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東方無明録 〜 The Unrealistic Utopia.  作者: やみぃ。
第四章 紅霧異変
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第二話 Apparition and Witches




 同時刻 幻想郷北東 魔法の森




「あなたたちは取って食べても良い人間?」


 開口一番、彼女はそう問うてきた。

 黒い洋服とスカートを纏った、金髪赤眼の女の子。

 周囲に漂うのは魔法の闇。


「……宵闇の妖怪(ルーミア)め、生きていたか。気を付けろ(あかり)、ああ見えて狂暴な妖怪だ」


 隣に浮かぶ魔法使い、霧雨魔理沙(きりさめまりさ)が小声で注意を促す。

 私はルーミアから目を離さないまま、肩掛けにした魔法銃を握った。


「喰えるもんなら喰ってみな!!」


 瞬間、魔理沙が叫ぶ。

 同時に彼女は星弾をばらまいた。

 煌めく星の弾幕に紛れ、私は高速で横に飛ぶ。


「喰ってみる~」


 ルーミアが攻撃してきた。

 赤い光弾の群れが魔理沙へと迫る。

 魔理沙は加速しながら急激な機動をかけ、射線から飛び退き事なきを得た。


「よぉし、ばばばぁん!」


 隙を突いて援護射撃を行う。

 魔法銃から貫通妖弾を連射した。

 妖弾はルーミアの妖力壁を易々と貫き、彼女の身体に突き刺さる。


「痛っ……?」


 だが、相手は妖怪。

 人間なら血を吹いて倒れるダメージだが、ルーミアは少々表情を曇らせただけだった。

 それどころか、直後には面白そうに笑っていた。

 左右に広げたその小さな手に青色の妖力が集まる。


「夜符『ナイトバード』」


 彼女が宣言し、腕を振るった。

 その軌跡から青い弾幕が現れる。

 左右の腕を振るたび弾幕は現れ、波状攻撃となって私へと迫る。

 スペルカードか。


 一旦距離を取ってから、波状攻撃の合間に身を投げる。

 青い光弾が連続して掠めていく。

 人の身体ほどの大きさがある。

 スペルカードルールとはいえ、食らったらただでは済まないだろう。


「隙ありだぜ!」


 上空の魔理沙が叫ぶ。

 ルーミアが見上げた途端、金色の光線が降り注いだ。

 魔理沙の光魔法だ。


「痛いってば!」


 ルーミアが鬱陶しそうにそれを弾き、青白い光線を放つ。

 レーザーの撃ち合いとなった。

 面白い、私も参加してやろう。


 魔法銃で狙いを定め。


「『パルスレーザー』!」


 魔力を放った。

 ストロボのように連続して照射される光線。

 魔理沙の相手に夢中なルーミアを横から刺す。

 二方向からの猛攻撃に曝された彼女は、慌てて後方へと飛び退いた。


「っ、闇符『ディマーケイション』!」


 直後に彼女は二枚目のスペルカードを切る。

 ルーミアの周囲は光弾で埋め尽くされた。

 全方位弾幕だ。

 攻撃の合間なんてどこにも見当たらない。

 細かい隙間を縫っていくしかないようだ。


 網目を形成するかのように迫る何重もの光弾の壁。

 魔法銃から手を離し、回避機動に専念する。

 全方位攻撃ゆえに魔理沙も回避を強いられており、反撃の糸口は掴めそうにない。


 こちらもスペルカードを使うしかないか。

 回避態勢のまま強行突破をかけれる私のスペルカード、っていうと。

 ……これだ。


「魔術『アクアレーン』!」


 両手から溢れ出る、貫通妖術の付与された多量の水。

 それを背後に曳きながら飛行を続ける。

 光弾は水に遮られて相殺されていく。

 光弾の発射元に手を向けてさえおけば、被弾することはないのだ。


 ルーミアの光弾を防ぎつつ接近をかける。

 防ぎきれる限界の位置まで近づき、彼女を公転するように飛行する。

 光弾を多く阻害され、弾幕は乱れ、ところどころ薄くなっていく。


「恋符、『マスタースパーク』!!」


 魔理沙がその隙を見逃すはずは無かった。

 私は即座にルーミアから離れた。


 突然押し寄せる金色の極太レーザー。

 弾幕を切り裂き、ルーミアを飲み込む。


「うわー!?」


 情けない悲鳴を上げながら吹っ飛ばされるルーミア。

 やがて落下し、樹海の中へとその姿は消えた。




「なんだ、あっけないな。大火力を使って損したぜ」


 魔理沙が降りてきた。

 手に握る得物(ミニ八卦炉)が煙を引いている。

 結構な火力でぶっぱなしたようだ。


「吸血鬼異変前でも暴れてたくらいなのにね。どうしたんだろ」

「遊ばれてるのかもな。ちっくしょう……」


 魔法銃に妖力を溜め直しつつ返す。


 宵闇の妖怪。

 あの吸血鬼異変に共謀し、闇で太陽を覆い隠そうとした大妖怪だ。

 それ以前からも悪名高く、危険視されている妖怪だった。

 吸血鬼異変終結後に彼女の本名と姿が文書で公開され、また倒されたことも公にされていた。

 生死までは書いていなかったため、もし生きていたら面倒だと思っていたが……。

 見ての通り、雑魚妖怪と成り果てていた。


「いーじゃん、勝ちは勝ちだよ。早く紅魔館に向かお?」

「だな」


 まあ脅威が減っただけならどうでもよい事だ。

 私は魔法銃を担ぎ上げ、魔理沙に行動を促す。


「飛ばすぜ。遅れるなよ!」


 魔理沙が箒に跨がり方向を転換する。

 その柄の先が向くのは、西。

 紅魔館。


「おっけー!」


 返事をし、彼女と同時に空を蹴った。


 向かい風が紅い霧を頬に投げつけてくる。

 霧滴が魔力を含んでいて気分が悪い。


 こんなものが高密度で充満したら大惨事だ。

 人間が苦しむという意味は勿論、妖怪が活性化するという意味でも。

 吸血鬼の目的は前回と同じく、“妖怪の活性化・従属化”なのかもしれない。


「っ……」

 

 絶対に止めなきゃ。

 あんな悲劇、もう繰り返すわけにはいかない。




 魔法銃を握り直す。

 睨んだ空は、非現実なほど紅く染まっていた。






 名前:東雲(しののめ) (あかり)

 初登場:一章第十一話 兄妹

 種族:人間

 性別:女

 年齢:16歳

 身長:普通

 髪の長さ:背

 髪の色:黒

 瞳の色:茶

 能力:貫く程度の能力


 濃尾平野の住宅地にあるマンションに住んでいた、普通……の女子高校生。

 東雲衛の妹で、二歳年下である。

 この物語における、いわゆる妹キャラ、ボケ担当キャラ。


 明るく元気だが、言動やテンションなどいろいろとぶっ飛んでいる。

 その奇抜で読めない性格ゆえに男はなかなか寄り付かないが、顔だけなら中の上程度はあると言える。


(第一章)

 修学旅行で東京に滞在中、暗鬼の襲撃に巻き込まれた。

 彼女は命からがら東京を脱し、兄の衛と合流するため長野の別荘で落ち合うことにする。

 だが、道中の電車内で見えざる声にたぶらかされ、ひとり森へと失踪してしまう。

 しかしその後、彗星の妖怪との友好的な接触に成功し、ややあってから兄の東雲衛や彼を助けた炎妖精と合流する。

 そのなかで世界中で起こった騒動について考察も進み、これは大妖怪が何かによる、妖怪の復活を図るための計画であることと断定する。


 また彼女も兄と同じく、謎の力“妖術”に目覚め、自分の先祖が妖術師と呼ばれる者達だった可能性を知る。

 彼女の妖術は、指先に水色の光弾を生み出して撃ち、標的を貫通するというもの。

 突然力に目覚めたのは、彼女自身も一連の騒動の影響を受けたためと考えられる。


 一行は真相に迫るため行動を始めるが、突如として伝説の大妖怪“金毛九尾(きんもうきゅうび)”を名乗る女性が現れ、妨害攻撃をされる。

 彼女も妖術を駆使して抵抗するが、大妖怪相手に敵うはずもなく、捕らえられ意識を失った。


(第二章)

 彼女は瘴気漂う森で目を覚ます。

 そこで出会った魔法使いと行動を共にするようになり、ここが幻想郷という、神秘や幻想の存在に溢れた世界であることを知る。

 また貫通妖術以外に、魔法を扱う素質が自身にあることも知る。


 はぐれていた兄の(まもる)も幻想郷に来ており、翌日には再会することができた。

 以後、東雲兄妹は博麗神社に住みながら、妖術や魔術の腕を磨いていくこととなる。


(第三章)

 妖術の扱いにも慣れ、妖怪退治も生計を立てることもできるようになってきた東雲兄妹。

 そんなある日、人里が突然ゾンビと悪魔の大軍に囲まれるという事態が起きる。

 巫女たちに続いて明と兄も出動し、人里にて防衛戦を展開した。


 ゾンビを全滅させ、悪魔軍を退けた明の前に、二体の強敵が立ちはだかる。

 それはかつて現世で行動を共にした、彗星の妖怪と炎の妖精であった。

 意思を書き換えられ暴走するその二人を、明は魔理沙や兄、博麗の巫女と協力してどうにか倒すことに成功する。

 だが妖怪と言えど知り合いを殺すことはできず、二人を神社で一時的に封印することとなった。

 後に二人は自我を取り戻し、現世で同じ運命を歩んだ四名はここに再び揃った。


(今章)

 それから暫く経ち、夏。

 妖術、魔術、そしてスペルカードの腕前も上達してきた頃、幻想郷全体が紅い霧で覆われるという異変が起きる。

 独自に動こうとしていた魔理沙と合流し、彼女と共に霧の発生源へと向かう。


 現在の彼女の服装は、スーツ型学生服を参考に里で仕立ててもらった特注の術師服。

 幻想郷には殆ど無いデザインであり、外来人らしさの象徴にもなっている。

 ズボンと上着は黒色であり、ボタンやベルト、服の縁、家紋などは水色で統一されている。

 またお手製の魔法銃を持ち歩いており、肩から革紐で掛けている。

 短機関銃のような形の木工品に、衛が稗田家から貰った短剣を前向きに据え付けた代物である。

 短剣が銃口と妖力タンクの役割を務めており、生身では出せない高火力と精密性を実現している。




 名前:霧雨(きりさめ) 魔理沙(まりさ)

 初登場:二章第七話 Witch's Forest

 種族:人間

 性別:女

 年齢:十代前半

 身長:やや低

 髪の長さ:背

 髪の色:金

 瞳の色:金

 能力:魔法を使う程度の能力


 魔法の森に住む魔法使い。

 種族としての魔法使いとは異なり、彼女は若年の人間でありながら魔法使いである。

 よくいる魔女のように、大きな黒い帽子をかぶり、箒にまたがって空を飛ぶ。

 ミニ八卦炉という名の手のひらサイズの射撃武器を扱う。

 また、主に星や光といった属性の魔法を使う。


 細かいことはあまり気にしない性格で、肝も座っている。

 容姿の割には色気がなく、態度や口調はまるで男のようである。

 思いやりのある性格とは言い難いが、垢抜けている面もあるため、一緒にいると飽きない。


 第二章では、魔法の森で彷徨っていた東雲明に声をかける。

 自分は外の世界の人間でありながら妖術師である、という説明に若干困惑しつつも、彼女は明を博麗神社まで護衛することにした。


 第三章では、東雲兄妹や博麗の巫女と共に戦闘に参加する。

 幻想郷の人間のなかでは巫女に次ぐ実力者であるため、東雲兄妹の窮地を救ったりとかなりの活躍を見せた。


 第四章では、明と共に赤い霧の調査に出発する。

 あわよくば異変そのものを解決しようとさえ考えているようだ。

 本来であれば異変解決は博麗の巫女に任せるべきだが、自由人である彼女は全く気にしていない。




 名前:ルーミア

 初登場:三章第七話 闇妖と忘人

 種族:大妖怪

 性別:女

 年齢:不明

 身長:低

 髪の長さ:肩

 髪の色:金

 瞳の色:赤

 能力:闇を操る程度の能力


 “宵闇の妖怪”という名で知られる大妖怪。

 闇を自在に操り、人間や妖怪、果ては神までも喰う。

 見た目は幼い少女の姿で、声も口調も幼女のそれに近い。

 黒い服とスカートを身に纏う。

 二本の妖剣を得物としている。


 第三章では吸血鬼異変に呼応して行動を開始し、太陽を闇で覆い尽くし皆既日食とした。

 幻想郷の賢者や大妖怪の逆鱗に触れ、死闘の末敗北する。


 第四章では紅霧異変に呼応して行動を開始し、明と魔理沙の前に立ちはだかった。

 だが本気を出していないのか出せないのか、かつて猛威をふるった宵闇の妖怪とは似つかぬほど弱体化していた。


 髪には赤いリボンがついている。




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