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月隠れの祈り唄(前編)

川へと舟を出したウォーシャン海賊団。しかし、雪模様で不満も溜まり…

ザァアアアア…

海とは違い一方向に抗うこと無く順調に舟が進んで行く。

流れは単純そうに見えて複雑で、グネっと畝っていたり、急に加速したりと、海と一緒で案外読みづらいものらしい。

帆を張らずしても、勝手に進んでくれるから、舵を取るだけで充分という優れものだ。

にしても…

「ったく。風邪ひかねぇかなぁ…。」

ずっと舵を取っているのはケイムだ。

代わろうか?って声をかけても強情で、

結構だ。の一点張りだ。

責任感が強いと言えば強いけど…体を壊されちゃ困るし…

外は相変わらずの雪模様で、あらゆる景色を白く塗り潰してゆくみたいだ。

針葉樹林も絵本なんかでデフォルメとして描かれるみたいに、雪を被っており、重みで葉先がしなっている。

でもやっぱり俺様には砂糖を散りばめたお菓子みたいに見えてつくづく食いしん坊だな…と我ながら思う。

サージもさっき全く同じ事を言っていたから兄弟揃ってお菓子大好きの甘党だ。

本当に砂糖だったら可愛げがあってまだ良いのに、雪というものは寒くて寒くて仕方がない。


船内の温度は当然の如く低く、サージと毛布の奪い合い

(最初にサージの分の毛布を奪おうとした俺様によって勃発したから十中八九原因は俺様だけど)をするレベルだ。

結局、それぞれの毛布だけで我慢しよう!!という修好条規を結んで終戦を迎えた。


オスカーとバイバイしてから何日くらい経ったっけ?

もう何日も川の上にいて、似たような景色を繰り返し見ている気がする。森の中だからそりゃ、どこも木々だらけだし、しかも同じ雪景色だ。進んでるのは確かだけど、そんな感覚を覚えてしまうのも仕方が無いのかもしれない。

「あーーーー、暇だ暇だ暇だ。」

ずっと船内に籠りっぱなしってのも俺様の性にあわない。

やっぱり動いてなんぼのサザン様って訳よ。

「…川にでも飛び込んだらどうです?」

「なんだよサージ。俺様に死ねってのか?えぇ?」

「さっきから暇暇暇って…言葉にされても困りますって。只でさえ狭い船内なのに…しかも何も無いし、何も無いし…」

「あぁ、もう。二回も言うなっつーの!!そんなの百年前から知ってるし〜!!」

「百年も生きてないくせに。」

「うっせ。ストレス溜まってるのも分かるけどさ、俺様に当たるなって。」

「兄さんが煩いからじゃないですか。ちょっと黙って下さいよ…」

「何を!?それ八つ当たりだってんだよ。」

「当たってません。本当に口ばっかり達者に動かしてペラペラペラペラ。」

お互いにイライラがピークらしく些細な事でああだこうだの言い合いだ。雪のせいでしばらく外に出れてないせいでもある。

「もういい。お前なんて知るかよ。」

理不尽に怒りをぶつけられるモンだから、面倒になって

つい匙を投げ出してしまった。サージだけに匙を投げる(笑)

なんていつもなら笑えるところだけど、今日はどうも笑えない。

「良いですよ。僕だって、知りませんから。」

負けじと我が弟も睨みながらそんな事を言ったのだった。

_________

_____


「……それで喧嘩をした訳か?」

雪がまぶさって、フォンダンショコラみたいなケイムが呆れたらしく、眉を寄せながら鋭い目を更に細めた。

サージと同じ空間に居るのはどうしても、

居心地が良くないから、吐き捨てるようにして寒い外に飛び出して来たのだ。

「そーだよ。ま、喧嘩なんてしょっちゅうするけどさ!!」

「…そうか。」

「ん。でも俺様は悪くなくね??サージってば自己中で、自分勝手で、ワガママで…」

「…それでも、お前は兄として弟の面倒を見なくてはいけないんじゃないのか?」

「うっ…確かにそうだけどさ。」

「サージも今まで我慢してきた事があるんじゃないのか?」

「……そりゃー…」

確かに思い当たる節が無いわけではない。

少し遠慮しがちな面もある事を知っている。

「自己中心的だと勝手な解釈をして、価値観を押し付けるお前も、中々自己中心的だと思えるが?」

「んな!?」

「……イライラさせてしまうのは申し訳なく思うが…しばらくこのままであるのは変わりはない。」

川下り生活は始まったばかりで終わりなんて見えやしない。そもそも元を辿ればケイムがこんな滅茶苦茶な提案をしたせいだ。

しかしそんな事口が裂けても言ってはいけない。

それこそ八つ当たりだし、言葉によってはケイムを傷つけてしまうだろう。

こうして冷静偽ってるけど、きっとコイツの内面は未だぐちゃぐちゃのどろどろで、自殺志願は消えきっていないだろう。

逆撫でする発言は慎まなきゃな。

「…分かったよ。でも、俺様絶ッ対謝りたくねぇからお前がサージに話してくんねぇか?」

「間に入って仲を取り繕えと?」

「ん、そう。頼めるか?」

「……構わないが、それでいいのか?」

コロッと俺様から謝れたらいいのに、余計なプライドが邪魔してそれを許さない。

「良いよ。何でも良い。アイツの話なんて聞きたくねぇし!!」

「……分かった。」

声のトーンを少し低めながらケイムは目を合わせること無く言った。

「…では、舵を頼む。」

雪を払い、ガチャりと中へと戻ったのを確認すると、

盛大なため息を零した。

轟々と吹き付ける雪風が、何処と無く心地よく思えるのだった。


___________

_____


「あぁ、ケイムさん…外は寒かったでしょう。暖かいものでもお淹れしましょうか。」

中に戻ると、こちらに気づいたサージ=ウォーシャンはぎこちなく笑みを作った。

「…では何か頼む。」

「はい。お湯沸かしますからちょっと待ってて下さい。」

不器用な手つきでケトルに水を注ぎ、器具せんつまみを回すのを横にソファーに腰を下ろした。

長時間舵を取っていたせいで手先の感覚がない。

防寒として手袋をしていたが、雪が入り込み、中まで濡れてしまったので殆ど機能を果たさなくなっていたのだ。

そんな手袋と雪まみれで薄く氷が張っているコートをガスストーブの近くにかけると、やっと一段落着いた気がして肩の力がスっと抜けた。

「お待たせしました。紅茶で良かったでしょうか?」

「…構わない。」

テーブルの上に湯気の立つティーカップを置くと、サージは反対側の椅子に腰を下ろした。

口角は上がっているが…いや、無理矢理上げられているが…そんな笑みとは対称に目は影帯びている。

「……心配か?外のアイツが。」

「え…」

「喧嘩したんだってな。」

「…よくご存知で。兄さんが?」

「そうだ。」

サージは困ったな…と人差し指で頬を掻きながら、誤魔化す様に笑った。

「……喧嘩なんてしょっちゅうですよ。別にどっちが悪いとかじゃなくて、お互いに悪い所がありますから…」

「サザンよりも大人だな。」

サザンは自己中心的だと責任を押し付けていたが、サージの方はどうやら自分にも非があったと認めている。

「えぇまぁ…僕がしっかりしてないと駄目ですから。」

この言われようだ。しっかりしろサザン=ウォーシャン。

思わず苦笑してしまいそうになった。

少しずつ二人の性格や違いが分かってきたが、理解しきれない部分が多い。

全ては理解しきれないだろうが、

コミュニケーションを取っていく上で知ることは重要だ。二人の人物像を掴むにはまだ少し時間を要する事は確かだろう。

「毎回喧嘩したらどうしてるんだ?どっちから謝るんだ?」

「…何だか自然と。どちらが先に謝るとか無くて…」

「……気づいたらいつも通りって事か?」

「謝る時はきちんと謝りますけど…有耶無耶になる場合が多いですかね。」

「そうか…」

やはり双子と言うだけあって、意思疎通が想像以上に出来てるのかもしれない。

言葉にせずとも理解し合えるのだろうか…?

「……凄いな。」

「え?」

「…俺にはそれが出来なかった。」

「……。」

自分の考えを言えなかった。伝えられなかった。

今思うと、俺が避けていたのかもしれないな。

目を伏せて、自嘲気味に口許を歪めた。

「……ケイムさんは…」

そこまで言ってサージは押し黙った。考えている。

何を考えているか分からないが、悩んでいる様に見える。

「お聞きしない方が宜しいでしょうか…?」

「……。」

「ケイムさんは……喧嘩しなかったんですか?」

「誰とだ?」

「……ケインさん。お兄さんと。」

あまりにも唐突過ぎる質問に心臓が大きく跳ねた。

首を締め付けられたみたいだ。息が詰まった。

「…知っていたのか?」

分かりやすく動揺が顔に現れているだろう。

目の前のまだ幼い子供から兄貴の名前を投げかけられてしまうとは思ってもみなかった。

知らない事をいい事に、子供だからと見くびっていた。

油断してた。

「……オスカーさんから聞きました。」

…なるほど。アイツが。一体どこまで知っている?

隠し通せるとは初めから思っていなかった。

しかし、こんなに直ぐに兄貴の存在を知られてしまうとも思っていなかった。

どくり、どくりと鼓動が早くなる。

「…お兄さんはどんな人だったんですか?」

過去形…か。死んだ事は知っているらしい。

注意深く相手を知ろうとする…

見かけによらず侮れないな。

「……俺とは対極な存在だった。仲間から常に頼られて、

求められていた。」

「…そうですか。」

「……俺の憧れでもあった。あんな風になれたらいいのに。そう思い、ずっと後ろを歩いてきた。でも、

届く事は無かった。」

今まで誰にも話すことの無かった本音を口にすると、余計に自分が惨めったらしく思えてきた。

「…分かります。」

しかし、サージは静かに言葉を認めた。

「…僕も、兄さんみたいになりたい。でも、なれない。」

「……。」

お互いの視線は絡むこと無くただ沈黙だけが部屋を満たしていく。

そんな風に悩んでいる素振りは今まで一度も見せなかったのに、どうやらサージも劣等感を抱いていたらしい。

「……僕は兄さんみたいに強くないし、明るくなんて無い。剣術も未熟だし、身体も弱ければ、優しくも無い。僕はただ臆病で、何も失いたくないだけなんです。」

「あまり卑下するな。」

「…でも」

「俺には、二人だからこそ支え合えている様に見える。」

「二人だからこそ…?」

「そうだ。お互いに無いものを補い合っている。

確かに″個人″として見れば到底生き抜いていけないほど未熟だ。海賊はそこまで甘くない。」

「んなっ!?」

「しかし、二人では一人前と言っても過言では無い。確かにサザンはとんでもない奴だ。だが、お前にも良い所は沢山ある。」

「僕にも…?」

「…自身でも言っていただろ?サザンはお前が居なければ

駄目だ。何も出来ずに勝手に身を滅ぼすだろう。」

サージは困惑気味に何度も瞬きを繰り返す。

よく言えば支え合っている。しかし、悪く言えば依存し合っている。そんな印象を拭えない。

強みでもあるが、掌を返せば弱点でもある。

まさに表裏一体だ。

「…俺はお前らが羨ましい。」

だが同時に見ていると苦しくなる。

「僕らがですか…?」

「そうだ。」

楽しそうに笑い合う様子を見ていると、まるで昔の俺と兄貴を見ている様で、どうしようもなく苦しくなる。

「……俺は、兄貴と喧嘩なんてして来なかった。思っている事は沢山あったさ。しかし、俺はそれを言葉にはしなかった。些細な事で喧嘩が出来るという事は、常にお互いを見ているという事だ。そして、それを言葉にして伝え合える。いい関係だな。」

「……。」

「今更悔やんでるんだ。伝えておけば良かった。もっと言葉を交わしておけば良かった。もっと、俺がしっかりしていれば良かった。…でも、俺にはもう、それは出来ない。」

本当に今更だ。どうしてもっと早く気づけなかったのだろう。人は失ってからどれだけ価値があったか気づくと言うが…それじゃもう遅いじゃないか…

少し滲む視界で、サージを見ると何故か今にも泣いてしまいそうな顔をしていた。

同情だろうか?それとも哀れみだろうか?

「…お前らにはそんな思いはして欲しくない。だから、当たり前がどれだけ価値のあるものか、今一度考えて、大切にするといい。」

今考えてみると、身を滅ぼすのは俺だけだったのかもしれないな。依存してたのは俺だけなんだ。

兄貴の周りには常に誰かが居た。俺の代わりは沢山いた。

でも、俺には誰もいない。

一人の時間が多かった。唯一味方で居てくれたのは、

ただ一人だった。

それだけ大きな存在だと思い知らされる事になるなんて。

悔やんでも、悔やんでも、悔やみ切れない。

だから、目を背けて、全て見ないようにした。仲間も、感情も、自分さえも見えなくなっていた。

「……僕、ケイムさんがどうして死にたいとか、簡単に口に出来るか分かりませんでした。でも、今なら分かってしまいます。もしも兄さんが居なくなったら…僕は…」

「…過ぎた時間は巻き戻せないし、取り返しがつかない。

俺は今でもどうなりたいか分からない。正直、生きていていいのか今も迷っている。」

「……。」

「でも、生きたい。兄貴に繋がれた命だ。生きて、生きて、償いたい。」

「…償い、とかは少し違うと思いますが、お兄さんもケイムさんが生きる事を望んでいると思います。」

首元にかかる兄貴から貰った十字架をゆっくりと握りしめた。冷たく銀色に輝く大きな十字架。

裏にはKeim=Hasslerと彫られている。別に神を信じている訳でも、宗教徒という訳でもないが、お守りだとくれたものだから肌身離さず付けていた。

今ではこれが無いと不安にさえなってしまう。

「……そう、かもな。」


視線を紅茶に落としていると、大きく波紋を描き始めた。

「…は!?」

舟が大きく傾き、ティーカップは宙を舞い床へと落ちた。音を立てながら破片と液体が飛び散った。

ドタドタと無数の足音が聞こえてくる。まさか敵襲か…!?

乾かしかけの手袋とコートを羽織り外に飛び出たものの、そこには敵に姿は無く、サザンが青白い顔をしながら舵を取っているだけだった。

「兄さん!?」

慌てて外へ躍り出たサージも状況が分からず困惑している。何なんだ…?足音は気のせいだったとでも言うのか?

「ちょ…訳わかんねぇ…!!さっきから可笑しいんだ。明らかに作られた雪玉が俺様目掛けて飛んでくるし…!!ハンドルが誰かに握られてるみたいに回んねぇ…!!ぐぉおお……」

サザンがパントマイムをしてる訳でも無いのに、ハンドルはガチりと固定された様に動かない。

「俺が変わる。貸せ。」

この場を脱しようと、サザンと交代するべく近づいたら、

次の瞬間…

「……!!??」

「え…」


「「ケイムさ〜〜ん!!??」」


横から衝撃が伝い、重力に抗うこと無く川に向かって身が乗り出し、

「「「ケタケタケタケタ。」」」

気味の悪い笑い声をぼんやりと聞きながら、熱を一瞬で奪い身体を劈く水の中へと落ちていったのだった。


_________

___


「ヤバイですって…!!」

何この状況…!!ケイムさんが落ちた!?嘘…何で!?

いきなり何かに突き落とされたと言うか…タックルされたと言うか…ケイムさんは落ちるようなドジかます人じゃないし明らかに異常だ。

「どうしよう。サージ!!ハンドル…!!」

「…はい!!」

「「せーの!!」」

力を合わせて回そうとしても、凍ってしまったみたいに力が反発して動かない。

舟はどんどん進んでいく。このままじゃケイムさんが…

「うわああぁ!?前前前〜〜ッ!!」

「え!?うわあぁああああ!!??」

ハンドルを切らなかったせいで舟が乗り上げ、木に引っかかり動きが止まった。不幸中の幸いと言うか…奇跡だ。

乗り上げた勢いで転倒してしまったが…怪我しなかったしいいか。

「あれ…?兄さ〜〜ん??」

どこいったんだろう?辺りを見渡してみると、雪の中から足だけが飛び出していた。

「わわ!?兄さん!?」

「もごごご!!」

雪を掻き分けて何とか救出を試みた。

「っぷはぁ…!!あ〜…死ぬかと思った。」

「ふふ。」

「…何だよ。」

「あはははははは!!」

「笑うなって!!」

「だって…可笑しくて…!!

ふふふ…あははは!!兄さん真っ白けじゃないですか!!」

「馬鹿かよ…ふっ…あははは!!」

兄さんも釣られて声を上げて笑った。

こんな危機的状況なのに身を捩りながら笑いこけた。

「…ったく。お前って奴は…あー、涙出てきたぜ。」

「ふふ、兄さんじゃなくてケイムさんが川に飛び込んでしまいましたね。」

「そうだよ…アイツ、急にどうしたんだか。」

「見えない何かがケイムさんを…?兄さんも言ってましたよね。可笑しいって…」

「…あれかな?看板通り過ぎた辺りから、森が変わった。」

「看板?」

「そう。あれなんて書いてたのかな?結構ボロボロで読めなかったわ…」

「もしかして赤字でした?」

「赤字だったな。」

「……それって絶対注意書きじゃないですか。」

「マジ??」

そう言えば兄さんの言う通り森が変わっている。

さっきまでとはまるで違い、薄気味悪いくらい静かで光という光を通さない。

「兄さん…今何時くらいですか?」

「んっとな…五時、半くらいだな!!」

という事はもうすぐ夜が来てしまう。いや、この時期だ。暗くなるのは早い。もう夜なのだろうか…

「兄さん!!ここ、もしかして…オスカーさんが言ってた…」

「あ…!!月隠れの森!?」

もしもオスカーさんの話が本当なら…

夜になってしまったら…

「俺様達呪い殺されちゃう!!」

「こ、困ります…」

「もしかしてケイムさんが川に落ちたのは……」

そこまで言って固唾を飲んだ。

まさか幽霊なんてそんなもの…

「…まさかな。」

「と、とにかく…ケイムさんと落ち合わなくては…!!」

「ん。このまま置き去りになんて出来ねぇし…」

「目印として、火でも焚きましょうか…」

「そうだな…」

この広い森だ。可能性はゼロでは無いが、そんな僅かな明かりではあまり意味が無いかもしれないけど、

それくらいしか出来ることが思いつかないから…

「僕は使えそうな木を探して来ますので、兄さんは夕飯をお願いします…」

「おう…」

船内からランプを持ち出し、森へ足を踏み入れてみたものの、思ったよりも雪が深く、場所を間違えてしまえば下半身がすっぽりと沈んでしまう。

「……う、冷た…」

こんな寒い中水に浸かってしまうなんて気の毒過ぎる…

「ケイムさん、どうか無事でいてくださいね。」

ケイムさんの事だ。森に入るなんて危険なマネはせず、川を目印に歩くに決まっている。

焦りのせいか変な汗が出てきたが、信じようと強く決心して、嫌な考えをかき消すのだった。

今回も見て頂きましてありがとうございました!!川へと姿を消したケイム=ハスラー…果たして無事なのでしょうか。そして、月隠れの森の噂は本当なのか…後編に続きます。

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