対価
連続更新164日目!!
例のあの人覚える人いるかな?
12月14日
「ふむ街の復興もカーディンの部下やデルガ君、アグリード君の部下に手伝って貰ったお陰でかなり早く出来た。
そういえば紅葉君のストーカーのオルス・ソーズ君……だったかな?色々と人連れて手伝ってくれた様で非常に助かった。紅葉君悪いがオルス君にありがとうと伝えておいてくれないか?」
「分かりました。伝えた後魔界に縛り付けておきます」
「無理じゃないかね?」
そこから対応しきれなかったモンスターによる死傷者の話になると緩い雰囲気は霧散する。
「全世界での死傷者はどれだけでしょうか?」
「9600人……痛ましい数字だ。だが専門家が言うにはこの数字はまだ奇跡的と言っていい数字だそうだ。
アメリカや中国に出たゲートはどれもが都心部で高ランクの高ランクハンターがいたお陰でモンスターの対処がかなりスムーズだった。だがやはり初期のモンスターだけは無理……でな。
しかし被害はモンスターによる殺害よりも建物が倒壊した事による二次災害の方が多かった」
「ハンターの対応が良かったのは素直に喜べますがやはりゼロに抑えられなかったのは心苦しいです」
悲痛な面持ちで古豪と話している紅葉は感情を沈める意味も込めてコーヒーも飲む。
その普段は真にニートさせろ養えなどと声高々ににしている姿とのギャップにやられたのか古豪は目頭を少しだけ揉み解した。
「経済状況なども魔石や対モンスター用の罠やレベル20程度のモンスターならハンターではない一般人でも10分程度動きを止められるアイテムも開発中という広告を出す事で少しでも金の巡りを良くしてるな。
他にも政府と協力して家族が亡くなり、生活が困窮しかけている遺族の方々にいつでもハンター協会が換金する魔石を配る事で対応したりしている」
「?その魔石は直接配るんですか?」
「まさか!直接配ろう物なら必ず奪おうとする輩が現れるからね。ハンター協会に遺族の顔認証でしか取り出せないように保管しているよ。
もし取り出すのが怖かったらその場で換金して、銀行などに振り込む事が出来る様に手配したよ。通帳を持っている場合は流石に泥棒の可能性が出てくるがハンターの護衛をそれとなく付ける事で解決している。
ここまで聞いて気になる事は?」
「いや……流石にハンター協会の本部の会長だけあって手回しが早いと思います。これなら声を上げる人達も遥かに減って混乱もし辛くなる。
災害が起こった1番気を付けないといけない事は市民への情報不足や遅い対応による混乱だと思いますから私的に最適だと思います」
「そう言ってくれて助かるよ。
所でデルガ君に聞きたいんだが時間はあるかね?」
「大丈夫です、侵攻の心配がなくなり動く機会が減りましたから」
古豪の質問に止まることなく応えた紅葉はもう一度コーヒーを飲んで喉を潤した。
「真君は今何をしているかね?」
「……………」
その質問に紅葉は「やっぱり来たか」と言うかの様に天を仰いだ。
「世界唯一の医療系Sランクハンターとまだ交渉しています」
真 side
「お願いですジャック・リパルさん!妹の足を治して下さい!!」
「それは何度も言っているがYesだと言っている!!
俺が君に言っているのはもっと私が気になるアイテムが何かという事だ!!
この世に生きている限りタダで幸せを享受出来ると思うなよ?!俺は本当は戦いたくなかったけど治療出来なくて泣いている人を助ける為に文字通り死にかけながらレベルを上げて今の医療技術を身に付けたんだ!
俺の一生物の技術が興味ないアイテムや魔石で買えると思うな!!」
「うぐぅ!!」
ジャック・リパルの正論に真は黙るしか無かった。
そしてなるべく交渉と響の治療日を話し合いたい為にヤケクソもとい本気になる。
「あーーもーー!じゃあ何が望みですか!!僕はこれでも日本最高、世界最高峰のハンターの1人であると自負しています!BやAランクは愚か並のSランクハンターでも入手が難しいアイテムを腐るほど持っています!
貴方が望むアイテムを言えば見つかるかもしれませんよ?!」
真の言葉にジャック・リパルの欲が盛大に刺激される。
先程まで微妙な表情をしていたジャック・リパルの顔が少しだけ輝き出した。
「ほぅ?ならば遠隔で人の手と同じように操作出来る医療機械あるのか?分かりやすく説明するならメスなどを扱うあの機械だ」
「その物はありませんがそのアイテムの技術を応用して作成すれば希望に添える物が作れるはずですよ」
「そうか……それならば次だ。
一目見れば骨折や傷ついた内臓の位置などを瞬時に特定出来るメガネはーーーーー」
「そのメガネなら私が幾つか持っている。
戦争などで傷付いた兵士をすぐに調べて、魔力の無駄を限りなく必要最低限にしたい時に用いる物だ。
余裕がない時はそこそこ重宝するぞ」
デルガはそこまで言うとアイテムボックスから今しがた説明したメガネを箱に入れたまま2個取り出す。
「本来は魔眼なんだがそれを簡易的に限定的に再現したのがこのメガネだ。
仮にでもSランクハンターならその価値は分かるはずだな?特に医療に従事するお前には」
デルガがジャック・リパルを見ると明らかに欲が刺激され動揺したのか目が凄い勢いで泳いでいた。
そしてゆっくりそのメガネが入っている箱を手に取り中身を取り出す。
「……掛けてみても?」
「勿論だ」
その言葉に従いメガネを掛けるとジャック・リパルの視界にいつもと違う映像が見えた。
「これはかなりいいな。筋肉の動きや骨の稼働に心臓の動きまで………これがあれば更に魔力の扱いが楽になるし、ただでさえ少ない医療事故のリスクがほぼゼロに抑えられる……!!!」
興奮しているのかメガネを掛けたまま自分の腕を見たりして感想を言っている。
しばらくそのままでいると真とデルガが見ている事に気付いてコホンと咳をしながら向き直った。
「今俺は想像以上の対価を驚きを隠せないでいる。
ここまで良い対価を貰ったのならこちらも応えない訳には行かない。荒鐘 真ハンター妹さんと治療を受けよう。希望の日はあるか?その日に絶対治しに来ると約束する」
「!!!!!だったら12月23日にお願いします!!妹に最高のプレゼントをしてやりたいんです!!」
真の戦闘でさえ見せない真剣な表情と向き合いジャック・リパルは一言告げた。
「承った。荒鐘 真ハンター」
あと少しで完結です(*´Д`*)
ここまで頑張れたのは皆さんのおかげ!
今日も読んで下さりありがとうございました!
また明日!




