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カラポン・ザ・ストーリー  作者: 鈍行彗星
1『カラポン・ザ・ストーリー』
16/21

7「本当のカラポンpart.8」

「小雪ちゃん!!」

 粟野が背負っていたのは、病院から行方不明になっていたメディア部一年部員、野村小雪だったのだ。

「どこで見つけたの? 粟野君、ちょっと話を聞かせてもらえるかしら」

「いやその、俺も何て説明したらいいか………」

 コーンキーンカンコーン―――

 間の抜けたチャイムが保健室のスピーカーから鳴り響く。これは予鈴ではなく、授業開始の8時50分のチャイムだ。

「あ、本鈴ですねぇ」

「…粟野君、1時間目は何? 先生には後で事情を言っておくから、話を聞かせてもらえない?」

 粟野は一瞬どうしようかと迷ったが、半ば先生に促される形で

「…ハイ」と答えていた。


―――――


 何か、独特な臭いのする部屋だった。薬品か香水の中間なような臭いがする。

「…あれ? 俺どうしたんだっけ…?」

 なんだかぼんやりとして、頭に力が入らない。まるで脳みそを持ってかれたような気分だ。「…空っぽ頭、カラポンぽん」

 不意に、林檎がよく口ずさんでいたフレーズを思い出した。…そうだ、俺は林檎のことを先生に聞きに来たんだ。


「そうだ…保健室に来て、芝井先生とコマっちゃんに会って、それから…」

 血の巡りが良くなってきて、段々と記憶が戻り始めてきている。体を起こそうと手をついた、その時だった。


 ―――むにゃ。


「へっ………あっ、え、わ、わわぁー!!?」

 どんっ、ドシン! タンスにゴン!!

 …けたたましい音に気づいたのか、シャーッとカーテンを捲る音がして、眼鏡の白衣姿が現れた。

「あらあら。その様子じゃ寝起きに胸でも触って、ベッドから落っこちたって感じね」

「胸じゃないっス、腕です! …っつか、何で隣に女の子寝てるんすか!」

 精一杯の言い訳をするも、実際先生の言うとおり過ぎて、心臓がバクバクしていた。起きてないよな、その子…?

「あら。ただの女の子じゃないわよ。よく見てご覧なさい」

「よくって…」

 恐る恐るベッドから首を出すと、うちの学校の制服を着た女子生徒がやはり寝ている。ブランケットが掛けられているが、真横から見ると凹凸がハッキリして、なんだか背徳的な気持ちになる。

 …だがもっと驚いたのは、その顔を見た時だった。

「えっ…ウソ、小雪ちゃん?!」

「そう、小雪ちゃん。どういう訳か、粟野君が拾ってきたらしいの。」

 拾ってきた? …粟野が? 俺には先生の言っている意味が、まったく分からなかった。

「まあゆっくりしてってよ。あなたには聞きたいことがいっぱいあるし、小雪ちゃんの話も聞きたいでしょう? ここなら誰にも邪魔されないわ」

「でも授業が…」

 授業? と、先生は首を傾げた。

「何時間目? もう4時だけど」

「へ?」

 傍にあったの置時計を覗くと、確かにデジタル数字は16:04を示していた。…朝来たはずなのに、何で?

「粟野君もいるわ。こっちへいらっしゃい」

「へへっ、相変わらずエロエロしいなあ、カラポンよぉ!」

 粟野が顔を出して、いつもの調子で笑い声を上げる。なんだか、今だけはそれがとてもありがたく感じたのだった。


つづく…

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