現れた!?双子の海賊!!
これから始まる物語は双子の海賊が繰り広げる冒険物語。目の前の事に嫌気がさして疲れたあなたにちょっとしたと夢と希望を与えてくれるでしょう。少し現実離れして、何度も壁にぶつかっても、決して諦めずに前へ前へと進もうとする二人の勇姿を見守って行ってください。
この物語があなたのちょっとした後押しになる機会があったらとても光栄に思います。
最初は、幼い頃に母親を失くし、心の中に様々な葛藤を持つ女海兵マリーヌ=ディアス目線のお話です。
それでは、いってらっしゃい。
まさか…こんな事になるなんて…前までここは賑やかな港町であった。多くの人が集い笑いの絶えない街だった。私の大好きな街だった。なのに、今は何も無い…戦火で荒廃してしまった真っ黒な街。元は生きてたであろう動物の亡骸。緑で溢れてたのに…それも今となっては青々とした美しい色も消え、ただ黒く染まっていた。私の知っている街とは違う。違う。こんな所じゃなかった。悔しくて悲しくてただただ涙を流すしかなかった。
__そして同時に憎かった。何で私の大切なものを奪うの?自分の無力さに苛立ちも覚えていた。
突然海賊が攻めて来たせいで何もかもが壊れてしまった。思い出、家族、帰る場所、みんなみんな奪われてしまった。これからどうすれば良いのだろう。先の事なんて分からない。けれども一つフツフツと湧き上がってきているものは分かった。怒りだ。もう誰にもこんな思いをさせたくない。海賊に好き勝手をさせていてはいけない。ねぇ、お母さん。私もお母さんみたいに守る側になれるかな?
※※※※
何年もの時を経て、私は海兵になった。そして、運命の歯車が回る日は突然やって来たのだ。
___大変だ!!海賊によって宝が盗まれたぞ!!
静寂で満ちていたはずの街に怒声が響く。騒動のせいで目が覚めた。急いで身支度をして外へ飛び出る。
「マリーヌ大佐!!ああぁ…夜勤じゃないのにすみません!!大変なんです!!宝が……!!私が見回りをしてたのにっ…本当にすみませんっ!!」
1等兵が頭を下げてきた。
「今は良い。状況は!?海賊はどこにいるの!?」
私が担当の街でトラブルなんてあってはならないのだ。何とかしてその海賊を捕まえなくては…!!
「大佐!!こっちです!!あそこにいる海賊です!!」
一瞬にして目を奪われた。
潮風でたなびく海色の髪。月明かりで薄暗く浮かんでいる不敵な笑み。どこか滑稽で美しいと思ってしまった…
「貴方達は何者なの!?」
すると髪と同じ海色の瞳に私を捉え、さらに笑みを深くした。
「あぁ、初めましてですね。」
「何者?よーーく覚えとけよ!!俺様はな、サザン=ウォーシャン。世界を股に掛ける海賊様さ!!」
「僕はサージ=ウォーシャン、今日からお騒がせしますが何卒よろしくお願いしますね」
ウォーシャンって…まさか…
二百年前の悲劇が頭によぎる。実際に自分の目では見たことないが、歴史の本で目にしたのだ。
ウォーシャンって………あの…!?
目の前に佇む瓜二つの少年。きっとまだ10代だろう。少し恐怖を覚えて足が竦む…けどここで動かなければMARE軍恥だ。歯を食いしばって1歩1歩近づいていく。私が捕まえて更生させるのだ。それがMARE軍の役目……
「まだ遅くはないわ。その宝を返しなさい。そして、大人しく身柄を委ねなさい…」
「おいおい、そんなわけにはいかねぇだよ…!!こんなとこで捕まってたまるもんか!!」
サザンと名乗った少年は目を細めた。
「海兵さんには申し訳ありませんが、宝は頂いていきます。話し込んでたら援兵が来ますしね?」
「そうそ。んじゃ!!またな!!」
そう言って2人の海賊は海に身を投げる
「な!?馬鹿なの!?」
海の方を見ても二人の姿はもうなかった。今の一瞬でどこかに消えてしまったのだ。
「何処へ…!?不味い。捜せ!逃がしてはいけない!全員隈無く探せ!」
突然現れたその兄弟は世界を混乱へと導くのでした。
「ははっ…そりゃ災難だったな。マリンはハズレくじを引いた訳だ。」
隣を歩くバロンがいかにも面白そうに笑う。
「もう!笑い事じゃないんだから……こっちは一晩中捜し回ってクタクタなのよ…MARE軍の信用問題に関わるわ…ホントダメね…私って。」
「そう気を落とすなって!そういう日もある!失敗しない奴なんてさ、いないんだし…全部が全部マリンの責任じゃない!…な!落ち込んでてもいい事なんかないんだからさ〜元気出せよ!」
「……そうね。」
慰めのつもりか肩に手を置かれる。どちらかと言うと惨めさが募っていくから優しくしないで欲しい。
マリーヌ=ディアス、皆からはマリンと呼ばれている。MARE軍の海兵である。どんなに頑張ろうとしても空回りばかり。最近自分がヤになりつつある。私のお母さんもMARE軍の海兵だった。けれどもあの日、人々を守るため戦った末、死んでしまった。とても悲しかったが、最後まで逃げずに人々を守り抜いた母の事を誇りに思う。私もそんな母のようになりたかった。けれども実際そう上手くはいかない。皆に迷惑をかけてばかりである。今回はMARE軍の名に泥を塗ってしまったのだ。このままではいけない。
何とかして名誉挽回しなくては。
「そういやその子供海賊……ウォーシャンって名乗ったらしいな。」
「えぇ」
「ウォーシャンって言ったらあれだろ?昔、大量虐殺事件を起こした…あの海賊の名前と一緒だよな。」
「ジェラ=ウォーシャン…多分同じ血筋じゃないかしら」
たった一夜にして多くの人を虐殺したジェラ=ウォーシャン。その行方は知れておらずその日を境に姿を消してしまったと言われている。
「不味くね?もしそうだとしたら…めちゃくちゃ凶悪な海賊になりうるじゃないかよ…いち早く捕まえないとな。」
「そうね…」
「じゃあ俺裏通り探すからマリンは表通り頼むわ!まだこの街に潜んでるかもだしな。」
「分かったわ。もし何かあったら無線で連絡お願いね!」
「りょーかい!」
私がヘマしたせいで大掛かりの捜索をせざるおえなくなった。何せこの街に伝わる大事な大事な宝が盗まれてしまったのだから。
「困った海賊だな〜」
「えぇホント……」
「朝っぱらから海兵さんはよく働くねぇ〜。感心感心」
「昨日から一睡もしてないのよ……たまったもんじゃないんだから……」
「マジで!?ゆっくり休めよなぁ〜。そんなに熱心に追っかけちゃって…なぁに?俺様のファン第一号?(笑)」
待って。私誰と話してるの?それにこの声……
「ふぁあああ!?いたぁああ!?サザン=ウォーシャン!!??」
外壁に寄り掛かりながらニヤニヤとこちらを見ている。なんつー憎たらしい顔だ。
「おっと、バレちまった!気持ちはありがてぇけど生憎俺様は世の中の女性を平等に愛する主義なのでごめんな!」
「あほ!そんな訳あるか!よくまぁノコノコと出てこれたわね!?そんなに舐め切られてるのかしら?」
剣を構え一歩進むと慌ててサザンは一歩後退する。
「そう怒んなって!こっちは宝を返しに来たんだよ!」
「はあぁ?」
意外過ぎる言葉に拍子抜けしてしまった。返す?海賊が宝を返す?そんな話聞いたことがない。
「だってこれ売っても価値ねぇし……」
「価値がない?」
「つまりはだなぁ〜……偽物なんだよこれ!」
にせ……?
「偽物ぉおお!?」
偽物のはずがない。厳重に警備してたんだから…盗まれるはずが無い。いや、現に盗まれたけど…昨日まで盗まれた事は一度もないのだ。
「誰かがすり替えたってこと!?そんな訳ないわ!」
「言いずれぇけど…始めっから偽物の警備を任されてたって事じゃねぇの?」
嘘…有り得ない。そんな事あるはず……
「この街のヤツらは真面目さん達が必死こいで海賊からお宝を守るのを嗤って見てたんじゃねぇの?」
そう言うと彼は徐に袋から金のグラスを取り出した。この街の宝であり多くの宝石が散りばめられている。
「見た目じゃわかりにくいけど……これ、普通のグラスに金の塗料が塗られてるだけだし……この宝石だってガラスだぜ?これ……」
そう言うと再び袋に入れ、こちらに宝を投げ寄越してきた。キャッチしたものの想像以上に軽かった。金がこんなに軽いはずない……触ってみると分かる。彼の言う通りこれは何の価値のない偽物だ。どうして偽物なの?頭の中が真っ白になった。
始めから信用されてなかったのかもしれない。私じゃ宝を守れないと決めつけられていたのかもしれない…
「んじゃ!俺様はそういう事で〜」
何も無かったかのように口笛を吹きながら歩いていく。ふざけるな。本物だったら売る気でいたんだろうが!盗んだ事実は変わらない!
「待てっ!!」
「何だよ〜まだなんかあるのか?そんなに追い回されちゃ困るぜぇ〜マリンちゃん♡」
……マリン…ちゃん!?
「マリンちゃん言うな!こんのチャラ海賊!」
追いかけてるのはいいものの思った以上に逃げ足が早い!何なの!?しかも逃げる場所が可笑しい。積み重なってた木箱を踏み台にして人様の屋根に上がったり、距離を詰めたら今度は体を翻して路地裏へと逃げ込んだり、身軽すぎる!お前は猫か!
そんなこんなしてるうちに何とか追い詰める事が出来た。
「はぁ…はぁ……追い詰めたわ…観念しなさい!サザン=ウォーシャン!」
あまりにもなれない道……道といっていいか微妙な所を走ったせいで息が上がってしまった。
「こんなに執拗い女性は……好きにはなれねぇぜ?」
同じくサザンも肩で息をしている。
「けれども忘れてね?もう一人居るんだぜ?」
もう一人……?
「あ、兄さん!いたいた。買うものってパンと、オリーブオイルと……ってどわあぁ!?何で海兵さん引き連れてるんですか!?勘弁してくださいよ……」
そうだ。サージ=ウォーシャン!!のうのうと街で買い物してたのか…
「グッドタイミング!サージ、マリンちゃんの事頼むわ!」
そう言ってサザンは屋根に飛び移る。まさかコイツ弟を置いて逃げる気か!?
「え?えええぇ!?ちょ、兄さん!?急にそんな無茶ぶりですよぉおおお!?」
サザンは餓鬼大将みたいな悪餓鬼だけど、サージはそんなサザンとは対極。どちらかと言うとナヨナヨしているな。
「まぁいい。まずはサージ=ウォーシャン。貴方からにしましょう。抵抗しなければ何も危害は加えないわ。」
「大人しく捕まるほど馬鹿じゃないですよ。海兵さん相手に勝てるかどうか分かりませんが……悪足掻きはさせて貰いますよ。」
そう言うと腰に差してあった剣を抜き、私に剣先を向ける。戦うのはまだ不慣れなのか、表情が強ばっている。まるで全身の毛を逆立て威嚇する子猫のようだ。…上等じゃない。
「残念ね。出来れば貴方を傷つけたくはなかった。けれども仕方がない。じゃあいかせてもらうわ!」
地を蹴った瞬間、銃声と悲鳴が轟いた。
「へ?」
サージも想定外の出来事だったようで、驚き辺りを見回している。何が起こったの?思わず足を止めてしまった。
何処?銃を撃ったのは誰?ここからじゃ分からない。サージなんか其方退けで街灯によじ登り見渡してみた。ここからだと遠くも見える。十字路の所に逃げ惑う人々の姿が見えた。きっとあそこに違いない。
確認できたので飛び降り、その方向に向かってひたすら走った。途中で無線が鳴った。
【マリン?俺だ。こちらティラー。銃声が聞こえたけど何かあったのか?】
バロンからだ。サザン=ウォーシャンを追っかけることに夢中で無線の事をすっかり忘れていた。
「分からない。けれども今その方向に向かってる。イースト通り。そこの十字路のとこ。」
【マジかー!こっから遠いわー……分かった。急いでそっちに向かう。俺が着くまで何とか持ち堪えてくれよ!】
「言われなくても。」
逃げていく人々の間を掻き分け近づいてくにつれ、全貌が明らかになってきた。海賊だ。人質を取り海賊が食料や金品を強奪しているのだ。
人質にされている女性は銃口を突き付けられており震えながら涙を流している。なんて酷いことを…!!
「その女性を解放しなさい!」
声を張り上げると海賊がこちに気づき、ざわつき始める。
「あぁ?何だお前……海兵か?チッ……面倒な。」
明らかに嫌そうな顔をしている。
「けれども女海兵かぁ!なら大丈夫だな。コイツも人質にして、海軍から金を巻き上げてやろうぜ!」
「いいねぇ!そうしよう!」
ゲラゲラと下品な笑いが広がる。女だからって見下されるのが一番気に食わない。
「いいわよ?人質になってあげても。その代わり、その女性を解放しなさいよ!」
少し挑発的な態度で歩み寄る。
「はん。俺らはなぁ!金が欲しいのさ!身代金は多い方がいい。人質はコイツとお前の二人!それは変えらんねぇなぁ!」
端から解放する気がないのね。海賊は話が通じないわ……そうだ、これで騙せるかしら?
「あら、そうなの。じゃあこれでどう?この街のお宝。きっと身代金より大層高く値がつくと思うわよ?」
袋からグラスを取り出し掲げる。すると海賊の目の色が変わった。
「おぉ!?なんて美しい!それならきっと高値で売れる。」
海賊とは本当に宝に貪欲な生き物だ。
「その女性を解放すれば、宝はあげるし…私も人質になってあげるわ。悪くないでしょ?」
すると海賊は女性を突き飛ばした。なんて事を…!絶対に許せない…!人をなんだと思ってるの!?
「そうだな。そっちの方が悪くない。その宝を持って大人しく来い。」
そんなうまい話があるわけないじゃない。ホント馬鹿な連中。女性が逃げて行ったのを確認してから少しずつ距離を縮めた。相手は二十人程度。少し無茶をしなくてはいけないけど…何とかなりそうね。バロンが来るまで持ち持ち堪えるくらい私にだって出来る。
剣を構えようとしたその時、二つの影が目の前を過ぎった。
「女性がそんな無茶しちゃいけないぜ!」
「そうですよ!怪我したらどうするんですか!」
はぁあああ!?
「ウォーシャン兄弟!?何で!!」
「俺様達は海賊でも、こういった卑怯な手口を使う海賊は嫌いだし、見て見ぬ振りは出来ねぇんだよ!」
「人を傷つける事を平気で行うなんて許せません。」
サザンは銃を、サージは剣をそれぞれに構える。何で私の前に立ってるわけ!?
「何だこいつら?邪魔しやがって!」
「こんな餓鬼殺してしまえ!」
その声を合図に海賊達が次々と剣を構えていく。マズイ。
「危ないわよ!退けなさい!私が相手するから!」
「まぁまぁ!心配いらないって!俺様達強いから!」
その言葉、嘘ではなかった。
「サージ!いくぞ!」
「えぇ、ひと暴れしてやりますか!」
目の前の海賊が次々と倒れていく。凄い…サージは舞うように剣を振るい。サザンは確実に急所を避けて撃ち抜く。二人共、相手が死なないように考慮しながら戦っている。
「な、何だこいつら……強いっ!!ふぎゃ…」
「ぎゃああぁ!」
ついに最後の一人も倒してしまった。
「ふぅ!いっちょ上がり♪後始末は海軍さんにお任せするぜ〜」
「何よそれ!貴方達強いのね…」
「ウォーシャンの名に恥じない実力を持たないといけませんからね。」
あぁ、やっぱりこの子達は忌々しい海賊の血筋なのか…
「ん。まぁ!そういう事だ。……じゃあな!マリンちゃん!寝不足はお肌に悪いぜぇ!ゆっくり休めよ☆」
「は?ちょ、待ちなさ…
「着いた〜ってうお、何だこりゃ!?マリンがやったのか!?」
「バロン!あ、ちが…私では無いけど……ってそれどころじゃないの!ウォーシャンが!サージとサザンが居たのよ!……って居なくなってるし…」
「マジかよ〜…けど…ま、悪事してた海賊ぶっ倒したんだしお手柄だろ!」
「私がやったんじゃなくて…あぁもうあの二人のバカ!」
※※※※
何故か海賊を退治したのは私の手柄となってしまった。
そして、今回の一件で偽物を警備させられていたという事実も判明した。この街の人は他軍の事を信用していたらしく、MARE軍の事を毛頭嫌ってたようだ。世の中にはうちの軍のことを嫌う人もいる。必死で人々を守ろうとしてるのに、そんな風に思われるのはとても悲しい事だ。それでも、一人でも多くの人の命を救うためこれからも自分の正義を貫いていこうと思う。
いつか、お母さんみたいに皆から愛される海兵になれるように。人を傷つけるのでなく、守れる力を得る為に。
…揺れる海を眺めながらぼんやりとしていたら、ふとあの二人の顔が脳裏を過ぎった。
うっかり逃げられてしまった双子の海賊。どこまでも真っ直ぐな瞳を持つ二人だが、それが返って恐怖心を煽る。ザワザワと胸の中を掻き乱される様な感覚がどうしても拭えないのだ。いつか、ジェラ=ウォーシャンの様な大事を起こしてしまいそうで…心のどこかで直感に近いものだが、そう叫んでいる。だから、手遅れにならないうちに、私の手でウォーシャン兄弟を捕まえてやるんだ。
そう心の中に誓いを立てた。
※※※※※
「はあぁ……馬鹿なんじゃないですか!?何でわざわざ海兵さんに宝返しに行くんですか!」
船に戻るとサージはが呆れた様子で俺様を見てはため息を漏らした。
「何の価値のない宝取っといたって仕方が無いじゃないかよ〜…多分返した方が喜ぶだろうし。」
ケラケラ笑いながら答えると更に呆れの色が濃くなった。
「わざわざ海に飛び込んで、身を隠すため水路まで逃げ込んで…やっとの思いで手に入れた宝ですよ!?確かに偽物でしたが……」
確かに、海に飛び込んで必死こいで手に入れたお宝が偽物だったのはショックだし腹たったけど…
「まー、次本物手に入れればいいじゃん。楽しかったし結果オーライだろ!」
海兵の間抜けた面は中々見てて面白かったし、追っかけっこもスリルがあって久しぶりにワクワクした。なんつーか、俺様の中に血が騒いだというか…
「楽しかったって……ホント気楽ですよね…」
ダメだこりゃ…といった様子で天井を仰いでいる。
「はっは!人生楽しんだモン勝ち!次はどこ行く?」
海路は未定。どこに行こうかなんて海賊様は自由なんだ。サージは少し考えた素振りをして口を開いた。
「南を目指してみますか。」
「おー!南!いいな!綺麗な海!珊瑚礁!そして綺麗なお姉さん♪よし、そっち行こうぜ!バカンスバカンス!」
まだ行ったことのない場所は考えただけで胸が高鳴ってくる。そこには何があるのか。どんなお宝があるのか。
「はいはい……当てずっぽうに行ってみますか…」
サージもきっと同じ気持ちなんだろう。素っ気ない口振りではあるが、目がキラキラと輝いている。
「いつかこの船ももっと大きくして、仲間増やして大海賊団にしてぇな!」
船はまだ海賊船と言うには相応しくないような小舟である。雨風凌げる屋根付きであるが…他の海賊からは鼻で笑われるような小さな小さな小舟である。俺様の夢はでっけぇ船で沢山の仲間と共に世界中を旅すること。
「そうですねー…」
「いくぜ!ウォーシャン海賊団!」
右拳を天に向かって突き上げた。するとサージは目を見開いたあと…目を伏せては首を振った。
「まだ僕と兄さんしかいないじゃないですか……まぁいいや……出航しますか……」
錨を上げ、帆を張ると、まだ見ぬ世界へと船はゆっくりと進んでいく。
__こうして双子の海賊の冒険が幕を開けました。
読ん最後まで読んで頂きありがとうございました。何だかんだで忙しいので、ゆっくりではありますが、少しずつ更新していきたいと思います。まだまだ二人の冒険は始まったばかりですし、私も小説を書くのは不慣れではありますが…ウォーシャン兄弟と文章力が成長していく様子を優しい目で見守っていて下さい。
いくウォシャをこれからも読んでいっていただけると嬉しく思います!!(*○罒`*)(*´▽■*)




