episode.02
「ぶはっ! 何それ!? いい歳して高校生ナンパとか…」
「しー!! なぎちゃん! ちょっと声大きいって」
今日はグルグルナビで星4.5の居酒屋で週一飲み会中。
受付嬢のなぎちゃん、英語スクール講師のゆきりんとは幼稚園から高校までの腐れ縁でいまだにその関係は続いている。
「…変態教師…」
「確かに小学校教師が未成年を…不祥事間違いなしだね。つぐ、新聞のるかもね」
「ゆきりん! なぎちゃん! わかってる! わかってます! 十分わかってます!! それ以上言わないで〜」
そう、わたし岩咲つぐみは念願の小学校教師となり、働き出して2年目の新米。あのときは朝見た星座占いに流されただけだし。
「で、連絡きたの? そのイケメン高校生から」
「き、きてません!」
「まぁ、普通に考えてない。定期拾っただけで、知らない歳上女からお礼とかない。普通に怖い…」
「ぐはっ! ゆ、ゆきりん…もうわたしのHP0(ぜろ)です…」
今日は金曜日。あれから数日たったが、スマホはうんともすんとも言わない。ゆきりんの言うように「なし」なんだと鈍いわたしでも理解できた。
「今日は飲むぞー!」
「お、つぐみ、いいね! その調子、その調子! 今度合コンやろ! 犯罪じゃないやつ(笑)」
「な、なぎちゃん! わたしちょっとお手洗い!」
と、とりあえず忘れよう。うん、一瞬の気の迷いだ。トイレで少し気持ちを落ち着かせ席に戻る。
「お、イケメン店員見つけー! お兄さん、いくつ? 今、合コンメンバー募集中なんだけど!」
あー! 見てない隙になぎちゃんの悪いくせが! ゆきりんは!? ゆきりんを探すと店の外で何やら電話中…。
「今、バイト中なんで」
早めになぎちゃんをとめなきゃ!
「な、なぎちゃん! 店員さん困ってるよ!」
なぎちゃんを止めにかかるが、なぎちゃんのイケメンレーダーはそう簡単には止まってくれなかった。
「えー! だって超イケメンだよ! ほら、つぐみも穴が開くくらい見てみなよ!」
「なぎちゃん、もー。す、すみません」
頭を下げて店員さんに向き直る。
「あ、定期の女」
「え? え! えーーーーー!?」