表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうしてきみは高校生!?  作者: 藤井 頼
1/54

episode.01

今日の山羊座は…っと。通勤途中にスマホをいじりながら、星座占いをチェックするのが日課だ。


「恋愛において10年に一度の思いがけない幸運が舞い込む予感。少し強引なくらいがちょうどいい!ラッキーアイテム、制服」


10年に一度って(笑)この先10年間恋愛いいことなしってこと!? やばくない? それ。


今日は月曜日。

いつもの時間。


『あれ? 確か定期、かばんに入れたはずなんだけど…』


最寄駅から乗車した際使用した定期が見当たらない。改札への人の波から少し離れた所でかばんの中を探る。あるはずの場所に定期はやはりない。


諦めてスマホで時間を確認する。幸い始業までには余裕があった。改札の窓口で駅員に事情を話し、紛失届けを出すと翌日以降に受け取りするように伝えられた。


「…はぁ」


小さなため息をつくとかばんを肩にかけ直し改札へと足を運ぶ。


「あの!」


背後で大きな声が聞こえて振り返る。


人波をかき分けるように現れたのは男子高校生だった。制服から見える素肌は真夏だというのに透き通るような白さ。前髪重めのストレートマッシュは韓国アイドルさながら。


いわゆるイケメンってやつで、わたしだけでなく周囲にいた人間は少なからず彼に注目していた。


今日は朝一から打ち合わせもあるし、多少書類の整理をしたい…一瞬わたしの乙女センサーが働きかけたが、頭の中はすでに仕事モードにきりかわっていた。わたしは改めて改札へと向き直り朝やっておかないといけないタスクを頭の中で整理し始める…。


「定期…」


「定期」というワードに反応し、再び振り返ると息を切らしうつむく彼が目の前にいて、その手には見覚えのあるラベンダー色の定期ケースが握られていた。



「わたしの!」



彼は顔をあげると安心したようにはにかみ、わたしに定期を差し出す。


「…どうぞ」


「あ、ありがとう」


定期を受け取ると彼は元来た方へと向きを変える。少し離れたところで友人らしき数人が彼を待っていた。


恋愛において10年に一度の幸運!!?

ラッキーアイテム、制服!!

少し強引なくらいがちょうどいい…


今朝見た星座占いが脳裏をかすめた瞬間、考えるより先に彼を引き止めていた。


「あの! もしよければお礼させて下さい!」


そうゆうとカバンから名刺を1枚取り出して彼の手に強引に握らせた。



「…え?」


「連絡待ってます!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ