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アマルガ大記  作者: なるなる
序章
1/17

プロローグ1

 神に、ある司祭が問うた。


「何故、神は、我々の国を助けようとして下さらないのか」

「罪を犯さない人などいない。何故、神は、人間やこの世界をそのようにお造りになったのか」

「何故、一部の義人しか救われず、天国に入れないのか」などと。


 神や天使は、その3つの問いに、3つの幻視を与えた。


 神や天使は、その3つの幻視により、人類全体に関わる宇宙論的な終末を示すことで、説明しようとした。しかし、その司祭は、「人類全体に関わる宇宙論的な終末」の理解の難しさを理由に、その司祭の属する国家を中心とした観点からの終末の説明を求めた。


 そのため、神や天使は、3つの幻視を、7つの幻視として広めることを許した。


 件の司祭は、「私は幻視を通じて理解出来そうだが、私の説明の相手になるだろう、幻視を経ない他の者たちには到底理解出来そうにない。もう少し具体的に啓示下さるよう」と懇願。その懇願に対し、その司祭の判断に任せたのである。


 人の法は、人の国は、人の手でなければ、造れないから。


 人類全体に関わる宇宙論的な結末を、たとえ、その司祭の時代の人間たちが理解出来なくとも、その結末を見据えて生きて行くのは、人間たちだから。


 当然ながら、件の司祭は、恐れ戦いた。


 しかし、神や天使は、その領分を侵す訳にはいかなかった。


 人の身にして、あれら3つの問いを発することの出来る、件の司祭を信じたのである。


 勿論、神や天使とて、その行く末が一体どうなるのかは不安でもあり、相応しい者には応え続けた。しかし、そのことが逆に、神や天使、そして人間たちにおいて枷となっていることも明白であった。


 そのため、ある者の祈りに接し、ある天使は、このように答えた。


『私は、人間たちの中で暮らすために地上にいる。その姿は、他の多くの者たちと変わりはしない。その祈りが真なるものであれば、その者たちを私と思い、頼ることを考えよ。彼らの内に、私はある』と。


 そのある天使は、人間たちの善性を知り、その善性を照らすことを望んだ。


 人間たちは、その天使をウリエルと呼んだ。


 そして、天使信仰の高まりを恐れた者たちにおいて、遂にはザカリアス教皇によって、ウリエルは堕天使の烙印を押されてしまう。


 そこには、「最後の審判の時、神の膝元で、黄泉の国の者たちを含めた人間たちの魂を照らす役割を、一介の天使が担うことは適切ではない。自分たちこそが」との判断があったのかも知れないし、そうではなかったのかも知れない。


 その後、ウリエルは復権。一介の天使ではなく、聖人として扱われることになった。

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