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第1話 俺の世界

教室の左端、常に下を見て、周りの人間とは極力話さない。


それが俺の日常だ。


「黒木君、このプリントを後ろに回して…」


「ああっ」


目を併せずにプリントだけ受け取り後ろに回した。


学校の時間は本当に苦痛だ。


否応無しに『見なくてはならない』


黒板を見ていても端々に目に入る。


最近はもう慣れた。


それでも気分が良い物じゃない。


俺の目には、同級生も通行人も…凄く醜く見える。


あの時から俺はこの世界が辛くて仕方が無い。


そう…あの時からだ。


◆◆◆


俺が小学生5年生の時だ。


両親とドライブをして事故にあった。


山を車で走っている時に反対車線を走るトラックが車線を大きくはみ出してきて、正面衝突…その結果両親は死んで、俺は生死の境を彷徨いながら、3か月入院した。


その際に両目を負傷して目が見えないままの時を過ごしたのだが、治った時にはもう世界が変わっていた。


今迄、普通に見えていた『人』が悍しく醜い存在に見える様になった。


何処を見ても化け物、化け物…普通に見える人間なんて殆ど居ない。


化け物の中で、思いっきり悍しく醜い存在と、少し悍しい位の存在が居る。


どっちみち…悍しく気持ち悪い存在にしか見えない。


この目になってから、真面な人間に見えた存在は…僅か数名。


1人はニュースで見た『連続殺人犯の高校生』彼女は普通の存在に見えた。


その他は…『トイレに入っていったおかっぱに赤いスカートの少女』『田舎で会った身長が2メートルを超える女』『私綺麗?そう聞いてきたマスクの女性』その3人だけがこの目になってから『綺麗に見えた存在』だった。


まさか…こんな事なら、話しかけて友達になって貰うべきだったな。


事故に遭ってからは最悪だ。


アイドルなんて…まるで化け物みたいにしか見えない。


小さい頃は、医者に通って相談したけど…もう諦めた。


頭が可笑しい…そう思われたくないから、隠す事に決めたんだ。


多分、俺は今後も…化け物にしか皆が見えない世界で生きていくしかない…諦めが肝心だ。


◆◆◆


俺は周りを見たくないから休み時間はうつ伏せに寝たふりをしている事が多い。


こうして、休み時間が終わるのを待つか、トイレに駆け込み個室で過ごすか…閉鎖された屋上の階段で過ごす…それが俺の日常だ。


今日も何時ものように、ただうつ伏せになり、時間が過ぎ去るのを待っていた。


『ただ今日は何時もと違っていた』


可笑しい…机にうつ伏せになっている、俺が眩しく感じる。


この状態で眩しく感じるわけが無い。


まるで太陽を直視している様な程眩しく、目を瞑っているのに太陽を直視したみたいだ。


「うわぁぁぁーーこの光はなんだ」


「なにも見えないわぁぁぁーー」


「これはなんだ、何処かに落ちていくのかぁぁーーっ」


周りはパニックになっている。


流石に見ない訳にはいかない。


周りを見ると大きな光に包まれ、眩しく何も見えない。


近くに同級生が居る筈なのに声は聞こえるが、まるで光の霧に包まれたように見えない。


そして気のせいか、どんどん下に落ちている? いや上に上がっているのか?


何とも言えない感覚に襲われた。


そして急に頭痛がし、俺は意識を手放した。


一体、何が起きて…いるんだ。



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