先輩と後輩
「先輩、付き合ってください」
卒業式も終わり同級生達は写真取り合ったり、打ち上げをすると言って大勢で帰ったりしている中俺は後輩に部室に来るよう言われ行ってみるとこれだった。
「ごめんね、無理だよ」
少々キツい言い様にも思えるだろうけどこの子からの告白は何度もされていて、いつも断っていたのだ。
「そうですか...最後の最後までダメでしたか」
諦めたような言い方だが目はそうは言ってなかった。
「そしたら...私も先輩と同じ高校に行きますから...それまで...待ってて下さい」
そう付け足されたが俺は1年もしないうちに忘れてしまうと思った。
「なんでそんなに俺のことを...好きに思ってくれているんだ?」
「なんで先輩はそんなに私のことを好きになってくれないですか?」
質問したのはこっちなのだけどなぁと思いながらもしばらく考えて、出来るだけ傷つけまいと言葉選び俺は、
「俺は君のことをよく知らないし、同じ部活といってもそんなに関わったことないから」
「私は先輩のこともっと知りたいのでお近づきになりたいです」
いつもは素っ気なく断っていたから俺のことを好きな理由を聞いた事なかったけど、実際聞いてしまうとなんともむず痒い気持ちになってしまった。
「先輩は...他に好きな人がいるのですか?」
「いや、居ないよ」
「今までに彼女がいたことは?」
「...無いよ」
なんだろう、馬鹿にされているのだろうか
「そしたら1年後もう一度先輩の後輩になって...」
「...後輩になって?」
「先輩の1番になりたいでしゅ!」
噛んだ。噛んだことについてなのか勇気を出して言ったからなのか分からないが顔を真っ赤にしながら真っ直ぐそう告げてきた。
「ふふっ そうだな。 待ってるよ。勉強頑張れよな。」
「なっ、何で笑うんですか!?大事なとこだったのに!それより先輩どこの高校行くんですか?」
「知らないで言ってたのか。○○高だよ」
「えっ!?めっちゃ頭いいじゃないですか...私無理かも...」
「待ってろって言ったのはそっちだからな。もう一度俺の後輩になってくれるんじゃないのか?」
「そうですね!頑張ります!」
「私と付き合ってください」
入学式の日に呼び出されてそう告げられた。
「勉強頑張ったな」
できる限りの笑顔でそう答えてあげた
「それはもう頑張りましたよ また告白しようとしていたんですからね!それに...」
この一年良く頑張っていたと思う
「俺と付き合ってくれ」
後輩の言葉を遮るように俺はそう告げた
「え?ホントですか?嘘じゃないですか?」
疑うのにも無理もないだろうな
「本気だよ。そのために1年間勉強見てやったんだからな」
紛れもなく俺が合格出来るようにサポートしていたのだ
「なんですかぁ 先輩も私のこと好きだったんじゃないですか」
後輩はあざとくも不満げに言うがどう見ても嬉しそうで良かった
「俺の中学の卒業式の時に告白されたろ?あの時から好きだったよ」
真正面から思いをぶつけられれば誰でも落ちてしまうだろう。違うか?
「えぇ!?そしたらその時OKしてくださいよ そしたら1年間私辛い思いして勉強しないで済んだのに~」
これはどう見ても俺に対しての不満だった
「その辛いことがあったからまた俺の後輩になれたんだろ?」
そのために俺はサポートをしてきたのだから
「...そうですけど違いますよ?」
「先輩の 彼女になったんですよ?」
笑顔で後輩、もとい彼女はそう言った
「そうだな、よろしく後輩」
「はい!せーんぱい!」
後輩が勝つ ってシチュエーションを書いてみたくてその練習です