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Qと海軍事情

謎が多いガラクタ収集家のQ。出航の準備のため買い物を手伝ってくれる事になったのだが…町では何やら騒ぎが起き…!?

チュンチュン…

鳥のさえずりと窓から漏れる僅かな日差しで目が覚めた。息を吸おうとしたが埃っぽさでむせ返った。よくこんな部屋で寝てたなぁ…と我ながら思う。冷たい取っ手に手をかけ重たいドアを引いた。ギギギギ…と錆びれたような音を立て開いた。ひんやりとした空気が頬を撫でる。太陽の眩しさに思わず目を細めた。あぁ、朝だ。今日も朝がやってきた。ぐーーっと伸びをして遠くを見つめた。建物の間からキラキラと宝石を散りばめたかの様に海が輝いて見えた。

「……はぁ。」

小さくため息を吐くと後ろから声が降ってきた。

「朝が早いんだな。」

振り返るとQがドアに寄りかかりながら俺様を見下ろしていた。昨日はあの後、店に泊まらせて貰ったのだ。久しぶりに揺れる海の上でなく地の上で…しかもちゃんとしたベッドの上で寝たもんだから少し落ち着かなかった。

「ん?まぁな自然と目が覚めちまうんだ。」

そう言ってケラケラ笑うとQの目付きが何故か鋭くなった。何だよ…そんな目で見るなよ。

無言の圧力。Qは口を開こうとしない。こういう間が嫌いだ。まるで相手を探るかのようにまじまじと見てくる。何だか気まずい。しかし案外あっさりとQは沈黙を破った。

「……お前は…」

小さく…しかしハッキリとした声で…

「少し無理をしているな。」

「は?」

言っている意味が分からない。無理を?俺様が?思わず頬が引き攣る。

「いや、してねぇから…」

いつものように笑おうとしたら、そういうところだ。と言われたのだ。

「あまり無理はするなよ。」

そう言い残すとQはドア押し開け、店の中へと消えていった。俺様はその後を追う気にはなれず、重たい音を立てて閉まりゆく様子を遠目で眺めていた。

明らかに隔てられたドア。どこか感じさせられる距離感と拒絶。

あぁ、やべぇわ…

まるで心の中を覗かれているような気がして、酷く恐ろしく思えた…

本当は、否定したかったQの言葉の真意は俺様が一番よく知っていて…

少しだけ一人の時間が欲しかった。

※※※※※※※※

「…あれ?皆さんもう起きてたんですか?おはようございます…」

サージが目を擦りながら歩いてきた。今起きたばっかりなのか頭はボサボサで眼帯もバンダナも付けていない。

「おはようございますって……おそようございますだろうが!もうとっくに太陽が高く上がってるぞ!」

思わず苦笑した。こっちは朝食を済ませ身支度も整え終わっているのに。

「あぁ、そうなんですか……久しぶりにベッドで寝たものですからぐっすりでしたよ。ふあぁ……」

欠伸をしながら洗面所の方に歩いていった。全く。普段散々俺様に対してだらしないとかはしたないとか言ってくるくせに…お前も人の事言えねぇじゃないかよ……

そんな俺様達にはお構い無しでQは優雅にお茶を飲みながら新聞を読んでいる。不思議なくらい甘い香りがするモンだから…何だそれ、そう聞いてみるとどうやらお茶にミントと砂糖を入れたものらしい。

よくまぁこんな埃っぽい部屋で飲めるなぁと感心してしまう。飯食わせてもらったのと泊まらせてもらったお礼に後で掃除してやるか…

そんな事を思っているとサージが戻ってきた。

「ここのあるの貰ってもいいんですか?」

テーブルの上に置いてあるパンや林檎を見ながらサージは聞いてきた。

「適当に食えばいいさ。」

Qは新聞を見ながら素っ気なく答えた。ありがとうございますとサージは林檎を手に取り頬張った。

シャクシャクと咀嚼音が響く中、Qは「ん?」と手を止めた。どうかしたのか?わけも分からず首を傾げてると新聞の一面を見ながら笑い出した。

「……あの?」

「何が書いてあるんだ?」

耐えきれなくったので、思い切って聞いてみた。

「あぁ、悪い悪い。この記事、お前らの事書かれてるな…と思ってな。」

新聞を投げ渡してきたので、それをキャッチして見てみると、どうやらこの間の金のグラスを盗んだ時の事が書かれている。

【偽りの信頼。MARE軍契約続行。】

そう太字で書かれ内容はこうだ。MARE軍の警備は甘く宝が、″ウォーシャン″を名乗る二人の海賊に盗まれてしまったこと。盗まれた宝は偽物であったこと。しかし、MARE軍は海賊から人々を守るため港の巡回を続けるということ。

思わずサージと顔を見合わせて苦笑した。Qは流石ウォーシャン。やる事が大胆だなとくつくつ笑っている。俺様達としては偽物をつかわされたものだからあまりいい気はしない。というかこうして笑われると不愉快だ。

「けっ……」

新聞を勢いよく投げ返した。

「何だ?偽物だったことを気にしていたのか?嫌な思いをさせたなら謝ろう。すまない。」

Qは申し訳なさそうに眉を顰めてこちらを見ている。何だか謝られると複雑な気分になるな……

「別に俺様はいいけどよぉー……MARE軍だよMARE軍。アイツらホント馬鹿だな。」

呆れるほどのお人好し軍である。嫌われてるならそんなヤツら守る必要ねぇのに。他の軍に任せちまえばいいものをそれをせず巡回続行って…

「あの軍は昔っからそうだ。人々の為に命すら惜しみなく使い、利益や見返りなんて求めずただ自発的に行動する軍。まぁ、中には″偽善の軍″なんて悪く言う奴も多いけどな。それに今は″弱小軍″とか色々と酷い扱いをされてるとよく耳にする。他軍にも、庶民にも。」

なんつーか皮肉な話だな。命張って人々を守ってるのに偽善だと笑われる。信じらんねぇわ……もっと感謝されるべきだと思うけど…今の時代、守られて当たり前っつー考えが根付きすぎている。それで海賊に奇襲とかされると海軍に責任を押し付ける。いやいや恨む相手違うだろうがって話だよ。ホント狂った時代だ。まぁ、海賊の俺様がそんな事思うのもどうかと思うけど…

「大変なんですね…海軍って……」

「大変なのは海賊のせいだけどな!俺様達みたいな!」

元を辿るとそういう事だろ。けれども海賊はやめらんねぇ。まだ見ぬ世界を見てみたいから。冒険したいから。会ったことのねぇ奴と会ってみてぇから。もっともっと世界を知ってみたいから。

「お前達の責任でも何でもない。あまり深く考える必要は無いさ。あくまでMARE軍の問題だ。これからの行動次第で良くも悪くもなれる。全ての人間がMARE軍を嫌っている訳では無い。中には感謝している人間だっている。何にしたって批判する人間の方が悪目立ちするから分かりずらいが、必ずいるものなんだ。」

そう言うとQは目を伏せた。

「お前達もいずれそういう存在になるさ。」

そういう存在になる…?どういう事だ?

しかしQは意味を理解してない俺様達にはお構い無しで言葉をどんどん繋いでいく。

「けれども勘違いするなよ。みんながみんな、嫌う訳では無い。中には必ず理解してくれる奴も居るはずだ。そういう奴と出会っていけ。悪目立ちするからってみんなが同じとは限らない。……惑わされるなよ。」

まるで未来を予知するかのようにつらつらと言葉を並べられた。やっぱりQって不思議な奴だな。こればかりは言ってる意味全然分かんねぇけど。

「それって…」

サージが質問しようとしたがパァンと手のひらを合わせる音で掻き消されてしまった。

「さてと、町を案内しようか。今日出航するんだろ?食料の買出しに行くか。」

Qは徐に立ち上がり俺様達に背を向けた。まるで何も聞くな。と言ってるかのように感じた。

サージもそう感じ取ったのかこれ以上は何も聞けなかった。

「……行かないのか?」

催促されるものだから慌ててQの後を追いかけて外へと飛び出した。

※※※※※※※※※※

狭い路地裏を抜けて表通りに出ると、町は今日も賑わっていた。少しでも自分の店に客を呼び込もうとあちこちで試食だったり呼び込みだったりしていた。全部の店をまわってみたいけどそんな事をしてたらきっと日が落ちてしまうだろうし、あれも欲しいこれも欲しいってなってお金も無くなってしまうだろう。だから買いたいもののある店のみ寄るようにしようと決めた。余計な店には行かねぇ!

……そう決めたのに体は勝手に気になった店の方に行ってしまい、二人に怒られちまう始末だ。

「全く兄さんは……こんな人混みの中勝手にどっか行かれたら困りますよ!」

「ごめんって…」

「犬みたいに紐で繋ぐか?」

「あぁ、それはいいですね。」

「あ!?」

…嘘だろ。恐ろしいことを言われちまった。キュートの癖に全然考えキュートじゃねぇよ!!!!それを肯定するサージもどうなんだよ…我が弟恐るべし。そんな事されたくねぇから黙って二人の後を付いていくことにした。余計な事はしないしない。今度来た時に他の店を見てみるか…。

水だったり野菜だったり必要なものを買い揃えながら歩いているとQが突然立ち止まり隠れるよう指示してきた。

「……?どうしました?」

「海兵だ。身を隠せ。」

マジかよ!?慌てて物陰に隠れた。何やら店前で騒ぎになっている。喧嘩でもあったのだろうか。

聞き耳を立ててじっと様子を伺った。三人の海兵が一人の男に寄ってたがっている。

「立てよ。この万引き犯が!」

「放せ!クソっ……放せ!」

周りは野次馬で溢れている。人々の間から僅かに見えたが…何かが違う。

「ん?なぁQ。アイツら本当に海兵か?」

「あぁ、海兵だ。」

それにしては服装が違う。この間追っかけてきた海兵はこんな服では無かった。

「え?そうなんですか?」

サージも服装を見て目をぱちくりさせている。

「……?もしかしてお前らの想像してる海兵ってMARE軍の海兵じゃないか?」

「そうだけど…MARE軍の海兵じゃないのか?アイツら。」

するとQが納得したようで補足してくれた。

「海軍は一つだけじゃない。複数存在するんだ。それぞれ掲げている事も違う。あれはRAUTラウト軍の海兵だ。」

RAUT軍…?初めて聞いた。てことはマリンちゃんがいた軍とはまた別な軍というわけだ。

「RAUT軍は周りから信頼されてるが…俺は好きではない。」

Qの言う通りRAUT軍は多くの人々から信頼されている様だ。万引き犯を捕まえただけなのに周りの賞賛の声や拍手が止まない。調子に乗って指笛を吹くヤツすら居た。それに応える様に海兵は帽子を外しその場でお辞儀をした。

「この町は私達が守ります。決してMARE軍のような失態はしません。海賊や卑劣な悪人に踏み荒らされない町にして見せます。」

そんな事大声で宣言してもう一度お辞儀をした。するとわあぁっと大袈裟な歓声が上がった。

けっ、聞いてて胃がむず痒くなる。他軍と比べてる時点で間違ってるっつーの。歪んだ正義感に思わず眉を顰めた。

コイツらのせいで周りの人々の考え方も歪んでいくと思うと反吐が出そうだ。

「うわぁ……」

サージも少し引いている。誰かを下に見て優越感に浸かる馬鹿みてぇな考えのやつは俺様の一番嫌いなタイプだ。

「……こういうのもあるが…俺が嫌う理由は他にある。」

Qの海兵を見つめる眼差しは酷く冷たいものに感じた。一体何を嫌っているのだろうか…

「では我々はこれで。この悪党の始末はお任せ下さい。」

そう言って海兵は万引き犯を乱暴に引っ張り、裏道へと消えていった。

何で裏道に行く必要があるんだ?まるで人目のない所で恐喝でもするみてぇじゃねぇか…疑問に思っていると、Qが動き出した。

「知りたいか?アイツら正体を。」

ゴオォッと強い風が吹きストールが揺れた。全てを見透かしている朝焼け色の瞳で俺様達を交互に見て聞いてきた。Qの考えはさっぱし読み取れない。正体って…?どういう事だ?

「…自分の目で確かめた方が早いか。着いてこい。」

そう言って海兵が消えた裏道の方へと足を進めた。まだうんともすんとも言ってねぇのに……見失わないように早足で後を付いて行くので精一杯だった。

※※※※※※※

狭く暗い道を進んでいくと行き止まりになっている事が確認出来た。Qによると、途中で曲がると海沿いの道に出るが、ずっと進むと今いる行き止まりにぶち当たるらしい。この場所は滅多に人が来ず、人目を避けるにはもってこいの場所とのことだ。何で海兵がわざわざこんな所に……?気づかれないよう少し距離を置いたところからじっと様子を見ていた。すると…

「おらぁ!手間かけさせんじゃねぇよこの下衆が!」

「ってぇ…海兵が…庶民に暴力なんて……!!」

さっきまで笑顔を振舞っていた海兵とはまるで別人のように、酷く冷たい表情をしながら暴力を振るっていたのだ。万引き犯の男はガタガタと震え小さくなっているのに、海兵達はそんなのお構い無しで蹴り続けている。

「犯罪者に人権なんてねぇんだよ!立てやこのっ!」

ドスッドスッと嫌な音が響いている。男のうめき声、海兵の嘲笑う声……聞いててムカムカしてきた。男を助けようと銃を構えた所をQに止められた。何で止めるんだよ!?アイツ、死んじまうかもしれねぇのに…!!

けれどもQは何も言わず首を振るだけだった。ただ黙っていたぶられてる様子を見てろって事かよ!?

「許して下さい……命だけは…許して下さい…」

男は地面に頭をつけ泣き泣き言った。すると海兵は暴力をやめた。男の髪を掴み、無理やり自分の方を向かせるとニヤリと口元を歪ませた。

「いいぜぇー?じゃあ寄越せよ。」

「……ぇ?」

「チップだよチップ。分かるだろ?」

そう言って海兵は手を出した。男は目を見開き驚いていた。勿論俺様達も想定外の言葉に驚いていた。

「さっさと出せよ!そうすりゃ見逃してやるよ!」

そんな海兵を横目にQは冷たく言い放った。

「あれが本当の姿さ。海兵という地位に溺れて平気で自分よりも立場が弱い相手から金品を奪う。いいように使ったあとは切り捨てる。庶民から信頼も得て、自分達の利益をも得る。都合のいい奴らだろ?RAUTの下級海兵はやりたい放題だ。なのに上はそれに気づかない。本当に、どうしようもない巫山戯た軍だ。」

Qは鼻で笑っていたが内心笑ってないと思う。瞳の奥で静かに怒りの炎が燃えているのがひしひしと伝わってきた。

そこらの海賊よりもよっぽどタチが悪い。こんなヤツらをほおっておいてもいいのだろうか?いや、いいはずが無い。このままじゃ調子に乗ってもっとひでぇことをすると思う。もしかしたら、平気で命すら奪ってしまうかもしれない。手遅れにならないうちに止めなくては。

再び海兵の方を見やると、男から有り金を受け取っている最中だった。

「ちっ……これっぽっちか。まぁいい。じゃあな!」

そう吐き捨ててその場を立ち去ろうとしてるものだから、考えるより先に身体が動いていた。

「……!!??おい!」

「兄さん!?」

二人の呼びかけに振り返ること無く、気がついたら拳を振り上げていた。そのまま海兵の頬に向かって突き落とした。

「ってぇ!?何だこのガキ!?海賊!?」

「はぁ…手出ししてしまったか…そんなんだから野蛮…と言われてしまうんだぞ…?」

Qが歩み寄ってきた。サージもその後ろをゆっくり歩いてくる。海兵は状況を理解出来てないといった様子でざわつき始め、動きを止めてしまった。

「お前ら何者だ!?公務執行妨害だぞ!?分かっているのか!?」

何を今更…流石にカチンときた。

「はあぁ?公務だぁあ?海兵さんは暴力を振るって金を奪うのがお仕事なんですかぁー?馬鹿かよ。冗談にしては笑えねぇなぁ……」

今度は拳でなく銃を構えようとしたが、それよりも早く海兵が銃を構えた。引き金に指をかけようとしていた所を後ろからQがさっき買った水の入ったボトルで殴った。

不意打ちだったので海兵はふらふらと蹌踉めきその場に倒れてしまった。残りの海兵はサージが既に倒していた。

「まぁ、俺はそういう行動力嫌いじゃない。」

ボトルを担ぎふわっとQは笑った。

「後先考えずに行動するのはやめましょうよ……」

目を半開きにしてサージは言った。

「だって……許せなくて。」

そう答えると、兄さんらしいですね…と更に呆れの色を濃くされた。壁の方を見やると殴られていた男はもう居なくなってしまっていた。俺様が飛び出した時に逃げてしまったんだろう……

地面に伸びている海兵を見ながらQは言った。

「これでタダでは済まされないだろう。お前らはRAUT軍を敵に回してしまったという訳だ。コイツらは他の海兵に見つかり次第解雇されてしまうだろうが……暴行を加えてたという事実は上に揉み消されてしまうだろう。 」

敵に回すのは別にどうだっていいが……事実を揉み消されてしまうのは癪に障る。この事実をみんなが知ればいいのに。けれども言ったところで誰一人と信じないだろうな。きっと嘘だと周りから攻撃されてしまう。

皆は嘘を信じすぎてしまっている。今の世は周りに流され過ぎて本当の事を言えない人が多いと思う。勇気を出して言っても嘘つきだと攻撃されてしまうから。何故正直者が惨めな思いをしなければいけないのだろうか?俺様には分からない。だから変えたい。誰にも指図されず自分の思うがままに生きて、皆の考え方を変えてやりたい。

……なんてな。

きっと夢物語で終わってしまうだろう。けれども、せめて、自分には嘘をつかず正直に生きていたい。

「何だか理不尽な世の中ですね…」

サージが呟いた。それに反応するかのようにQが振り返り、小さく消えそうな声で言った。

「そうさ。いつの時代も似たようなものだ。権力者だけが得をするように出来ているんだ。だから身分が低い者ほど生きにくい世の中になっている。食べ物にも困り犯罪に手を染めてしまう輩だっている……さっきの男みたいに。」

悲しそうに目を伏せていた。そして更に言葉を繋げた。

「こんな救いようのない世の中だが、きっと変われるものだと信じている。なぁ、ウォーシャン。信じてないとやっていけないだろう?」

Qの声は少し掠れていた。その問いには何も返すことが出来なかった。

やっぱりこんな世の中間違っている。誰かが行動しないと変わらない。誰かって誰が?

誰かじゃなくて……自分自身が先頭立って行動しなければならないのかもしれない。みんながみんな、誰かがやるだろうと他人任せだからいつまで経っても何一つ変わんねぇのだろうな。

俺様達の間でしばらく沈黙が続いた。

※※※※※※※※※※※

伸びていた海兵を放置して引き続き買い物をした。必要なものを買い揃えると、Qの店へと戻り荷物をまとめた。

少しの間だったがQには大分お世話になったので、出航の前に一通り室内を掃除してやったのだ。流石俺様!見違えるくらいピッカピカになったぜ!掃除してる間に大分日が落ち、窓の外を見てみると、辺りが暗くなっていた。この時期は暗くなるのが早いや。

Qにサヨナラをして、二人で停泊してある砂浜へと向かった。昨日と何一つ変わらず船が波に揺られている様子が見え、少し安心した。息を吸い込む度に潮の匂いが鼻をくすぐる。船内に荷物を詰め込み錨を上げ、ばしゃりと海に入り船を押した。掛け声に合わせて二人で協力して押した。海水はとても冷たく長時間浸かっていたらきっと風邪をひいてしまうだろう。ある程度浅瀬から離れると次第に潮の流れに乗り、船がゆっくりと進んだ。少しずつ、少しずつ…島から遠ざかっていく。

「何だかちょっぴり寂しいですね。」

サージが町の光を見つめながら呟いた。

「まぁな…宝見つけ次第また来ようぜ!すっげーお宝見つけてQを驚かせてやろう!」

そう言うと少し目を丸くした後、口元を緩めた。

「えぇ、そうですね。驚かせてやりましょう。」

明るかった町とは対極に船のランプ以外灯りのない真っ暗な世界へと船は進んでいくのでした。

はい!読んでいただきありがとうございました!中々話が前に進みませんね!すみません、、今回はRAUT軍の存在と、それぞれの軍の周りからの評価についてなるべく簡単に書きたいかなーって思ってこんな話になっちゃいました…グタグタで相変わらず語彙力ありませんが大目に見てください(-ω-;)気力次第続きます!

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