深まる


 ――それから数か月。


 ヒロキと人形たちの間には、確かな絆が育っていった。

 食卓を囲み、小さな冒険を共有し、言葉を重ね、日常を分け合う。


 アレクシスは空の広さを語り、スカイラーは静寂の強さを語り、

 ニアは穏やかな笑顔で日々を染めていく。


 だがナターシャだけは、夜になると窓辺に座り、遠い闇を見つめていた。


 彼女の胸には、消えない影があった。


「……アレクサンドロス。

 あなたも、こちらにいるのでしょう……?」


 その不安だけが、彼女の瞳に揺れていた。

このエピソードを楽しんでいただければ幸いです。次のエピソードはすぐにアップロードします。

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