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どうしてきみは高校生!?  作者: 藤井 頼
16/54

episode.15

わたしの膝で蒼衣あおいくんが横たわっている。しかも息苦しそうに…。な、なんて光景!!


「蒼衣くん、もうすぐ匠海たくみくんたちが来てくれますからね!」



「…つ、ぐ…」



さっきから何度もわたしの名前を呼ぶ蒼衣くんを見て、昨日は自分勝手に八つ当たりしたことを反省していた。


「蒼衣くん、ごめんなさい」


数分後、匠海くんと右京くんが来てくれて家まで連れ帰ってくれた。わたしも責任を感じ、蒼衣くんの家まで送っていくことにした。


かなり立派なマンションに到着すると、エントランスから10階まで上がっていく。



「つぐみ先生まで来てもらって…」


匠海くんが蒼衣くんをベッドに寝かせに行っている間に、右京くんが昨日からの様子を教えてくれた。



「蒼衣は自分のこととなると鈍感で……ただ、俺らはいつでも蒼衣の味方でいるだけだから」


「わかりました」



「蒼衣、何かだいぶうなされてたけど、大丈夫か?」


「じゃ、俺らはもう帰るんで、蒼衣のことよろしくお願いします」



「え!?」


「は? 先生と2人きりとかダメだろ!」


「いいから、匠海行くぞ。ちなみに蒼衣は一人暮らしだから。じゃ、先生、またね」



そそくさと右京くんが匠海くんを引きずって行ってしまった。どうしよう。蒼衣くんの部屋は確かあの扉だよね…様子だけでも見て…


ドタっ!!


「あ、蒼衣くん!」


蒼衣くんがベッドから落ち、ゆっくり起き上がるところだった。わたしは蒼衣くんのそばに行くとケガがないか確かめる。


「な、何でつぐが俺の部屋にいるの!?」



「何でと言われましても…」



蒼衣くんの告白は除いてことの経緯を簡単に説明すると、蒼衣くんが恥ずかしそうにベッドに伏せた。何だか新鮮な反応にいたずら心がくすぐられ、蒼衣くんの顔をのぞきこんだ。



「蒼衣くん、顔を上げてください。蒼衣くんってば」



すると蒼衣くんはわたしをベッドに押し倒すと、顔が見えないように突っ伏した。わたしの両腕は蒼衣くんに拘束され身動きが取れない。少しでも横を向けば、息のかかる距離に蒼衣くんがいる。


どうしよう。またしても心臓が早鐘を打つ。こんな距離じゃ、蒼衣くんに気付かれてしまう。



「調子に乗りすぎ…」



蒼衣くんがわたしの耳もとで話す。



「つぐ、緊張しすぎ」



「だ、だって!」


思わず蒼衣くんの方を見ると、唇と唇が触れそうな距離で視線が合った。



「あ、蒼衣くんお腹すいてないですか!? 何か作りますよ!」



慌ててその場から離れようとするも、蒼衣くんがそれを許してくれない。


「つぐ、嫌じゃなかったら、目閉じて」


蒼衣くんの優しく真剣な眼差しに抵抗することを忘れてしまった。ゆっくりと目を閉じると、自分の心臓の音、部屋の時計の秒針の音、ベッドの衣擦れの音…ありとあらゆる音が大きく聞こえる。



数秒後、蒼衣くんの柔らかくて熱い唇がゆっくりとわたしの唇と重なる。



「つぐの唇、冷たくて気持ちいい」



そうゆうと蒼衣くんの唇がもう一度、わたしの唇に重なった。さっきのキスとは違って少し長いキスをすると、わたしの首筋にキスをした。



「あ、蒼衣くん! 熱が上がってきちゃうよ!」



「つぐ、黙って」



少しばかりの抵抗では到底抗うこともできず、蒼衣くんの唇が鎖骨、胸元まで降りてくる。もしかして、わたしこのまま蒼衣くんと!?



「蒼衣ー? いるかー?」



え!? だ、誰? 玄関の方から男の人の声が近づいて来る。扉を開けたのは蒼衣くんそっくりだけど、少し雰囲気の違う男の子だった。

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