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僕のピカピカの人生(改定版)

作者: 安留史貢

3年前の事。「寒! 」突風に思わず声が出た。そこいる全員の意見だろう。

 僕はバスを待つ列に並んでいた。この時間、毎朝この駅で乗るのは、みんな顔なじみのメンバーだ。

僕のようなスーツ姿の男もいれば、セーラー服の女子高生もいる。

 しばらくするとバスが来た。いつもの様に乗り込んだ。座る位置も決まっている。右前の2つ目のシートだ。そこが僕の指定席になっている。

 しばらく走ると次の駅で「よいしょ!」と1人のおばあちゃんが乗って来た。見ない顔だ。おばあちゃんは周りを見渡した。でも席は全部埋まっている。

 僕が譲ろうかと思った瞬間、1つ前に座る女子高生が「ここどうぞ! 」と席を立った。

「ありがとう」と座るおばあちゃん。

 僕は『なんて優しい良い子なんだ! 』と心の中で彼女を褒めた。

 彼女は僕のお気に入りの子だった。たぶん18歳だとして、僕は27歳だからまだ恋愛対象としてギリギリセーフだろう。ショートカットが良く似合うボーイッシュな可愛い子だ。

 席を立った彼女は、座る僕のちょうど真横の位置に来て立った。ラッキー!心からそう思った。

 なんだか見られてる気がして緊張するな。カッコ良く見えてるかな?髪形も決まっているかな?彼女にとっても僕はいつものメンバーの1人だ。知らない訳がない。僕に対しどんな印象を持っているのかな?気になる。 

 しばらくすると、彼女の異変に気がついた。なんかモジモジしている。ん?思い違いか?少し様子を見よう。でもモジモジは続く。

 彼女と目が合った。ドキッとした。泣きそうな顔をしている。「何か助けを求めている! 」反射的にそう思った。

 見ると、後ろの男の手が彼女のお尻に伸びていた。痴漢だ!

 僕はすぐに立って彼女に言った。

「こちらの席にどうぞ! 」と。

彼女はサッと急いで座った。そして僕はその男の手をつるし上げ言った。

「はい!みなさん!この男痴漢ですよー! 」って。

男は慌てて「違う違う!痴漢なんかじゃない!こいつはオレをハメようとしているだけだ!無罪、無罪」と力ずくで振り払おうとした。

でも、僕は元柔道部、そんな抵抗もなんのその。がっちり〆てやった。そして言った。みんなに聞こえるように大声で。

「みなさん。心配しないで下さい! 僕は警察です。私服の。今、この男を捕まえました。はい、手錠。運転手さん次の駅で降ろして下さい」

 それを聞いたとたん男の力が明らかに、ヘナヘナになった。

 僕は女子高生に「悪いけど、君も一緒に警察署に来てくれないかな?心配しなくていいよ。コイツの犯行の説明をして欲しいんだ。学校にはちゃんと僕の方から伝えておくから」と。

「はい!」と、彼女。笑顔が眩しかった。

 これが僕のピカピカの刑事としての初の大仕事。

 そして、この時の女子高生が僕の今の奥さんです。


★★★★★おわり★★★★★

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