暗殺者が勇者を訪ねる。
これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
深夜。
ケネスのスマホが震えた。
差出人不明のメール──だが、その文面には短く、ひとつの命令だけが刻まれていた。
「──この男、ヒロキを排除せよ」
送り主はアレクサンドロス。
数時間後
◆
ケネスは、眠るヒロキの家へと音もなく忍び込んだ。
その姿を見た瞬間、ヒロキの背筋がぞわりとした。
以前、ネットで見た写真──
「偽物のアレクサンドロス」と噂されていた男。
「……おまえ……ネットで見た……」
男は薄く笑った。
「ケネスだ。おまえを殺しに来た。」
その声音は、どこか虚無的で、乾いていた。
ヒロキは悟る。
この男もアレクサンドロスの“兵”。
本物のアレクサンドロスが操る、危険な駒だ──。
◆
「ヒロキ、下がらないで!」
ナターシャが叫ぶ。
その手には、淡い光をまとう魔法陣。
「加速──強化!」
光がヒロキの体に流れ込み、筋肉が震え、視界が鋭くなる。
ケネスの眉がわずかに動いた。
「魔法か……面白い。」
◆
ケネスは生まれつきの戦闘感覚と、暗殺者としての経験でヒロキを仕留めようとする。
その一撃一撃を、強化されたヒロキの身体がギリギリで受け止めていく。
ヒロキは電動ノコギリをつかみ、スイッチを入れた。
ガッ!
ヒロキのチェーンソーがケネスの腕をかすめ、血が飛ぶ。
ケネスは微笑む。
「やるじゃねぇか、小僧……」
それでもケネスは闘い続け、ヒロキに幾度も重い一撃を叩き込んだ。
しかしその瞬間、ヒロキは踏み込み、渾身の力でチェーンソーを男の胸に突き立てた。
ドシュッ!!
ケネスの身体が大きく揺れ、崩れ落ちていく。
◆
血の中で、ケネスは息を荒くしながら笑った。
「……おい、ガキ……アレクサンドロスって、どんな奴だ?」
ヒロキは息を呑む。
ケネスは続けた。
「俺は…まだ一度も顔を見たことがねぇ。
本名も知らねぇ。
ただ……金をくれる。
“崇高な大義”なんざ信じちゃいねぇ。
どうせ全部…間違いに決まってる。」
途切れ途切れの言葉。
だが、その奥にはかすかな熱があった。
「けどな……本当は……自分の目で確かめたかったんだ。
俺が仕えるって決めた男の……“思想”ってやつを……」
ケネスの手が、力なく床へ落ちた。
静寂。
ナターシャがそっとヒロキに近づく。
ヒロキはチェーンソーを握りしめたまま、ただじっと、倒れた男を見つめていた。
「……アレクサンドロス……
おまえは……一体、何者なんだ……」
その夜、ヒロキの胸に新たな恐怖と疑念が宿った。
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