表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/107

第九話 2

 荘子の家の玄関に立つと、呼び鈴を乱暴に何度も何度も押した。すると、インターフォンのカメラで僕を確認したのか、「うるさいわよ、兄貴! 何の用?」と荘子の声がした。


「いいから、すぐにドアを開けろ!」

「いきなり人んちに来て、なに、その言い方? 私は兄貴の奴隷じゃないんですけど?」

「なんでもいいから開けろ!」

「分かったわよ。ちょっとくらい待ちなさいよ。開けてあげるから」


 イライラしながら玄関のドアが開くのを待っていたが、しばらくしてガチャッと解錠する音がして、ドアが開いた途端、アレックスが僕を目がけて飛びついて来た。僕は、「うわあああ」と言いながら、その場に転がった。荘子は「ごめん、ごめん」と言いながら、笑い転げていた。



「だから、さっきから、何の話をしてるのか、全然訳が分からないんですけど?」

 リビングに通されて、僕は美豊がいなくなった理由を荘子に聞いていたが、彼女は知らぬ存ぜぬを繰り返すばかりだった。


「ちょっと、もう一回整理をするわよ。四日前までは、美豊ちゃんと隼人君は普通に家にいたのね?」

「ああ」

「今はいないの?」

「うん、忽然と消えた」

「兄貴、あなた、二人に何かしたんじゃないの?」

「するわけないだろう? いなくなる前まで、それはそれは仲良く三人で毎日飯を食べていたんだから」

「じゃあ、どうしていなくなったの?」

「知るか! だから、お前に訊いているんだろ! 家政婦の派遣会社の女の子に訊いたら、美豊は、二週間前、母親とお前に会いに行ったと言ったんだよ!」

「ちょっと、待って! 私、美豊ちゃんに会ってないわよ!」

「嘘を吐け! 白鳥さんに会いに行ったと言ってたぞ!」

「白鳥? ねぇ、それって、私じゃなくて、時雄のことじゃないの?」

「えっ?」

「ちょっと、待ってて。昨日、徹夜で論文を書いてて、まだ寝てるのよ。起こしてくる」


 しばらくして、時雄は、パジャマの上にガウンを羽織っただけの格好で、眠い目を擦りながら、リビングに現れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ