プロローグ
これはTSものと読んでもいいのか、そうではないのか……よくわからない設定ですが、基本的に作者はTSが苦手ですのでそういったことは起きません。
覚えているのは、ただ静かに、辺りに死が溢れていたことくらい。数えるのも億劫になる程、血と、肉と、悲しみが散らばっていた。
「ーーーー」
その場で生きていたのは、俺と、俺を見下ろすただ一人の、人間ではない少女。
その少女との約束を破ってしまったから、表情を見るのが怖くて、怒っているのか、悲しんでいるのか、失望しているのか分からなかったけれど、少女は自分の身体と、俺の身体を入れ替え、俺の身代わりとなって、後に来る人間に断罪された。
「ーーーー」
あの時、彼女が俺になんと言ったか、正確には分からないけれど、それでも、その言葉の一節は明確に胸に刻みこめている。
少女は、俺に言った。
こんなどうしようもない最低な俺に。
「ーーーー生きて」
俺は少女との約束を一度破ってしまった。
だから今度こそ、その約束を俺は絶対に守り続ける。
彼女との最後の約束だったからーー生きて、生きて、生きて、無様だろうが卑怯だろうが、生き続けることにした。
それが、あの時彼女の約束を守りきれなかった形無 愛への、罰なのだから。