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影の正体

夜の冷たい風が吹く中、角刈りの瞳は僕の方をまっすぐな瞳で目を向ける。この騒ぎの元がその光の正体なのか、その光が騒ぎを押さえているかはわからないけど、僕は助けてくれた男に声を出す。


「あの!すぐにでも、助けてほしい人がいるんですが・・・」


静かな町には溶け込むような、少しかすれた僕の声。先ほどまでの祭り騒ぎで、僕のいたぶられる状況を見ていた町の人は、そう残ってはいなかった。

近くの店で飲む人、その場で寝込んでいるような酔いつぶれ、先ほどの冷めた感覚に腰を抜かした人。他の人物は大通りへと足を運んだりして、ここからは立ち去っていた。

もう誰も文句も言わない、口も出さない今僕は角刈りの男の返事を待つ。


「ああ、任せてくれ。騎士は人を助けるべき存在だからな。さぁ、その人物は今どこに?」


たぶん、これに対して助けての言葉が拒否されたり、助けではなく、捕まえになってしまう可能性が増えてしまう言葉だろう。だけど騒ぎの始まりからずっと力を使っているんだ、疲労をしてしまっているに、違いない。捕まろうが、助かるのだ。

もう一度光が、流れ星のように町の上を通り過ぎた。その光に当てられるように、僕の指先は上へと向く。

男もこの指先で光を見るが、すぐに僕へと目を向けられる。その眼をまっすぐは見るほど肝が据わってない僕は、視線をそらしながらこう言った。


「この光を、出しているかもしれない場所です」


男の返事はすぐに返ってきた。

いや、返事と言うか質問が質問で返ってきたのだ。


「君は、元凶かもしれない人物を・・・なぜ助けたいと思った?」


奇問だったし、正しくも思えた。

ここで、助けたくないとか、捕まえる事になる、とかそんな言葉は返ってこない。

簡単に噛み砕いて聞くならば「なぜ君はそんな人物を助けたいの?」と、言っているようなものだ。

正しくも思えたし、そんな言葉が返ってくるとも思っていなかった。考えてみよう、探してみよう、その言葉にあてはめれる言葉を。


なぜ助けたいんだ?・・・よくわからない

じゃぁ、助けなくてもいいんじゃないの?・・・それは嫌だ

何故、そんな事を思ったの?・・・ただ、気になって

じゃぁ、ただ気になってしまったから、ただ助けたいのか?


ただ助けたい、こんな言が何故か気になるほど、気持ちが悪いほど使いたくなかった。

この答え、一度何かで、今日聞かれたな・・・ただ、ただ、なんていったんだ・・・気になって?違う、助けたいから、違う、たしか・・・目の前で死ぬのが嫌だったから…。


筒井さんに言われたような事を、この人からも聞かれていることに今気が付いた。

言葉が違っても、おかしいくらいに何故と言われているんだ。僕が可笑しいのかはさておいても、言葉の答えが解ったきがした。


「あんな大きなモンスターがいっぱいいる中で、一人で生らきれるわけがない。そんなの死んでいくのを知っていて、見捨てろと言っているような事だ。僕は、ただ何もせず知ってしまった人を見捨てる事が嫌いだ。助けられるな助けたい・・・でも力がない、だから助けてほしいんです」


心の底から、正直に言葉を出した。

ながれた時に男の時もそうだったが【助けたい】の言葉がとても引っかかる。うまくは言えないが、心の何処かで引っかかる感じだ。

先ほどずらしていた目先は、男の瞳に合わせるようにまっすぐと見ていた。一度男の瞳は瞬きするように閉じた後、簡単に「なるほど」と、言葉を残して後ろに向く。


「では、人助けに行くとするか」


何の疑問もつけられなかった。男は納得したように光の飛んできた方向へ、走り始めた。

そんな男の後ろ姿を見ながら、自分でも思っていないような事を僕は言葉としてだした。


「僕も、一緒について行きます」


何を考えてかも解らないのに、今までより力強く、けど自信があったわけでもない。

それなのに僕は一歩踏み出し、細い体を突き出すように強く出してまで言葉を出した。


不意?よくわからない。理解ができるわけでもない、僕自身の行動に、自分が疑問を向けている状況だ。


男の口はなぜか笑っていた。

僕のこの状況で笑うのを必死にこらえていたからだろうか・・・そうに違いない・・・馬鹿みたいに吼えるだけだ、笑いものにも見える。

男の足は止まり、僕を見ながら先ほどの冷静な言葉ではない、少し暖かい言葉が口から出る。


「気に入った、君、名前は?」


「え?!」


よくわからなかった、先ほどからよくわからない事ばかりで、理解がしきれない。

男は僕の肩へと手を置き、


「私の名前は、ドマノフ・レスキーだ。君の名前を聞かせていただいても?」


男の表情は、笑っている。確かに笑っているのだが、何故か嬉しそうに見えた。

始めて見るのに、本当にうれしそうな表情が僕へと向けていた。


「あ、あの、バルコ・シュビッツです」


不思議だ。今日出会えた人の中でも、違う感覚で感じれた、不思議な気持ちだ。

僕の肩から手が離れ走り始める時、僕の名前が呼ばれた時その言葉がとてもワクワクできた。


「行くぞ、シュビッツ!助けたいんだろ」


手を振り上げる様に力ずよく振り上げられた姿を見た時、今日一番の元気が、腹の底から「はい」と、言葉として出た気がした。

僕はドマノフさんの追いかける様に、一緒に光の元に走り始めた。


今日はとても不思議な日だ。

変なおじさんにあって、変な飴をもらって、変な光を見て、変なぐらい知らない人の助けを求めて、変な騒ぎに巻き込まれて、変な角刈りにあって・・・。

初めてだ、この魔法の世界で、暖かくてワクワクを感じられたのは。この感情で、とてもうれしいと心の底から思える自分がいる。


角を二度曲り、町の入り口を抜けた。

町の外から広がっている状況に、僕らの足が止まる。


生き物の死体が山をつくり、まだ山を作るのかと言いたくなるように生き物がやってくる。余りいないはずのモンスターの量も、普通じゃないくらいに多く見られる。

嗅いだことのないぐらいひどい臭いが、あたりからむせ返すほど鼻へと向かって来た。

魔法の光で少し見えるくらいで幸いだったかもしれない。死体は夜の暗さで隠されながらもまだつくられている。

正直明るくなって死んだ動物の姿しかない道を、目の当りにしたら吐いてしまうのかもしれない。それほどの光景だ。



「あの光の場所から追い出されるように向かって来てるな・・・早く向かわんとな」


腰の剣を手に取りながら再び走り始める。雨でも降ってしまったのだろうかと、言うくらいぬかるんだ足場を、音をたてながら走り続ける僕は、目の前の影を追う。


「モンスターだったら、救われただろうな」


ポツリと会話が進む。


「どういう事ですか?」


「モンスターは朽ちるのが速くてな、朝までには跡形もなく浄化されるだろう・・・」


そうなんだ、今までモンスターを狩ったことはなかったけど。

騎士がモンスター狩りをした後は、大抵モンスターの姿が見えないからよくわからなかったが、理由がはっきりした。

だが、ドマノフが言いたいのはそういう事ではないのだろう。

【モンスターは】この言葉が、今倒している動物系統に属している生き物に対して跡が残ると言っている事だった。


「動物はやっぱり、残りますか」


目の前の生き物を、ドマノフは斬りながら言葉を落ち着かせつつ話す。


「ああ、死体もある程度で消えるがモンスターほどではない。早くて半日くらいだ・・・朝までどれだけの数が消えるかだな」


町に風が吹けば来る嫌な臭いを、最悪昼まで嗅がなくてはいけないのか。

とんでもない状況だ。

走るほど、見えてくる光。

遠目では分からなかったが、小さい光も何個も出ているのがよくわかるくらいには近づけた。

周囲には、光を放っている人物を囲むように見える影がある。


小さくだが僕が「人?」と、言葉を出した時だ。

目の前を走っていた騎士は、足元から火を噴くような急停止をするように足を止め、こう言い始めた。


「いや、あれは・・・人の形をした魔物の類だ」


聞いたことのない言葉だ。

一体なんだ【まもの】とは?モンスターと違うたぐいなのか?

先ほどの影は確かに人の形をしていた。それを種類として先ほど言っていた彼からの言葉からは、何種類もいるようだった。


「こいつらが、生き物を脅かして(こっち)に追いやっていた元凶か!?」


光が僕らの真横を通り過ぎた。

当然のように光に照らされたのは先ほどの影だけではない、僕らもだ。

「気付かれたか」言葉をつぶやきながら男は、慌てて僕の頭を抑え地面へ向けて押す。

地面へと擦りつけるようにして「身を低くしろ」と指示を出す男には魔物がどう映っているのかが解らないが、とても危ない物だという認識でいい様だ。

一瞬の出来事だが、魔物がモンスターと同じように視野が広く、鷹の様に鋭い眼なら僕らはとっくに見つかっているのだろう。


僕たちは、小さな草たちが育った平原に身を伏せながら動きを止める。

時間が止まったように動くことのない暗い中、微かに近づく音は、かすれた金属の音。音と合わさったように、他の聞きなれない音がまじりながらも、此方へと確かに音はゆっくりと近づいてくる。


横からは聞こえた小さな声「シュビッツ・・・私から少し距離をとって、周囲にいろよ」少し言葉は重く伝わる。

緊張?知っているからこその迷いと、恐れだろう。

僕には、どれだけの強さでどんな奴なのかが解らない分、先ほどの感じから想像で補うしかなかった。

走ってくるのか?飛んでくるのか?どんな速さのやつで、どんな攻撃をしてくるのか。僕にわかるのは人型で、今横にいる騎士が緊迫する程情報だけだ。


草を分けてきた音がすぐそこへと近づいた時、ドマノフが飛び出したのがよくわかった。

剣を横へと振り払った時、見えないほど早かったがドマノフは後ろに少し距離をとる。


「やった?!」


僕の言葉には「いいや」と、言葉が返ってくる。

生きている、立って少し動きを止めた魔物はドマノフへと先ほどの歩きでは、想像つかないほどの速さで迫った。

人のように片手をあげて振り下ろし、走る魔物。近づくほどわかる魔物の形は人に似た物だったが、肩から頭が引っ付いているようなヒトデの様な状態だった。

そのつながった皮膚には、三つの黒い丸がえがかれている。

見ていて、気持ちが良いものではなかった。


攻撃をよけながらも、何度も剣を当てていく。まるで風を斬っているような感じだろうか、傷はあるが、怯むことなく腕が振られ続ける。

死なないのか、とも思う程の状況に目を疑う程だった。


時間がたつにつれ先ほど、この化物みたいなのが来た方向からまた人影が見える。

悪夢だった。

そんな中ドマノフは、同じ場所を的確に斬りつけるように繰り返している。

少しずつ、身体の傾きが変な事が見えた。力ずよくもう一撃と刀を振った時に、魔物の身体が二つに割れ、魔物が黒い霧のように消えていった。


息を少し整える様に動きを止める騎士の、1メートルほどで走る影が見えた。

先ほど向こうから来ていたやつじゃない!


「危ない!右!!」


叫んだ時にはドマノフの真横へと迫った影の姿が、瞳に映った。


「あぶない・・・・な!」


斬りかえすように、先ほどの攻撃を防いだ剣で振り払う。


「今度は、骸骨か・・・あきないな」


かわいた笑いを見せる男の言葉通り、ドマノフと骸骨が戦っている。

剣を持って肉がないのに、まるで何かに固定されている骨。奇妙なバランスの元、魔物は動く。

崩れる事のなく手が伸び脚が縮み、人間の様な動き。刃が重なるほど、鈍くなる音が周囲へと鳴り響く。


「お、重い!」


振り払うばかりで、一向に手が出ない様子だった。解らない、肉もないのに重たい理由も押されている理由も。

自分の手を、ローブの内側にあるポケットに伸ばすし小さなナイフを持ち出だす。息が落ち着くことがない、視界がブレル様な感じに襲われる。頭が熱い、唾をのみ重たい頭を立たせながらも骸骨へと向かう。


「やめろぉ!」


叫んだのは僕ではない。ドマノフだ!

骸骨が僕の方を見て剣を振るまで、そう遅くはなかった。むしろ早くて見えないほどだ。目の前で火花が少し散った時には、骸骨の剣は他の剣で止められていた。僕の小さなナイフは、鎧に弾かれるように止まっている。

解らなかった。息が上がって、目の前が男の背中になって。刃が止まっていて。


振り払われた骸骨の刃は、横へとそれた。

その瞬間、やっと頭が理解をした。

僕が思っているほど、簡単な事じゃなくて、やるだけ邪魔なのだと。


「離れるんだ!」そう叫ばれた時には僕は見えてしまった。

ドマノフが僕に向へと向いたその瞬間。

骸骨の後ろから、もう一つの頭蓋骨が顔を出したことを。

迫っていたのだ、すぐそこまで。


瞳に映ったもう一つの刃は、僕が叫ぶより早いのだろう。

客観的に、先ほどの出来事で解っていたが、ナイフを持った手を出しながら叫ぶしかなかった。


頭のふらつきが酷く、心臓の周辺に変な圧迫感があった。

手を出した時に、視界が真っ白な光が通りすぎた。目をつぶってしまう程の眩しい光は、細長い線をえがきながら骸骨の頭蓋骨を燃やした。

男の頬をそれた時には、刃物でかすめたような傷から血がにじむ。


「何!」


「え・・・」


二人の声だった。光の後で酷い気だるさや、圧迫感が僕へとさらにかかる。

理解できたのは今だった。あらゆる思考が働いてない今ほど客観的に見えた事はないだろう。

僕の手から、手の平から・・・光が出た。

一時的であっても、一瞬であっても。僕が、使えなかった、今まで使えなかった魔法が手からでた。


もう一つの骸骨が動こうとした時、先ほどと同じように手を大きく前に振るようにして突き出す。

同じように圧迫感が出て、苦しかったが光が二つの骸骨を焼いたんだ。


「・・・すごいなこれは」


肩から力をなくすように、下へと崩れる骨は先ほどの先と同様黒い霧へと変わった。男の声は水の中で聞こえた男のように、遠くに聞こえた。

目蓋がとじそうだ。力が抜けると言うよりも、首から下と頭が別の感覚になっている感じだ。僕は膝を、地面へと落とし始める。


「おっおい!!」


上半身を支えられるように、肩が脇へと来る。

重い・・・全身が重い・・・。

男の顔が覗き込むように横にある。


「大丈夫か?」


首が身体とつながった様に軽くなってゆく。立ちくらみ状態がスッと戻って行っている。

少し声を上げるように僕は「ええ、大丈夫です・・・有難うございます」と、分けて言葉を吐いた。

完全に体につながり、足が地面に立つ。

奥でまだ光が見える。あたりの影が少なくなっていた。きっと僕たちが戦っている間、ずっと戦っているんだ。急がなきゃ。

今の僕には、何故か魔法がある。さっきみたいにやればすぐに終わるはず。前へと進もうとした僕の身体は、男に一度止められた。


「さっきは助かった」


「いえっ」


僕の声は男の強い声「だが」といわれ遮られ、話はつづいた。


「さっきの無茶は、許せない」


暗いが真っ直ぐと僕の方へと向いている瞳。

少しこの言葉に僕は納得がいかなかった、倒して結果的に助けたのに、僕の中では納得がいかなかった。

素直に「はい、わかりました」と言いたくない自分がここにいる。悪い事はしていない、目を背ける必要の無い事だ。

強く見返すように、睨み返す。


「理解がないのか?」


怒ったように言われ始めた男へと、僕も一言言い返す。


「結果的には!」


これが意地を張ったんだろう。僕は言いながらも思う。

言わなきゃよかった、とも思うし自分を正当はしたい自分もいる。頭の中が少しあやふやだが、悪い事はしていない。強く自分に言い続け始める。

冷めたように言葉が通る。


「悪魔で結果だ!危ない事をしたのには変わりない、そうだろ!?」


心の中から「何も知らないくせに!」そう言葉にだしそうだった。喉で飲むようにして言葉を止める。一度言われている意味をもう一度・・・。何故言われているか?頭が熱くて何だか思い出せない・・・。

こんな状態で言いあっても、悪くなるばかりだ。

言いたかったが、強く握っている拳を戻すように一度深く深呼吸をする。


「・・・わかりました」


「・・・そうか」


少し間が空きながらも、手がどけられた。

ムカムカとした気持ちが少し残るが、見える光が妨げる。

「行くぞ」と、言われた時には体の重さも消えていた。先ほどまでの重さが何なのかと思うくらいに、平常だ。

暗い中少しの距離を、また追うようにして走る。

始めと違って遅い足つきは疲れが見えているのか、僕への気遣いなのかは解らなかったが見ていたくなかった。

一体なんで、こうなったのか。

一体どうして、力が今出たのか。

一体なんで、怒られたのか。

一体どうして・・・。


暗い草原を走っている間ずっと考えが続く。

どこまでも、繰り返して質問する思考がイライラを募らせてゆく。

もういいと、首を振りながら考えないようにするのに必死だった。目の前に近づく光の元。この状況まで来るのに、関わったであろう元凶が目の前に。

・・・悪い事を思ってしまった・・・助けたい、今はそれで良いじゃない。頭の空気を入れ替えるように、大きくもう一度深呼吸をする。

あれから何も言ってこなかったな。ふと、そんな事が頭に入った。

目の前に骸骨の姿がくっきりと見えた時だ。自分が前を見ていなかったことに驚き、立ち止まる。

ドルマノフは、もう骸骨との近接が始まっていた。


目の前に見えるのは、数体の骸骨。影で見えるのはそれくらい。

いっきにやれば問題だって何も起きない!僕は自分にそう言い聞かせ、走り始める。

ドマノフの横をすり抜け、先ほど見えた光の元へと走り抜ける。


「おい!シュビッツ!!」


声が聞こえたが、足を止めたり振り向くことはしなかった。ただ見える骸骨に向け、手を向け光を出す作業だと、僕は簡単に考えて走り抜ける。

光を出しながら当てた数を、口に出して数えはじめる。


――一つ――

――二つ――

――三つ――


数を数えながら目の前にいた影が、光を出したのが見えた。

「いた!」声をこぼすように「もう少しだ」自分に言い聞かせるように近づこうとする。

フードをかぶった影は僕へと顔を向ける。

「助けにきたよ!」そう叫ぼうとした瞬間には、影から手が向けられた。

嫌な予感がすぐにした。脊髄反射とまではいかないが、思いっきり手の直線状から逃げるように走る。


嫌な予感は当たった。暗い中迫るように近づく影に、撃ってこないわけがなかった。真後ろに先ほどの細い光が飛び交った。

間一髪自分のローブの端、が後ろで焼け落ちるのを見る程度で済んだ。危うく命を落とすところだった。

遅れたように、冷や汗が出てくる。目の前には、もう一度手が向けられている。必死に言葉を出すように叫ぶ。


「お、おい!君を助けに来たんだ!」


伝わるのか解らない、けど言わないとまずい状況だ。

言葉を叫んで、手はそのまま止まる。

こんな時に一言、思い出すようにやってくる。


――悪魔で結果だ!危ない事をしたのには変わりない、そうだろ!?――


今それだ。理解する、いや熱を上げて聞かなかった僕が悪かったんだ。理解ができたのがこんなギリギリのタイミングで、血の気が引いて行く。


しばらく、静かに止まった様に見えたが・・・その人物からの手からは光が撃たれていた。


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