はつねぼう(同棲百合。ピロートーク)
「姫始めって二日からだって知ってる?」
私は、布団の中から彼女を見上げて言った。
「違うよ、これは姫納めが延びちゃっただけ」
私の隣で上半身を起こし、煙草を喫っている彼女。
朝の一服は美味いよね、なんて呑気に言っている。
時刻は十時。
初日の出見ようねって言ってたのに。
その時間、我々はベッドでぐったり寝転んでいた。
昨日からの、日を跨いでの行為のせいだ。
「もう。初日の出見れなかったじゃん」
「初寝坊を二人でするって方がロマンチックじゃない?」
「ロマンチックと言うよりエロチックだよ」
拗ねた私の言葉に、彼女は可笑しそうにくつくつと笑った。
「違いない」
彼女が、煙草を灰皿に押し付けた。
それから、布団にまた潜りこんで来る。
改めて、私を抱きすくめて。
「じゃあ、初日の入りを見に行こうよ。そっちの方がきっと特別だよ」
「そうかなぁ。適当言っちゃって」
私は呆れたように言ったけれど、悪くない、と思っていた。
そんな私の気持ちはお見通しなのだろう。
「それまでこうしていようよ」
彼女は甘く笑って、そう言った。
END.