表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうしてきみは高校生!?  作者: 藤井 頼
7/54

episode.07

とりあえず飲み物を渡したら帰ろう。


ぐっと飲み物を握りしめると、最後の勇気をふりしぼり蒼衣くんのところへ戻った。



「これ、よかったら飲んで」



蒼衣くんが飲み物を受け取るのを見届けると、もう一度頭を下げて出口へと向かった。


これでよかった。と自分に言い聞かせて、人混みの間をすり抜ける。思うように身動き取れなくて、前から来た中年の男性の肩とぶつかりバランスを崩しその場に座り込んだ。



「危ないなっ!」



立ち上がろうとするが、いつも履かない靴で右足が痛いことに今気づいた。それでも人波の邪魔になっていることには変わりないので、痛い足を我慢して立ち上がり人波から離れたところへ移動して靴を脱ぐ。



バチが当たったかな…。ぐったりうなだれる。



「…つぐ」



ぱっと顔を上げると、何でか蒼衣くんがいた。



「蒼衣くん…?」



「大丈夫?」


こんなわたしのこと心配してくれて…


「う、うん、全然大丈夫です! 気にしないで下さい」



わたしの様子を見て蒼衣くんが手を差し出す。



「大丈夫じゃないよね? とりあえずどこか座れるとこ行こう」



顔だけでなく中身もピカピカ! 罪悪感が更につもる。蒼衣くんに手を引かれ近くのベンチに座る。


「ちょっと待ってて」


アイドルとデートとかほんと何考えてたんだろう。蒼衣くん呆れてたよね。


「つぐ、足だして」


蒼衣くんの手にはアクアリウムショップで売られていたイルカ柄のバンドエイドがあった。


「じ、自分でできます!」


「いいから」


少し怒ってるみたいに感じて、それ以上蒼衣くんに抵抗する気にはなれなかった。


「お、お願いします」


足を差し出すと蒼衣くんの細長い指が肌をつたう。


「…っ!」


「ごめん、痛かった?」


「だ、大丈夫です!」


こんなときまで優しい。蒼衣くんに触れられて変な気持ちになったなんて言えない!バンドエイドを貼り終わるまでの我慢!


バンドエイドを貼るとさっきより全然痛くなくなっていた。


「ありがとうございます」



「あと、これ」


わたしの目の前に差し出されたのはふわふわのあざらしキーホルダーだった。


「さっきショップにあって…今日のお礼。…色々驚いたけど…つぐが先生とか、俺と会うの今日で最後とか…」



「うん、ごめんなさい。あざらしありがとうございます。大事にします」



「また、会って。つぐはもう会わないつもりだったかもしれないけど…。今日楽しかったし、ダメって言われると何か…」


「でも…」


「従兄弟なんでしょ? またどっか行こ」



「うん」



なんなの!? この可愛いイケメンは! 思わず返事してしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ