■表面
※コメディー色が濃いめのお話です。
A「毎日の食卓」@五木家
ユキ「こうして台所に並んで立つと、ドキドキするな」
ヒビキ「包丁を持ったまま興奮しないでくれよ。ハラハラする」
ユキ「え~っと、二葉のメモによると、まず皮を剥き、一口大に、……面倒だから、いきなり鍋に入れるぞ」
ヒビキ「ちょ、ちょっと待った! その包丁の存在意義は?」
ユキ「細かいことを言うな。食べられれば良いんだから」
ヒビキ「良くないって。ワイルドすぎる!(先が思いやられるよ)」
B「映画鑑賞会」@六岡家
アヤ「いらっしゃい」
マサル「お邪魔します。あれ、弟くんは?」
アヤ「パッケージを見たら、びびって逃げました。ホント、チキンなんだから」
マサル「(映画のチョイスが気になる。)何を観るんだい?」
アヤ「フフフ。それは、再生してからのお楽しみです。舞台は、病院ですよ」
マサル「(楽しめるだろうか?)まさか、廃病棟じゃないだろうね?」
アヤ「さあ、どうかしら? フフフ(暗黒微笑)」
マサル「ック(怖い!)」
C「類は友を呼ぶ」@壱関家
フミ「お二人は、学生時代、どんな学生さんだったんですか?」
ハジメ「俺はスリムで爽やかなスポーツ青年だったけど、一橋は変わり者だったな」
シゲル「ちょっと待て。精悍な野球青年だったのは認めるが、爽やかではないだろう。語弊がある。齟齬が発生している。訂正したまえ」
ハジメ「すぐ、これだ。梅雨入りから梅雨明けまでは、何があっても頑なに長靴を履き続けてたし、試験直後に高熱で搬送されたこともあったじゃないか」
シゲル「ろくに勉強せずに試験を受けて、記述用紙に似顔絵を描いて可をもらった人間に言われたくない」
ハジメ「ユーモア賞だよ。何でも理屈に合えばいいと思うな、人間計算機!」
シゲル「非科学的な超常現象を鵜呑みにするな、無知蒙昧!」
フミ「あらあら。仲がよろしいこと」
D「ドアを隔てて」@肆折家
タカシ「紅茶を淹れるとなったら、割と時間が掛かるよな。宝探ししようぜ」
サトル「座れ、弐村。他人の家を荒らすな」
タカシ「ちゃんと元通りにするって。大丈夫。バレない、バレない」
サトル「そういう問題じゃない。いいから、座れって」
サエ「(何を言い争ってるのかしら? ゴソゴソと音がするけど)」
タカシ「ちょ、二葉。引っ張るなよ。シャツが出たじゃないか」
サトル「言うとおりにしないからだ。抵抗しなければ、シャツも出ないって、コラ! おもむろにズボンを脱ぐな」
タカシ「え? だって、脱がなきゃ入れられないじゃん」
サトル「それは、そうだけど、ここに肆折さんが戻ってきたら、ヤバイだろう」
サエ「(ヘタレ攻めとヤンチャ受け? これは、美味しいシチュエーションだわ)」
E「ヒルズひのき台」@漆田家
ヒトシ「スゲエ。カーテンが、ボタン一つで全開になる。あっ、このチャンネルで、天井の灯りが変えられるんだ。ハイテクだな。未来の家だ」
マコト「僕が居ないほうが、都合が良かったのではありませんか?」
アイ「そんなこと無いわよ。嫌そうな顔をしないでちょうだい。いきなり二人きりになったら、戸惑うじゃない。ワンクッション置かなくちゃ」
ヒトシ「ウーワー。こっちの窓からは、街から海まで全部見える。気持ちいいや。夜になったら、もっとキレイなんだろうな」
マコト「ずいぶん、無邪気な彼氏ですね。頭が軽い男は、お嫌いだったと記憶していますが、どういう心変わりなのですか?」
アイ「そうね。本物の恋に目覚めたってところかしら? 計算や条件じゃなくて、直感で落ちるものなのよ、真の恋というものは」
F「左ハンドル」@ミニバン
ニコライ「このまま真直ぐですね?」
カヨ「はい、そうです。すみません。運転をお任せしてしまって」
ニコライ「気にしないです。美女を右に乗せる運転は、とても楽しみます」
カヨ「そうですか。(イタリアのかただけあって、左ハンドルの車に慣れてるわね)」
ニコライ「どうしたですか? 音楽は必要ですか?」
カヨ「ああ、ごめんなさい。そうですね。(ラジオでも付けよう)」
ニコライ「ケ~セラ~、セラ~♪」
カヨ「!(びっくりした。自分で歌うのね)」