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どうしてきみは高校生!?  作者: 藤井 頼
9/54

episode.09

「こんばんは。岩咲いわさき先生の弟さん?」


そうですよね、そうなんです。それがスタンダードな反応だと思います! はい。


「弟じゃないです」



おぉーっと、このまま蒼衣あおいくん放置はまずいことになりかねない。でも前回のこともあるし、どうやって切り抜けよう!?



「弟さんじゃないとすると…いとことかかな?」


「いとこじゃないです」



「あ、あの、佐伯さえき先生、スマホありがとうございました! 蒼衣くんももう遅いんだから、制服でうろうろしません。じゃ、佐伯先生、今日は失礼します」



もう何か言うとボロが出てしまうし、佐伯先生には嘘とかつきたくないし、これが最善の策なんだ。



蒼衣くんを連行し、ようやく駅まで来た。たった5分の道のりがなんとも長く感じたのは今日が初めてだった。


「さっきの誰?」


「職場の先輩です。てか、なんで蒼衣くんがいるんですか?」



「俺の学校」


そういって川向こうを指差す。そういえば、あの制服どっかで見たことあると思ったら、みなとの制服だったのか!? 県立けんりつ八田はったみなと高校と言えば県内でも有数の進学校だし、結構いいとこの子が通ってるイメージが…



「向こう歩いてたら、つぐがいるの見えたから」



「そっか、それで連絡を…たまたまスマホ学校に置き忘れてしまって出られませんでした。すみません」


途中まで方向が一緒だとわかりホームまで話をしながら階段を上る。



「おっせーよ、蒼衣。もうすぐ電車来るって」



「今行く」


どうやら先に来ていた友だちがいたようで、これ以上一緒にいるのも気が引けたので蒼衣くんに「またね」と声をかけかる。


「何言ってんの? どうせ途中まで電車一緒なんだから、つぐも行こう」


そういうとわたしの手首をつかみ、数人いる男子高校生のところへ連れて行かれた。みんなわたしを見るなりキョトンとした表情だったが、眼鏡をかけた少しインテリな雰囲気の男子が話しかけてきた。



「もしかして、つぐみ先生? 俺、広瀬ひろせ右京うきょうって言います。蒼衣の幼なじみで」



とっても礼儀が正しく、よく見ると蒼衣くんに負けず劣らずのイケメン! 類は友を呼ぶってまさにこのこと。



「つぐ、あんまり見ない」



「へ?」



「右京は目から惚れちゃうビーム出てるから、気をつけて」


「何それ(笑)」


蒼衣くんってあんまり喜怒哀楽とゆうか、周りに関心無さそうだけど、冗談を言うくらいやっぱり幼なじみとかは違うのかな。



「仲良いんですね」


「あ〜、まぁ腐れ縁ってやつ?」


3人のうち一番社交的な感じの子が話に入ってきた。


「俺も蒼衣の幼なじみ、片岡かたおか匠海たくみ。つぐみ先生、蒼衣がお世話になってます」


いや〜、3人揃うと眩しくて直視できないかも…


「右京くんと、匠海くんですね。こちらこそよろしくお願いします」



「で、先生は、蒼衣のことどう思ってんの?」


「どぉって…まだ会って間もないのでなんとも…。あ、でもイケメンってことと、親切なこと、思いやりのある優しい子ってことは知ってますよ」


「さすが、先生。ちょっとしか関わってないのに蒼衣のことわかってるね! でも残念だけど、俺の方が蒼衣のこと知ってっからね!」


「匠海、いい加減、蒼衣離れしよ…」


「右京はいいのかよ! 蒼衣が大人の階段登って、純粋ピュアピュアじゃなくなっても!?」



「純粋ピュアピュアって…あ、蒼衣が引いてるぞ」


「あーおーいー、何でそんな冷たい目で見てんだよー」



「匠海うるさい…」


「ふふ」


「つぐも笑わない」


なんだか蒼衣くんの学生生活に触れられた気がして嬉しかった。蒼衣くんは友だちに愛されてるってことも今日わかったことだな。電車に乗っても3人の会話は途切れることなく楽しそう。


「じゃ、つぐ、俺たちこの駅だから」


「先生さよーならー」


「みなさん、気をつけて帰ってください」



3人を見送りすいた車内で腰を下ろした。スマホがメッセージを知らせる。


『つぐも気をつけてね』


『あと、今度遊びに行こう』


蒼衣くんから送られてきたメッセージを見て、すぐには返事を出来ない自分がいた。


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