最終決戦
これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
第一節 電鋸の咆哮
夜の空気は張りつめ、静寂は砂のようにざらついていた。
ヒロキは深く息を吸い込み、両手でダイヤ強化電鋸を握りしめた。
背後には、アレクシス、スカイラー、ニア、そしてナターシャ。
四人の小さな身体からは、
それぞれの「選んだ物語」を生きる意志が燃えるように立ち昇っていた。
そして、地面が震えた。
アレクサンドロスの軍勢──
金属の玩具兵たちが、黒い波のように押し寄せてきた。
「来たぞッ!」
ヒロキが電鋸を起動させた瞬間、
ギャリリリリリ——ッ!
火花が夜空を切り裂いた。
アレクシスは推進ユニットを展開し、空中から衝撃波を放つ。
スカイラーは影のように跳び、敵の関節を断ち切る。
ニアは二丁拳銃で金属の装甲を撃ち抜き、
戦場に雷鳴のような轟音を響かせた。
ヒロキは肉体の悲鳴を無視し、
電鋸の刃を押し込むたびに
自分の中の何かが削れていくのを感じていた。
それでも──守りたかった。
この小さくて、儚くて、
しかし自分を救ってくれた存在たちを。
第二節 ナターシャ vs アベ
兵たちが崩れ始めたころ、
戦場に異様な静けさが訪れた。
歩いてきたのは、アベ。
無表情、無邪気、無慈悲。
その存在だけで空気が歪む。
「……来たわね、アベ。」
ナターシャは杖を構えた。
かつてアレクサンドロスに滅ぼされた魔女の記憶が、
胸に鋭く刺さる。
アベは無邪気に笑う。
「わくわくするね。
君は……本当に、綺麗な絶望を持っている。」
次の瞬間、衝突。
ナターシャの魔術陣が地面を裂き、
アベの触れた空間が捻じ曲がる。
互いの攻撃は相殺され、
血と光と闇が絡み合い、
戦場は二人の“物語”だけになった。
そして──
ドンッ!!
アベの胸に深い裂け目が走った。
ナターシャは膝をつきながらも杖を握りしめていた。
アベは倒れかけながら──笑った。
まるでバットマンのジョーカーのように、
口角が歪んで、幸せそうに。
「ああ……まだ遊びたかったな。
じゃあ……残りは……君にあげるよ、アレクサンドロス……」
アベの身体は粉々に砕け、
残された“力”は遠くで待つアレクサンドロスの方へ
黒い糸のように吸い込まれていった。
第三節 ヒロキ vs アレクサンドロス
戦場の中心に、重圧が降り立った。
アレクサンドロス。
偉大さを背負いながらも、
その瞳の奥は底なしの恐怖で震えていた。
ヒロキは血と汗に濡れ、
右腕はもう使い物にならなかった。
それでも前へ進む。
「……君がヒロキか。」
「そうだ。あんたを……止める。」
アレクサンドロスは冷笑した。
「世界は強さを求めている。
この国も、私も──弱さを恐れるからだ。」
ヒロキは歯を食いしばる。
「日本は……ずっとそうだった。
弱さが怖くて、誰かを犠牲にしてきた。
その結果……国も、あんたも……同じだ。」
アレクサンドロスの眉が動く。
ヒロキは続けた。
「俺はこの国が嫌いだ。
そして、お前のその在り方も同じくらい嫌いだ。
でもな……」
背後で震えている四人。
「俺は……あの小さな光を失いたくないんだッ!!」
そしてヒロキは叫んだ。
「マダ・ア・アル!!
俺の細胞を……もっと持っていけ!!
その代わり……もっと力を寄こせ!!」
身体が裂け、視界が白く弾ける。
アレクサンドロスが一歩退いた。
「何だ。。。その力…………!」
ヒロキの身体から淡い光が噴き出し、
電鋸が再び轟音を上げた。
ギャアアアアアアア!!
刃がアレクサンドロスの胸を貫いた。
巨躯が崩れ落ち、
アレクサンドロスは最後に呟いた。
「私は……偉大でいたかっただけだ……
この人生、そして前世にも、小ささに……耐えられなかった……」
ヒロキは静かに答えた。
「小さいものの中に、素晴らしくて大切なものもあるんだよ。」
アレクサンドロスは光の粒になって消えた。
第四節 別れ
ヒロキの膝が崩れ落ちる。
身体は半分以上、“ヒロキ”ではいられなくなっていた。
ナターシャが駆け寄り、
アレクシス、スカイラー、ニアも涙を流しながら彼の名を呼んだ。
「あなた……その体……」
ヒロキは弱々しく笑った。
「すまない……。おまえたちを守るために、俺は──自分の身の多くの細胞を、マダ=ア=アルへ星人たち差し出してしまった。」
「どうして……どうしてそんな……!」
ヒロキは彼女たちの小さな頭を、
震える手でそっと撫でた。
「大丈夫……泣くなよ。
俺は……約束する。
また戻ってくる。
必ず生まれ変わって……
お前たちに会いに行く。
もう一度……一緒に……」
四人の涙が、ヒロキの胸に落ちた。
光がヒロキの身体を包む。
輪郭が溶けていき──
呼吸が薄れ──
そして静かに、すべてが途切れた。
最後に残ったのは、
彼の温もりと、言葉だけだった。
「……またな。」
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