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どうしてきみは高校生!?  作者: 藤井 頼
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episode.06

「やっぱり、岩咲いわさきせんせーだ!」


オーマイガッ! 男子高校生と水族館デートをクラスの子に見つかってしまった! 落ち着け、落ち着け…


「あれー? 美雨みうちゃんだー。こんにちは。お家の人と来たの?」


「うん、今妹とトイレに行ってて待ってるとこだよ。せんせー…その人…」



美雨ちゃんの視線が蒼衣あおいくんにうつったのを察知した。



「あ、き、今日は従兄弟いとこと来たんだー! 新しく水族館できたってみんなが言ってたから、ね!」


とっさに蒼衣くんに同意を求め、腕を組んで親しさをアピールしたが、きっと上手く笑えていない。


「俺、つぐの…従兄弟…」


「そ、そう!! 蒼衣もこんなに大きくなって〜!」



美雨ちゃんのすごい疑いの視線がわたしと蒼衣くんの間を行ったり来たりしているのがわかる。



「そうなんだ! てっきりせんせーの彼氏なのかと思った!」



「あ、あはは…はは。彼氏って! そんなわけ、ねぇ」


蒼衣くんを見るとまたまた難しい顔をしている。



「…彼氏ではない。でも、いと…」


「あー! そろそろママ来るかな? 先生たちも次のところいかないと、時間なくなっちゃうなぁ。ね、蒼衣!」



このままここにいたら蒼衣くんがいつボロを出すかわかったもんじゃない! 美雨ちゃんにサヨナラをして、まだ余計なことを話そうとしている蒼衣くんの手を引きその場を離れた。



水槽をいくつも通り過ぎ、ここまできたら大丈夫だろうと足をとめる。バレなくて一安心すると、ため息をつく。


「つぐ、手」


はっと気づくと、美雨ちゃんと離れるのに夢中で蒼衣くんの手を引いていたことをすっかり忘れていた。



「ご、ごめんなさい! わたしとしたことが! 手つないだり、従兄弟とか言ったり、蒼衣くんを呼び捨てにしたり! 嫌でしたね! ほんとごめんなさい、びっくりさせて」



「うん、ちょっとびっくりした」



うわー、絶対色々引かれたやつだ! てか美雨ちゃん先生って呼んでたし、色々バレた…よね。…はぁ。



「…もう、ここで解散しよっか」



「……」



蒼衣くんは何も言わず、わたしの次の言葉を待っているようだった。そりゃそうだ、普通に未成年が『先生』と呼ばれる人種とどうこうなるなんて、漫画とかドラマではあるあるだけど…現実にそれを受け入れてなんてまず有り得ない話。


ましてやこのイケメン具合。わざわざこんな歳上と遊ばなくても不自由はしていないだろう…右京くんとやらもこんな歳上の教師だとは夢にも思わないだろう…


もうこうなったら全部話してしまえ!



「あの、わたし…実は小学校の教員なんです。教員が高校生つかまえて何してんだって感じですよね! 別に騙すつもりはなかったんですけど、結果一緒ですね。ごめんなさい」



「…先生」




「で、蒼衣くんとってもイケメンだったから、一日だけアイドルとデートって感じで楽しもうなんて思って…最低です、わたし」


「一日だけ?」


「ごめんなさい。こんな身分で蒼衣くんの貴重な時間を無駄に使ってしまって。今日一緒に過ごしたらもう連絡しないつもりでした!」



蒼衣くんを恐る恐る見ると、すごく気分の悪そうな顔で今にも倒れそうだった。



「あ、蒼衣くん?」



「ごめん、ちょっと一人にしてほしい…」



そう言うとヨロヨロと近くのベンチへと腰を下ろした。



「わたし、何か飲み物買ってくるね!」


いたたまれなくなり、その場を離れた。いい歳して何やってんだか! ピュアな高校生を弄んで…次第に自分のしでかしたことの重大さに押しつぶされそうになる…。

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