覚醒
目覚めると、そこは砦にある部屋の一室。
――体が重い……
ミリィは全身の倦怠感に耐えながら、体を起こした。
「お目覚めになったのですね。ご気分はいかがですか?」
砦で働く召使いの中でも、明らかに上官担当と思われる侍女がミリィに話しかけてきた。
侍女はミリィの顔色を確認し、返事も待たずに続けた。
「今、先生をお呼びしますね」
そう言って、侍女は一旦部屋から退室し、程なくして医師や魔道士、学者達といった大勢の先生達を部屋の中に引き連れて戻ってきた。
その大人数の前で服を脱がされて診察でもされるのかとミリィは一瞬ギョッとしたが、その心配も杞憂に終わった。
脈をとったり、魔力を測定するという変な棒を頭に当てられたりするくらいで済んだのだ。勿論、あれやこれやと質問攻めにはあったのは言うまでもない。
診察の結果、過度の魔力使用に伴う疲労と診断され、処方された薬を飲んでしばし安静となった。もっとも、処方された薬が不味すぎて、このあとなかなか飲み込めずに四苦八苦する羽目になるのだが。
ミリィが処方された薬をなんとか飲み下そうと格闘している頃、別の一室にはこの砦の主だった責任者が集まり、診察の報告を今か今かと待っていた。
「それで?かの者の具合はどうだ?」
真っ先に口を開いたのは、倒れるミリィを抱きとめた男だった。彼はミリィの国シトラルの第一王子ジークフリード・シトラルで、永く続いた東の国エミールとの戦争に終止符をうつべく、それまで自らが守護にあたっていた北の地を一旦離れ、わざわざ今回の和平交渉に王宮から遣わされてやって来ていた。
「倒れた原因は過度の魔力使用に伴う疲労によるものと思われます」
金糸で縁取られた白いローブを被った老人が答える。診察の際、ミリィの魔力を測定していた魔道士だ。
「恐らく、半死半生となった者達に魔法を使った際に魔力を使い過ぎたのでしょう」
それを聞いたジークフリードは、心に秘めた微かな期待を表情に出さないよう慎重に話をすすめた。
「では、かの者は死人を生き返らせることが出来る程の魔法使いだったという事だな。それ程の白魔法の使い手ならば、これまで何かしら噂に登っても良さそうなものだが…」
すると同席していた兵士が何か言いた気な様子を見せたが、それを敢えて見なかったように言葉を続けた。
「かの者の名は?」
「ミリィアリアです」
「家名は?」
「……私どもはお互いを名前以外では呼ばぬことになっております」
先程、何か言いたげだった人物が口を開く。
その人物は、前線の指揮を任されている、対エミール戦総隊長でありシトラル国軍第一師団長のダンロックであった。彼は居るだけでも周囲に圧を与える存在であったが、その口調から軽くイラついていることがわかり、その場にやや重い空気が広がった。
ダンロックの牽制に気づいたジークフリードは若い割に落ち着いた口調で話を続ける。
「魔力持ちは貴族に多い。任務を失敗した時に家名が出ぬよう、記録ごと伏せてあるのは常識。…まぁ、良い。咄嗟の時の立ち居振る舞いを見れば、どういった者かぐらいは判る」
その言葉にダンロックはやや渋い表情を浮かべた。
「ミリィアリア…、確か前線に幼いながらもなかなかの腕前の戦士がいると耳にしたことがあったと思うが。かの者がそうであるならば、私もそのミリィアリア嬢と話をしてみたいと思っているが、どうか?」
ジークフリードは治療団のトップを務める医師に尋ねた。
「体力面で言うならば、しばらくすれば以前のように動く事が出来るようになるでしょう。ただ、他に少々問題が…」
「何だ」
「ミリィアリア様は、あの時の事は殆ど覚えておりません。…特に、一緒に居てお亡くなりになったラッセル隊長の記憶がほとんど無くなっているのです。殿下からお聞きした経緯から考えて、恐らく彼を助けられなかったという心的外傷が原因かと思われます」
「…そんな……」
体は大丈夫と聞いてほっとした後に告げられた衝撃的な事実に、ダンロックの口から思わず言葉が漏れる。
「それから…」
「まだあるのか?」
「…それから……喋れるのです」
「喋れる⁉︎」
更なる衝撃を受け、ダンロックは思わず身を乗り出した。もう一人の兵士も大きく動揺した様子を見せる。
ジークフリードはむしろその反応に驚きつつ、確認のため再度質問する。
「喋れない、ではなくてか?」
「雷に撃たれたあの時より前は、口がきけなかったという話でしたが、診察の折には筆談も不要な位に問題なく話しておられました。そもそも自分が以前は話せなかった事をよく覚えていらっしゃらないようなのです」
「喋れないよりは良いではないか」
「ええ。ですが、記憶が戻った時に再び口がきけなくなる可能性があります」
医師の説明に一喜一憂するダンロックと兵士。もはや感情を包み隠そうとはせず、ただ真剣に医師の話を聴いていた。
そんな様子を見てジークフリードはふと疑問に思ったことをダンロック達に尋ねた。
「以前は話せていたという事だが、ミリィアリア嬢が話せなくなったきっかけは何だったのだ?」
「それは…」
話を振られてダンロックは一瞬躊躇したが、諦めるように一つ溜息をついた後、静かに重い口を開いた。
「お話しする前に、どうかこれから私が話す事は他言無用でお願いしたい。……………ミリィアリアはここに来た頃はよく話す普通の子供だった。12歳の時に誘拐され、戻った時には話せなくなっていたのだ。彼女は誘拐されて人買いによって娼館に売られたのだが、それを助け出したのが……ラッセルだった。それ以降、この二人は片時も離れる事は無かった。もちろん、ここは前線。片時も離れずにいるというのは並大抵の事では出来ない。ミリィアリアは歳の割にはかなり黒魔法が使えるほうであったが、ラッセルと共にあるために魔法だけではなく、剣の腕前も磨くために相当な努力をしていた。それだけに………」
言葉を詰まらせ、ダンロックは瞳をギュッと瞑った。
ダンロックの話を聞いた医師が暫し考え込んだ後、話を続ける。
「今のお話から推察するに、亡くなったラッセル隊長とミリィアリア様には深い絆があったようでございますな。であればなおさら、記憶の回復は慎重にすすめた方が良いかと」
「具体的にはどうすれば良い?」
「そうですな。無理に思い出そうとさせず、なるべく普段通りの生活をするのが一番かと思われます。それから何か戦いに関する事の他に、本人の興味を持たせる事が肝要でしょう。話を聞くに、どうやらミリィアリア様の世界は狭いように思われますのでな。本人の世界が広がれば、万一記憶が戻った時の手助けとなる事が期待出来るかと。和平交渉もまとまった事ですし、この機会にご実家に戻されては?」
「………検討しよう」
思わぬ話の展開に医師とダンロックを見守っていたジークフリードだったが、すっかり話題が逸れてしまったことに気付いた。
「話は戻るが、ミリィアリア嬢と話せるようになるのはいつ頃になりそうか?」
「そうです!ミリィアリア様が助けたエミール国の王子からも面会の要望が寄せられていまして……」
ジークフリードの話に便乗する形で、文官も今後の予定をたてるべく質問してくる。
なるべく早くという期待で見つめる文官の眼差しを受け、医師がどう答えるか思慮する傍から、先の魔道士が口を挟んできた。
「今はまだ魔力が不安定な様子ですので、あと2日はお待ちいただきたいですな。何せ新しい魔法が覚醒した様子ですので」
『新しい魔法』という言葉にジークフリードはピクリと反応を示す。
「白魔法か?」
やや期待を含んだ質問であったが、残念ながらそれに対する回答は彼が満足するものではなかった。
「いえ、白魔法では有りません。もし、白魔法が覚醒していればあの魔力量からみて歴代最高の白魔法使い、そして聖女になれたでしょうが……ですが、覚醒したミリィアリア様の新しい魔法は、歴史的に見てもこれ程珍しい魔法は無いと言えるもの。かくいう私も古い文献でその存在を知るばかりの魔法です。…かつてこの魔法の使い手は、その強力な力で戦いを支配したと言われております。風に負けず、火や水をものともせず、氷をも打ち砕く魔力……」
魔道士は自分の言葉で徐々に感極まっていったが、皆の視線でハッと我に帰り、コホンと一つ咳払いをした後、落ち着き払った態度で続けた。
「それは雷魔法です」
その意外な答えに、雷魔法がどんなものかという事よりもあの場で自分が目にした魔法は何だったのかという疑問で、ジークフリードはつい魔道士に食ってかかるように尋ねた。
「白魔法はどうした?」
尋ねられた魔道士は首を振りながら残念そうに答えた。
「白魔法は今ほとんど使えないようです。それから氷魔法の威力もかなり落ちています。そもそもあの時使われたのが白魔法かどうかさえわからないというのが本当のところです。雷に撃たれたのがきっかけで偶然あの時だけ白魔法が使えたのか、白魔法や雷魔法を覚醒した後に蘇生で過剰に魔力を注いだ結果として使えなくなっただけか…、いや、実は雷魔法で人を生き返らせることができるとしたら……」
その後魔道士はブツブツと小声でああでも無いこうでも無いと、すっかり自分の世界に入ってしまったため、もう一人の魔道士が慌てて説明を続けた。
「ミリィアリア様はご自身が元々白魔法を使えたかどうかは覚えていないとおっしゃっていまして……。また白魔法が使えるようになるか、もう一生使えないかも現時点ではわからないのです。雷魔法についてもその存在自体が伝説のようなもの。ですが、雷に撃たれた日から二日経ちましたし、先程処方された薬をミリィアリア様がきちんと飲めたならば一晩ばかりで荒ぶる魔力も落ち着くと思われます」
ミリィが白魔法を使えないことがわかり、やや沈んだ場の雰囲気を少しでも良くしようと、文官が明るい調子で話す。
「私はその魔法を使ったところをしかと見たわけではないのですが、凄かったらしいですな。なんでも、雷に撃たれ一旦倒れた後、直ぐに立ち上がり、周りを取り囲んでいた者達を風魔法で吹き飛ばし、氷魔法で結界をはった後、既にこと切れていた隣国の王子と側近の若者を次々と生き返らせていったとか。それが白魔法か雷魔法の賜物かは判りませんが、素晴らしいことに変わりはありません」
続けて自分の世界から意識を戻した魔道士が新しい魔法の使い手の誕生を祝い、ジークフリードを褒め称える。
「殿下はその強力な結界の中に易々と入っていかれたとか、さすがはこの国一番の黒魔法の使い手。ミリィアリア様が白魔法の使い手であったならば、最強の一対になったやも知れませんだけにまことに残念。ですが、雷魔法の使い手が現れたとなれば、わが国に戦いを挑もうとする国々を牽制する良策を得たようなもの。上手くいけば、北の国との戦いにも終止符を打てるやも知れません。」
魔道士や文官の称賛と期待に満ちた視線を浴びながら、兵士達の驚愕と動揺が窺える表情を尻目にジークフリードはこの場での最終決定を下す。
「では、皆の者にはミリィアリア嬢は白魔法ではなく新しい魔法によって隣国の王子達を助けたと説明せよ。元々、導師が古い文献でしか知らないという雷魔法であることだし、それがどのようなものか解る者はそうそう出ないだろう。黒焦げだったラッセルは私が時の魔法で修復したらしいと伝えておけ。あくまでも、『らしい』ということで通すのだ。…この私に詮索する度胸のある者などそうはいないだろう。魔法の詳細がわからない以上、議論は無駄だ。二日後、私が自らミリィアリア嬢の様子を確認し、今後の決定を下す」
会議がようやく散会になったころ、ミリィもようやく魔力を鎮めるという薬をなんとか飲み干したところだった。
「…ま、不味かった…」
魔力を鎮めるという薬は、塩っぱくて苦くて甘いという何とも言えない味。更に、所々に目玉のような緑がかった色合いのドロっとした塊りがあちこちに浮かんでいた。薬は青色の液体で、その見た目に違わず味も劇マズで量も多いという三重苦のシロモノだった。
薬が注がれるグラスは銀製で繊細な透かし模様の飾りまで付けられた美しいものだったが、中身は激マズの薬。一杯飲み干しても、わんこ蕎麦よろしく侍女が良い笑顔で二杯目、三杯目と注いでくる。
ついつい恨みがましい目で見つめてみても、侍女は最後の一滴を飲み干すまで許してくれず。薬に浮かぶ目玉のような塊と目を合わせないように目を瞑り、後半は一口毎に身震いしながら頑張って飲み下す羽目になった。
「お疲れ様でございました。これで明日にはもっと良くなられますわ」
飲み終わると侍女の良い笑顔。よもや、明日もまたこの薬を飲まされるんだろうか。それは勘弁して欲しい。
そろそろとベッドから下りて、なんとか歩けるのを確認した後、逃げるが勝ちとばかりに尋ねる。
「もうだいぶ良くなったから、そろそろ自室に戻りたいんだけど…」
恐る恐るそう訊くと、侍女はとんでもないと身振り付きで訴えてくる。
「まぁ!そんな!先程目覚めたばかりですのに。先生方はゆっくりお休みになられるよう、おっしゃっていたではないですか。まだ足元がふらついておりますし、今日はこのままゆっくりお休みになってくださいませ」
「でも……」
「そうですわ! 丸二日間何も召し上がっていらっしゃらなかったですわね。今、お食事をお持ちしますから少しお待ちくださいませ」
餌で釣る作戦の侍女はそう言い残して食事の準備をしに行ってしまった。
確かにお腹は空いている。先程からしきりに空腹を訴えるお腹をさすりながら、ふと部屋の床から天井までの大きさもある鏡に映った自分の姿を見てびっくりした。
わっ、若い。なんか見たことある、って当たり前だよ、自分なんだから。
思わず自分にツッコミを入れる。
35歳からいきなり17歳になった衝撃は大きかったが、ミリィはあまり落ち込んではいなかった。むしろ若返り、喜んだくらいだ。
鏡には10代のまだあどけなさが残る少女が映っている。背中まである黒髪はよく梳きとかされそよ風が吹けばサラサラと音がしそうだ。翠の瞳はよく澄んでいて意志の強さも窺える。
基本、魔道士のローブを頭からスッポリと身に纏った生活を送っていたためか、肌が陽に焼けることはなく、30代だった美里からみるとミリィは羨ましいくらい透き通るような白い肌をしていた。
両方の世界の記憶があるのって、なんか不思議…さっきまで、私は美里だった。でも、同時にミリィだった。
美里、いやミリィは目覚めてからずっと、侍女や医師、魔道士や文官達との会話を頼りに記憶を整理していた。
はっきり覚えているのは、美里の世界。ミリィの世界は、覚えているもののあちこちぼんやりと霞んでいる。
ミリィは更に記憶を辿りながら考えを巡らせる。
意識が無くなる前に見た、あの男の人。最期の顔は覚えているのに、あの人と交わした会話などがほとんど思い出せない。
どうやら記憶のキーパーソンとなるあの人はラッセルという名前だということは分かった。わからない事を抱えているのは自分にとって危険の素。これからは周りには悟られないよう慎重に自分の記憶と向き合わなければ。
あと、まずいと思ったのは喋れるようになっていたことだ。口パクで伝えるつもりが、声が出てしまった。なぜ声が出るようになったのか。喋れると便利な反面、厄介事に巻き込まれるケースもある。声が出なくなった原因が思い出せないことから予想するに、ラッセルが絡んでるのかもしれない。
まぁ、でも診察でみんなにはもう喋れるって知られちゃったしなー
筆談も面倒だし、これはこれで良かったということにしよう。
一気に色々あって、ミリィの思考はパンク寸前だ。だが後半は自棄になって、もう開き直るしかないと腹を括った。
ミリィはじっと見つめていた鏡に映る自分の顔からふと視線をずらし、自分が着ている夜着を見た。着せられた夜着は薄ピンクで沢山のレースが胸元にふんだんにあしらわれている。
目覚めた時からずっと気になっていたけど、一体誰が私を着替えさせてくれたんだろうか?
下着とか夜着とか……こんなヒラヒラした夜着は初めて。いつもシンプル、というか質素な服だったからなぁ。
私の服はどこに行ったんだろう。とりあえず、いつでも逃げ出せるように服が欲しい。
何か着るものはないか部屋を物色しようとした矢先、侍女が食事の準備を済ませて戻ってきた。
「さぁ、こちらへどうぞ」
準備されたテーブルに着くと、沢山の料理が並べられてらいる。二日間食べていなかったからと言って、二日分食べられる訳ではないのだが。遠慮しないようにという気遣いなんだろう。
「戦士の方は肉がお好きと聞いておりましたので…」
侍女が笑顔で薦めてきたのは、分厚いステーキだった。
いや、二日間食べていない人間にいきなり肉って…
とりあえず食べてはみたが、やはりまだ胃が受け付けない。仕方なくスープをすすって、果物を食べていると、侍女はデザートを薦めてくる。
「こちらは最近王都の女性に人気の品で、ブラウニーでございます。お飲み物はホットチョコをご用意いたしました」
…いや、それもちょっと。出来たら元気な時にお願いします。
あまり食が進まなかったのを気にして、侍女が心配そうに聞いてくる。
「お口に合いませんでしたか?」
「いえ、こんなに豪華な食事は久しぶりで…とても美味しいのですが、あまり食べられずすみません」
出来たら、次はもっと普通のご飯が食べたい。和食とか。中華粥とか。
「明日の朝食は何かご希望がありますか?」
「やっぱりいつも食べていたようなものだとありがたいんですけど…」
「かしこまりました。では、いつも召し上がっていたものを準備いたしますね」
侍女は片付けをして部屋から下がろうとしたので、とりあえずの着替えを頼んだ。
「あの、私の着替えを…」
そう言うと侍女は驚いた顔で答える。
「もう遅い時間です。先生も安静にとおっしゃっていましたし、今日はこのままお休みくださいませ」
「でも……」
このままではこの部屋に軟禁されそうな気がする。危機を感じて、なんとか服を手に入れようと上手い言い訳を考える。
「長く戦いのなかを過ごしてきたせいか、すぐに動けるようになっていないと落ち着いて眠れないのです。きちんとしたもので無くても構いませんから、履き物とローブだけでも部屋に準備していただけませんか?」
「甲冑や剣は?」
「いりません」
そう言うと、侍女はほっとした表情をしてかかとの低い靴と白いローブを準備してくれた。
これも目立つなぁ、と思ったがとりあえず枕元の机に置いてもらう。
「ありがとうございます」
「いいえ、お礼なんて。ミリィアリア様のおかげで和平交渉も無事に結ばれて、皆喜んでいるのですわ。あの時、東の国の王子様に何かあれば、また戦に逆戻りとなったでしょう。明後日には第一王子様もお見舞いに見えるそうです。それまでには相応しい衣装をご準備しますので、まずはゆっくりとお身体を休めてくださいませ」
「はぁ、…」
再びベッドに戻ったのを確認すると、侍女は満足そうな表情を見せてようやく退室してくれた。