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小さな一歩

初めましてこんにちは パマと申します。

今回は主人公の設定を軽くまとめてかまとめてみました 

できる限り次の話数を追うごとに、読みやすく面白く、基本なところではなりますができる限りの力でやっていこうと思います

僕は、町を歩いている。生まれも、育ちもこの町。

多くの自然に囲まれ、人がおおく集まり人を差別する町。

僕の身体は疲れている。重たい脚を上げ、今にも倒れてしまいそうな感覚だ。

枯れたように細くなった足、少し枯れた喉、そこらへんが荒んだ服を着て、僕はこの町で生きている。

皆が住む町は、家を持ち家族を持ち何の少ない不安を持って生きているのが光だ。

僕がここで生きている場所は荒んだ事を言われ、脅迫のように暴力を振るわれ、泥水から水を探すようなもの。


これが、影。


僕は、僕らはそういった世界で生きている。色んなことがあり僕は親に捨てられた。

この世界で僕は、一人ぼっちと言ってもいい。みじめに生きている。

命を絶とうとしても、そんな勇気は出せないくらいの弱い人間。

此処は魔法の世界。何処かで格差があり、中には僕みたいに能力がなく働くことすらできない事もある。だから僕はどこかの軒下で寝て、何処かで食料を手に入れ生きている。

そしてその状況で、今現在の僕の状態が完成されている。


蔑まされ、軽蔑され、今の存在が僕だ。

今日の朝日を見ながら僕はこうして思うのだ。

少しでも何か力があれば、見え方が変わったのかもしれないと。


僕は昼の調達のために町の中央道りを抜け、大きな道を進みながら外へと向かう。


これが、日常。


この町の中心の道だ、道の周りを商人連中が道を囲うように店をだし、店の次には順に金持ちの家が順番になっている。まるで外に近づくほど金銭収集が低い者達が外に出るよう作られている脅威のシステム。

この町は、弱い者を追い出す世界でもある。少し違うが【弱肉強食の世界】そのものと言ったところだろう。これが一番近い言葉だと思っている。


そんな町の中、今の僕みたいなのが、この町にはいる。

餓え、行き場を失い、何処で寝るか考え、どう生きるかを思い、何処を見ていいのか解らないただひたすら生きようとしている。

何故かこの町は、こういた事が起こっている。

僕は、造った人を恨みたいくらいに。


道を歩くたびに聞こえた声、これが何時もの日常。

心が揺れる事もなくなり、人の適応力と言ったところだろう。慣れてしまったのだ。


――汚い子――

――醜い奴が来るな――

――早く出て行け貧乏人――


人の近くを通る事によって、視線で僕をさすように必ず聞かされる罵声。

そして、言葉の次には、暴力なども伴ってくるときがある。

僕は頑張って生きできる事をして、ただ非難を浴びる存在としている。きっとこれが町なのだと、このころの僕は心の中でこう思うしかなかった。


町を出た。

日もよく、周りをぐるりと見回すことができるほど、目線の邪魔するものが少ない周りの環境。まず今日の食糧を手に入れなければいけない。


「今日は、魚を食べよう・・・」


思い当たったように、口から声がこぼれる。まるで何時ものように愚痴を聞いてくれるような町の大きな入口が、後ろにある。

これが僕の生きている町【フュターの町】と言われている。

意味は僕にはわからないが、きっと何かあるのだろう。


町の人の出入りはそれほど激しくはないが、行商人や近くの城からたまに兵士たちがやってきたりと、これでも数多くの人を招き送り出したこの入口だ。

その入り口の近くで一つ変わった音が鳴った。


――チリン――


物が何かに当たったような音、決してお金ではない。音と共に嗅いだことのない変わった臭いをまきながら、その音、鈴の音が横で鳴なった。

今しがた、僕の横を通り抜け村の入り口に入った男からした音だった。


別に気にするようなことではないのだが、何故か体が振り向いてしまった。


振り向くと、何時もより少し暖かい日に分厚そうなコートを着て、日を避けるような深々とかぶっている帽子。帽子の端に一つだけ鈴が付いていた。

この音と、旅人の服装では見た事がない変わった服装だった。すれ違えば誰しも振り向いてしまうくらいの物だ。


変わった臭いは、薬か何か変わった商品を持っているのだろうか?魔法使いか、商人にしてはとてつもなく怪しい感じが、その男からは漂っていた。

まるで、人を寄せ付けないようにしているような感じだった。


だが、周りの人は男を避けるが、軽蔑をしていたり、何かを考えて避けているようではない。まるで、周りの人の目には男が見えていないような、気付かずにそっちへ歩いているような、不思議な光景が町の中で続いて行った。


そして何故だか僕の意識は、男が見え無くなるまでまっすぐと見つめていたのだ。

まるで、見えない何かに顔を固定されたように、その場から動けなかったのだ。



僕は手を動かす。

今は体が動く、先ほどまで何かに止められたような事はなく体が何時もと同じ重さだ。

手を見つめながら握ったり開いたりと、繰り返しながらふと思った。

興味を引かれたのかもしれない、少しうらやましく見えたのだろうか?よくわからないが妬ましく見えたのかもしれない。


何がどうなって、目立つのに目立たないのかは、よくわからなかったが、正直気になった。

気にはなったが、正直気にしても仕方がなかった。

これが魔術的な何かであっても、僕には勉強ができる場所へ行ったことがない、そして情報も手に入らない環境では、覚えて知ろうとするだけ、意味をなさなかった。


「何だったんだ?」ただ僕はぼやいただけ、その言葉でこの考えを終わらすことにした。

僕は気持ちを切り替え、あたりを見渡す。


町を囲うのは、大きな自然環境が存在する。

近くには川と森があり、いずれもモンスターや野生動物が生息がいやすい場所。

他の村や街へ行くための整地された道はあるとはいえ、決して安全なものではない。

たまに静かな森だとしても、一度鳥が騒がしく大空を飛びまわる事があるならば、森からは獣の声がたまに聞こえるこの自然環境の中。

本当にまれに目にする事があるモンスターさえ、人に外の危険を教えている。


そしてここ最近、町の付近でなにやら野生動物たちが活発化して襲って来たりと、様々な問題が起きているらしい。

実際に襲われた人を見たわけではないが、用心にこしたことはないだろう。

正直、あまり聞きたくない話だった。僕みたいに力のない人間だと、普通に襲われたらひとたまりもない。

何か強い武器を持っていない限り、ほぼなすすべがない。


だが僕は今日も、一本のサバイバルナイフしか持ち合わせがない。

買うことはできないが、たまに裏道で何かが落ちているのだ。そこから拾ったのがこのナイフだった。

ナイフぐらい、働ければ使い捨てしてもいいくらいの安さで売っている物ばかりだ。これに魔法石が使われていれば、高いのだが正直落ちているわけがない。

そういった高価な物は森を探せば出てくるだろうが、正直森にはいる事はしたくない。

今の僕では、ミイラ取りがミイラになるような事だ。


大きな動物が来たりしたら、正直何とかして逃げるしかない。

しかも、たまにいるモンスターに加え今の動物の恐怖。問題が増えるにしても枠がでかくなった。


ある意味、問題は森だけではない。これは一つの食料の調達事情になる。


なんせ今から行く川のあたりには動物が群れを成していることがあるのだから、正直恐怖すら感じるくらいだ。

僕は川の付近までゆっくりと歩く・・・何もいなさそう。

川の周囲は森が少し近い程度で、全体に切り開かれたように広い物だ。何か問題があるとするならば、大きな岩の裏に潜んでいるモンスターや動物への警戒のみと言ってもいいだろう。


「よし、人っ子一人も見当たらない、動く影がない」


周りに何もいないという事は、魚たちが顔を出していることが多い。今日はとても多く食材が手に入りそうだ。


僕は嬉しそうに、川の中へと足を入れてゆく。


「今日の、獲物は~」


町の中の窮屈さは今は無い。身体が軽くなったように、川で楽しみながら魚を捕まえる事約15分程度で、今日一日分の魚を捕る事が出来た。

大収穫だ。今日はこれで命をつなげれるな。

安心を感じた僕には、これ以上必要な事はなかった。


「ふぅ」一息入れ額の汗を腕で払うようにする。腕をのけ太陽がちょうど見える状態、ふと何かが見える。

白い光が太陽の輪を少しチラチラ飛んでいるのを見ていると、何やら変な影が近づいてくるのが解った。

太陽が眩しくて何かの影と言うのわわかったが、これだけしかわからなかった。


「なんだ?」


声をだし影の正体が分かった時には時遅かった。人の顔らしきものが解った時には、顔の目の前にその人物の靴の裏が見えていたのだから。とっさの判断が追い付かなかった僕は、ただ顔面からふまれる以外何もできなかった。

身体は重力と人物の速度で川へと叩き付けられるような形へとなった。川の水面には水しぶきと水面にウェーブを作りながら、僕を水中へ落としてゆくのだった。


水面からかすかに聞こえる声。


――着地成功――


感情のこもっていないつぶやきが、自身の上で呟かれる。

先ほど強く水面に叩き付けられたせいで顔と後頭部が痛い。

先ほど上から来た人物の体の一部だろうか?今僕は頭を川の底に顔面を押しつけられている形になっている。

打ち付けられた僕は、現在水面の中。死にそうな思いでその人物だと思える部分を必死き叩き教える。


――これは、いったい?――


柔らかいはずなのに、何故か重たい岩みたいな物に潰された気分状態だった。押そうとしてもびくともしないくらいだ。

声の持ち主は腰を上げ、水面にいる僕の手を引っ張る。正直なところ死ぬところだったのだが。

息が上がる。酸欠になりかけた体は酸素を欲そうと空気を体に送る。むせるように少し何度か咳き込む。きつかった。

息を整え僕を見ている横には、先ほどまでに僕をつぶしたであろう女性。

白いひらひらしたスカート。先ほどぬれていたはずだが、何故か乾きが早く柔らかく水になどまるで濡れていなかったように、スカートが元に戻っていく。

スカートに向けフリルのラインが腰まで落ち、フリルを目立たせる黒色の服。

白い何だかの光で、メイドの姿の少女が上から降ってきたのだ。女性は僕に向け腰を折る。


「先ほどは失礼いたしました。私は筒井と申します。」


筒井は謝ってはいるのだが、彼女の言葉に感情が無かった。まるで目の前に何か文字が書かれた紙を、淡々と読んでいるような言い方で言葉を話している。

始めに聞いた時は「なんだこの人は」と、思ってしまったぐらいだ。だが、彼女に潰された時も同じような言い方で何かを呟いていたような感じだった気がする。

曖昧だが正直それどころではなかった。まるで、今日彼女にその場で殺されてしまうのではないくらい、危ない状態だったのだ。

自分でもいきなりの衝撃で、意識が飛ばなかったことが奇跡でしかたがない一瞬だった。

そう考えると少し寒気がする。


「まぁ、死んでなかったから許せるけど・・・今度は下に降りてくるときちゃんと見てから落下してきてくださいよ?」


「じゃないと」と、軽く間を開け筒井の目をまっすぐと見る。


「またそんな事があったら危ないですから」


彼女も「はい、できる限り気を付けます」と、確実とまではいかないが一言残して足元を見る。一緒になって彼女の足元へと視線を向ける。


靴だ。綺麗な赤い石を一部むき出して装飾品のように見せている靴を彼女は履いていた。

何故だが見た事がある様な、靴をだろうか?

正直金がない僕には靴は高価な物であまり見る事のない物だ。じゃあこれはなんだ?曖昧な記憶から探っていくと一つの靴が出てくる。見た事はなかった。


「もしかして、ジェットブーツ?ですか?」


「はい」彼女は頷きさらに言葉を付け加える。


「私の博士。ご主人様が改良中のジェットブーツです。私は新作ジェットブーツの試作版をテストする内容で、今日こうやって飛んでいました。」


ジェットブーツとは、魔法石を靴全体に向け魔法石回路を作り加工しているらしい。

その効果は、非常に強い物だが、皮の内部には制御できるよう回路を作り、魔力の流れを穏やかに、そして少しの力で使えるよう仕組まれている。

よって、人間の力に影響する回路は、60回線の内9線が動きに関わるようになっている。

正直、僕にはこの回路って部分が解らない。魔法が科学みたいなやり方をしている事さえも理解できていない。


でも実際そのおかげでブーツの力自体は、一時的に脚力の強化補助などができる優れもの。初心者でも扱えるようにもなっているらしい。


だけど、本物を見るのは初めてだ。どうやって動くんだろう?僕は魔法が使えないけど使えるのだろうか?など、いろんなことが気になる。

興味がわき始めて色んな想像を浮かんでくる。いつの間にか、僕は黒ストに包まれている綺麗な太ももに目がいっていた。


「あの、」


彼女のぽつりと言葉を漏らした時に、僕は勢い任せに体の姿勢を起き上がらせる。


「は!いやっすごい、あの衝撃吸引力は!えっと何でしょうか?」


目が泳ぎながら、何処に視線が行っているかも、今の僕にはよく解っていない。白々し、ブーツしか見てないですよ、と言いながら視線を少しそらす。

今だ、微動だにしないまっすぐな瞳がこちらをずっと見てくる。

何か変な感じだ、今まで蔑まれの視線だけを受けていたからだろうか?まっすぐこちらを見る視線に、初めてな気がする。


「いえ、たいした事ではないのですが」


彼女は冷静に指を川の上流、町の方面へと指をさす。

指先の先を追うように、川の流れを登り視線を向けると何かがこちらに流れてきている。

まだ何かわからない黒い物体だ。だが、遠くからでもポッコリ出ているのが解るくらいの大きさ。


「なんだ?あれ?」


その問いに対して、先ほどと変わらない冷静な口調で淡々と筒井はこう言った。


「あれは、人です。確認できる部分が、人の背骨の骨格と一致。骨周りに対して身体の幅を確認しました。どうやら、男性の身体と思われます」


「人!」


思わず僕は、筒井の顔を疑いの目で見る。

信じられない、町から何て。

疑問が何個か出てきたが、筒井は表情一つ変えない。

ただ「人です」と、普通に流れてきているように言葉として出している。


「じゃぁ!助けないと!!」


僕は急いで影に向かって走った。心にざわつきを感た。

筒井は、疑問の言葉を僕の背中を見ながら呟く。


「なぜ、なぜ助けようとしているのでしょうか?目的が解りかねます」


何故!?その言葉に足を少し止めようとしてしまった。

水しぶきをたて、向かってくる川の流れを掻き分けるように向かっていく。


――そんなの決まっているよ――


そんな事をしゃべっている暇はない。その言葉が本当だったら、考える必要なんてないじゃないか。

自分がどんなに惨めでも。人を見捨てる事がこの時、僕の中ではできなかった。

もしかすると、今まで批判をしていた人かもしれないと言うのに、考える事をしなかった。


近づけば、さらにはっきりと見えてくる。

疑いたくもなってしまう。人が、水上でうつぶせ状態でこちらに流されているという問題の事態。最悪の事を考えたくはなかったが、頭の中では嫌な予感しか出てこない。

マイナス思考のメーターがあるならば、マイナスの枠を振りきれるぐらいの物だった。


近づくたびに見える身体の影、筒井さんの言う通り確かに人だ。

肩から力がないように揺れる腕。足に関しては地面を探そうと思っていないほどの脱力感を感じさせる。


冗談じゃない、僕はただ自分の生きる事だけで必死な人間だ。今日の食糧を捕ろうと思ったら、人が空から来て、川から流れてくるのも人、今日はなんなんだ。


僕は、流れてきた男性の身体を仰向けにする。

首に手を当て、喉に耳を近づける。


――よかった、息はある――


いそいで男性を川岸まで運ぶ。

水を飲んでいないか!?どうなの!?

正直、正直のところ助けたはいいが解らなかった。川から外れたのは良いがその後どうすればいいのかが僕の知識にはそれ以上なかった。

気が動転し始める。これ以上何をすればいいのかわからない、僕の焦りと混乱がそうさせてゆく。

慌てふためいている僕の後ろに、足音と声がやってくる。


「よく解りませんが、助けたいのですか?」


淡々と、感情のこもっていない疑問がこっちへ向かってくる。

彼女の瞳は何もわからない。先ほども人の言葉を言うときも感情一つ、眉一つ動かすことはない。ただまっすぐに、僕の瞳を覗き込むように見てくる瞳だけが正直怖く思えた。

だけど、頼るしかない。

混乱とよくわからない圧迫感に押されながら、僕は声を喉の奥から振り絞るように出す。


「そ、そうだよ!筒井さん!助けたいんだけど、ど、どうすれば!?」


もう解らなくなってた、どうすればいいかも。何がどうなっているのかも。

筒井さんが冷静なのが僕には救いになった。僕の横へゆっくりと座り状況の確認を開始した。


「息があり、気を失っています。水は無理に今出すと危険ですのでこのままがよいかと」


筒井さんの冷静な言葉は、僕の中で安心感を与えた。


「そうなんだ、でも助かるんだよね?」


一度間がひらく。


「・・・ですが」


「ですが?」


筒井さんは、僕に顔を向ける。


「ですが身体が濡れた服での状態、体温が低く感じます。危険です」


筒井さんは男性の服を脱がし腰に作られたポケットから、小さな布を取り出した。慣れた手つき見た目通り、メイドの筒井は体に着いた水滴をふき取り始める。

わずかな時間で、的確に拭いていく。


「服も濡れたまま。体温がまだ危険です。暖かい御召し物、またはかわいた服が必要です」


此方に目線を向け僕の服を見つめてくる。

察しがついた、と言うより頭の混乱が治ったに近い。慌てて、服を隠していたローブを脱ごうとした瞬間だった。

横の方で、大きな黒い影が宙を舞った。

白い服だった、疑問を抱いた時には時すでに遅く、筒井さんの服は薄い絹の服装へと変わっていた。


「つ!筒井さん何をして!?」


僕が立ち上がった時には、男性の服はメイドの姿へと早変わり。

目を隠そうとしていた時には、見た目が30代のおじさんがメイドの服を着ており、薄い布でいるのが筒井さんになっていた。


「うぇええ!??」


この一瞬での光景への変化の速さに追いつけなかったが、僕は混乱の中ローブを脱ぐことにした。

冷静に男性の体温を確認しこする筒井さんに、後ろからではあるがローブを当てる。


「これは?」


「ボロイけど、それ服隠せるから、使って」


言葉が簡単にしか出なかった。

その後は僕らは男の身体を摩擦し始めた。筒井さんは上半身、僕は下半身をこすり続る。

ある程度男性の体温が保たれた後、焚き木が行われた。

正直この焚き木は、川の近くではやるべきではなかった。

町の近くであればいいのだが、森に接する川の近く何が来てもおかしくはなかったのだ。

僕は周りを見ながら、先ほど捕った魚を焼くように火に当て始める。


僕の中では、一人では何もできない事に思いが行っていた。

筒井さんがいなかったら、どうなっていたんだろうか?たぶん、僕はこの男性を殺してしまっていたかもしれない。

しずかに男性へと視線を向ける。男性の肌の色、自分1人ではきっと真っ白に冷たくなっていたのだろう。こう、落ち着いた表情すら見えなかったのかもしれない。


いい考えでも、なんでもないが事実だった。経験がなく、やり方が解らなかったのだ。

結果から言って、素人の僕は居なくても変わらなかった。

その事を感じると、自分が無性にいつも以上に小さく感じた。


「筒井さん、ありがとうございました」


僕は、頭を下げ筒井さんにお礼を言った。

軽くこちらに視線を向け、「どういたしまして」先ほどから変わらない表情で言われる。

感情が解らない、怒っているのか、笑っているのかさえ。もう少しだけ、顔に出ると良いのだが悪い人ではない。


「ところで、」一言、僕の方へ言葉が来る。


「何故助けようとしたのでしょうか?」


先ほど、向かう時に言われた言葉がやって来た。

助けるって考えては正直いなかったけど、危ないと正直感じた。

そしたら体が動いて行ったけど、何も役に立てなかったのが今の状況。

理由は、理由はなんだろう。

何か思い出せそうだった。


「たぶん、目の前で死んでいくのを見たくなかったんだと思う。どんなに蔑まれて毎日が苦しくても、きっとそんなのがどうでもよくなるくらい人の命は大切な事なんだよ」


「よく解らないけど」と、最後に付け加えながら照れくさくなった。逃げれない恥かしさに自身の頬を指でかきながら、内面では何かがもがいていた。

                                                                                                                                                                                                                                                                                           

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