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アマルガ大記  作者: なるなる
第一章 1つめの幻視
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アザェトホース(Azathoth) Side1

 アザェトホースは、宇宙の〝深遠なる意思〟によって生まれ、存在した。


 そもそも、宇宙の〝深遠なる意思〟とは、ハワード・フィリップス・ラヴクラフト(Howard Phillips Lovecraft)で言うところのノーディェンス(Nodens)に相当する。一説には、ノーディェンスはアザェトホースの正従神ともされる。が、それは全くの逆。アザェトホースはノーディェンスより派生した存在であり、その後に別個の意思を有するようになったがために、その意思の優位性が評価されているに過ぎない。それ故、ノーディェンスをアザェトホースの正従神とするのは正確ではない。


 ハワードは、ノーディェンスを「偉大なる深淵の主」(Lord of the Great Abyss)として擬人化して示した。が、それは本来、〝姿〟を認識されるものではない。ハワードの言葉を借りるならば、『銀の鍵の門を越えて』の中に示される、〈究極の深淵〉に住む存在――定まった形をもたず、口にするのもはばかれるほど神聖な存在。大いなる深淵。


 よって、ナイァーラトホテップどころかアザェトホースよりも〝古きもの〟であり、シュブ=ニグラァスなどの三勢力———シュブ=ニグラァス(Shub-Niggurath)、ョォグ=スゥトホース((Ny)Yog-Sothoth)、ナイァーラトホテップ (Nyarlathotep)といった三つの勢力———に在する者たちを人間に例えるならば、神に相当する。


 それ故、地球人(Kadathan)の認識からすれば、アザェトホースよりもその深奥に在し、全てに通じる存在であり、シュブ=ニグラァスなどの三勢力に在する者たちにしてみれば、従う対象にもなり得ないことと同様に抗う対象でもない。事によると、地球人に対して比較的好意的な存在と解釈されるらしいが、そもそもノーディェンスにしてみれば、全てがノーディェンスの〝意思〟に繋がる存在であり、そうである以上、「比較的好意的な存在」として認識される対象になるだけに過ぎない。


 では、そんなノーディェンスにおいて、アザェトホースは、一体どのような位置づけにあったのか。

それを端的に表現するならば、〝代理人〟という言葉が近いだろう。


 もちろん、人によっては、〝使者〟と捉えるかも知れない。が、厳密には〝使者〟でもないため、〝代理人〟という言葉で表現させて頂く。


 さて、そのアザェトホースは、ノーディェンスに最も近しいものとして、ノーディェンスとは別の形態ではあったものの、その性質として全てのことに通じて存在した。が、ノーディェンスがノーディェンスであるように、アザェトホースはアザェトホースでしかない。ノーディェンスは、全ての深奥に在し、全てに通じる存在である一方、アザェトホースは、その性質を等しくしながらも〝代理人〟として存在するに過ぎない。


 ノーディェンスは、宇宙の〝深遠なる意思〟として存在していたものの、それ故に全てで一つの存在と言えた。が、アザェトホースは、アザェトホース以外の者たちも在する宇宙において、ノーディェンスの〝代理人〟としての在り方を迫られていたため、全てで一つであるだけでなく、一つで全ての存在であることを要求されていたわけである。


 その事実に際して、アザェトホースは苦悩させられるものの、その結果として後に、アザェトホースは、ノーディェンスに対して憐憫の情を催す原因ともなる。そしてそのことを嫌ったノーディェンスによって、その両の手を縛られることになるのだが、その話をする前に、何故、ノーディェンスはアザェトホースのような〝代理人〟を必要としたかに話を戻そう。

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