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FAP01:第03弾 "巫女と軍馬"


皆様、こんばんわ~♪


雪により大幅にダイヤが乱れる中、時間潰しのファミレスでアップをしてる暮灘です(^^;


いや、明日がメンテらしいので、前倒しの強行アップになりましたが(笑)




さてさて、今回のエピソードは……


いや、ちゃ~んとミコは出てきてますよ?(汗)


というか相変わらずヒロインらしくないヒロインというか……(苦笑)




それに今回は、ミコ達が戦場に立つに至った経過と、また【突撃お嬢】の主役メカ(?)たるIV号戦車シリーズにスポットを当ててみました。


相変わらず萌え要素低い作品ですが、楽しんで頂ければ幸いッスよ~♪








エルフリーデ・ヴァレンシュタインが先鞭をつけた【パンツァー・フロイライン】制度……


そのお陰、あるいはそのせいで多くの少女達が陸軍士官学校や教練学校の機甲科の門を叩いた。


その選抜基準は厳しく、多くの少女達がまず体力審査や学力考査、あるいは精神鑑定の段階で(ふるい)にかけられ涙を飲んだようだ。


だが、考えようによっては彼女達は幸せなのかもしれない。


少なくとも、その生涯において軍という国家が許容する暴力装置と関わらずに済み、また戦場という血腥い狂宴の場を見ずに済んだのだから……




かつてのエルフリーデと同じく入校を許された少女達には、軍隊という組織にアジャストすべく更に過酷な訓練の日々が待っていた。


何しろ成人男性が脱落するような内容だけに、やはり脱落者が続出した。




☆☆☆




【パンツァー・フロイライン】制度は元々、根強い反対が(特に現役軍人から)あった。

だが、反対派が最終的に矛先を収めたのは、そのカリキュラムに納得したからだ。


なんのことはない。

提示された内容は、各コースの男性兵士の訓練課程とほぼ同じ内容だったのだ。


多くの反対派軍人達は、『か弱い普通の女性が、自分達の突破した過酷な訓練に耐えられる筈がない』と考えていた。


エルフリーデはあくまで例外中の例外なのだと。




おおよそにおいて、その認識は間違っていなかった。


ただ彼らの唯一の誤算は、エルフリーデが"数少ない例外"であっても、決して"唯一の例外"等では無かった事だ。


そして、その中でも飛び抜けたスコアを残した者がいた。


【前線装甲将校に必要な全ての要素を兼ね備える】


と教官達に評価させ、追記欄に


【勇猛果敢、果断な判断に優れる。されど時折勇猛過ぎて獰猛ですらある】


と記された少女……


他の誰でもない。

エルフリーデの妹、【ミコワルツェ・ヴァレンシュタイン】その人であった!!










**********




「正面から撃ち抜けないなら撃ち抜けるまで接近して! それでもダメなら回り込んで薄い側面を狙うんだよっ!!」


舞台は再び42年末の雪原に戻る……


「みんな! 肉薄するのは怖いかもしれないけど、【IV号改型(クアトロ・スペツァル)】を信じて! 馬力と速度では負けてるかもしれないけど、総合的な雪上機動力では勝ってる筈だよっ!!」


ミコ……ミコワルツェの叫びは根拠のない話ではない。

重量がほぼ同格……というか実は少し軽いT-34/76(41年後期型)の500馬力に対し、彼女の駆るIV号戦車改型に搭載されたアメリカ製の連結12気筒エンジンは、同じディーゼルながら90馬力も低い410馬力しか発生しない。


しかし、流体リターダ(トルコン型ブレーキ)を備えた新型シンクロメッシュ・トランスミッションの優秀さや、M4シャーマンと同じ【二重差動式スリーピース型コントロール・ディファレンシャル】操舵装置の組み合わせにより、抜群の機動性を誇っていたのだ。


「火力と防御力は互角以上! 照準器と無線機はコチラが圧倒的優位! カールツァイスとテレフケンに死角はないよっ!!」


「プロイセンのぉ〜、技術力はぁ〜、世界一ぃぃぃ〜〜〜♪」


おどけた様子で間延びしながら(うそぶ)くハンナに、ミコは微笑み、


「それにあれだけ厳しい訓練をみんなで越えてきたんだもん……」


あえて3倍近い数の差を無視し、


「これでわたしたちが負ける筈はないからっ!!」




『『『『ヤボール!!』』』』


ミコの呼びかけに、麾下4両のIV号戦車改型から一斉に頼もしい声が帰ってくる。


彼女は武者震いに小さな肢体を揺らし、


「みんなで祖国を守ろっ!!」









**********




戦いは熾烈だったが、数は劣るが雪上機動力に勝るミコの小隊が優位に進めていた。


確かに戦車の性能差もあるだろう。


控え目に言っても、PPG世界におけるIV号戦車はM4シャーマンやT-34と並べてもなんら劣らない優れた戦車なのだから。




☆☆☆




IV号戦車開発のきっかけは、1936年の【スペイン内乱】で露呈した、当時のプロイセン最新鋭戦車【III号戦車】の急速な陳腐化に端を発する。


この戦争にフランスは、国家の威信をかけて開発した重戦車【シャール(ルノー)B1】を持ち込み、その圧倒的な火力と防御力を見せ付け、参戦国陸軍軍人の度肝を抜いた。


特に驚愕したのが"コンドル義勇兵団"の名目で参戦していたプロイセン軍人だった。


何しろ、ようやく定数配備が終わったばかりのIII号戦車が、初めての実戦で、さっそく明確な"格の違い"を見せ付けられてしまったのだ。




帰国した彼らの報告を聞いたプロイセン陸軍上層部は愕然とした。


何しろ彼らは、重砲の短時間の釣瓶打ちに加えて地対地ロケット弾の集中発射、航空機による急降下爆撃を加えた【空陸一体の火力の傘】のもと、戦車を中心とした装甲兵力の集中投入による機動浸透戦術……

後に【電撃戦(ブリッツェン・クリーク)】と呼称される戦術の原型を既にスペイン内乱で使用してしまったのだから。


ならば万が一の時はフランスが電撃戦を……しかも自国より遥かに強力な戦車をフロントラインにして攻め寄せてくるかもしれないのだ。


更にプロイセンを狼狽させたのは、アメリカよりもたらされた情報……フランスはB1のエンジンを強化しつつ、装甲を5割増にして尚且つ"傾斜装甲"の概念を取り入れた改良型【B1bis】を開発中で、それが本当の量産型だと言うのだ。




当時のプロイセン軍部にあった戦々恐々とした空気は、驚くほど短時間で後に【現代に蘇ったスパルタ】と陰口を叩かれるほどに帝国時代を質/量共に上回る精強な軍を編成した彼の皇国の姿を知る者には、むしろ滑稽に映るかもしれない。


だが、その頃のプロイセンは未だ敗戦国という意識を国民の大半が持ち、例え実状がどうだろうとフランスは強力な"戦勝国"だったのだ。


更に戦後は統帥権が議会の承認がないと発動できない、立憲君主の象徴皇帝となった【ヴィルヘルムII世】のフランス嫌いは有名で、その影響は当時……いや、今なお決して無視できない要素だった。




☆☆☆



そんな緊迫した空気の中で練られたIV号戦車は、史実より一回り大きな……B1と同じ30t級の戦車として計画された。

それは一重に


【アウトレンジから1発の命中弾でB1を撃破できる砲を搭載した旋回砲塔を持つ戦車】


というコンセプトが真っ先にあったからだ。


わざわざ旋回砲塔と明記してあるのは、一々車体の向きを変えないと標的に指向できない固定砲と、車体の位置に関係無く全周囲に砲を指向できる旋回砲では、戦車同士が戦う場合どちらが有利かなど、考えるまでもないだろう。


当時、プロイセンで製造されている砲でその数値……車載できるサイズで一方的な遠距離からB1に有効打を与えられるのは、高射砲から転用できる75mm43口径長砲か88mm56口径長砲(通称:"アハト・アハト")だったが、後者は設計段階で計算上50tを超える空前絶後の巨大戦車になる事が確実で、そんな巨大戦車はプロイセンが入手できる戦車にあるわけないので既存の技術だけでは足りずに試作を作るだけでも数年かかるとされた。


これが後のプロイセンを代表する重戦車、【VI号戦車:"ティーガー"】となるのだが……プロイセンはそこまで待つ余裕は無かった。




☆☆☆




アハト・アハトを標準装備する重戦車はそれはそれとして開発するにしても、プロイセンが欲したのは既存の技術の組み合わせで手堅く手早く開発でき、現実的に大量配備できるコストと生産性を持ちながら、既存の戦車を撃ち破れる打撃力を備えた戦車だった。


要求から言えば、むしろ開発に時間的余裕がまだあったティーガーより無茶振りに思えなくもないが、それを簡単に成し遂げてしまうのも、またプロイセン人なのだった。










**********




結果から言うなら、IV号戦車はその先進的性能からするなら、驚くほど技術的な冒険の少ない戦車として完成した。


しいて全くの新基軸というのは、アメリカから輸入したクリスティー戦車の足回りを改良した【クリスティー式サスペンション(正確には、その改良型)】ぐらいではないだろうか?


よくIV号戦車の技術的ブレイク・スルーや先進性として語られる


1軸式(上下動)砲安定装置(ガン・スタビライザー)


電気油圧駆動式砲塔旋回装置


二重差動式スリーピース型コントロール・ディファレンシャル操舵装置


シンクロメッシュ式トランスミッション


の何れも同時代のプロイセンやアメリカにおいて、既に別の戦車や"戦車以外"に使われていたシステムだ。


特に先進的と言われていた動力部も、初歩的ながらパワーパックの概念が設計に取り入れられてる事は確かに先進的だが、400馬力を絞り出したエンジン自体は4ストローク水冷V型12気筒のガソリン・エンジンという極めてオーソドックスな構成だった。


それでも強いて進歩的な部分を挙げろというなら、キャブレターではなくプロイセンお得意の燃料供給装置を使っていたことぐらいだろうか?




もしIV号戦車を時代を先取りした戦車と表するなら、それはこれらのコンポーネントを破綻なく"戦車"という一つのウエポン・システムとして完成させた設計の秀逸さと、何より基礎設計段階から強く考慮されたメンテナンス性の高さと発展性の高さだった。




☆☆☆




プロイセンはアメリカやソビエトに比べれば遥かに小国であり、どう転んでも生産力は劣る。


ならば稼働率というのは死活問題だ。


しかし、戦車はその見かけに反して繊細で壊れやすい側面もある。


その重装甲……重量故に機械的な無理が自壊しやすい、例えるなら全身にアキレス腱があるような物だ。


敵の砲弾には強いが、自分の重量で壊れるのが戦車と言ってもあながち間違いではないだろう。


史実のIV号戦車は"軍馬"というニックネームが与えられ、過酷な扱いでもへこたれぬ頑強さが将兵達の支えとなった。


しかし、アメリカの優れた基礎重工業力や品質管理により、史実のそれより遥かなPPG版の"軍馬"も、戦車全体が持つその機械構造的宿命からは逃れられない。


そこでプロイセン戦車開発陣が考えたのは、


「どうせ壊れるなら、直ぐに壊れた部品を交換できるようにしちまえ」


だった。

更にこのメンテナンス性の高さは部員のアップデートによるバージョンアップが容易という事も意味していた。


その意味を十分理解していた技術スタッフは、史実より1回りは大きい30t級の車体に、車幅ギリギリの大口径砲塔リングを載せ、また履帯は当時の鉄道輸送の限界の525mm巾のそれが選択された。


そう、クリスティー式サスペンションも大型鋼製転輪も幅広履帯も、全ては将来的な重量増……大口径リングに更に巨大な砲と砲を支えられるだけの初期量産より10t近いマージン、最大40tまで耐えられる足回りを与えていたのだ。




だからこそ、である。

だからこそ、まだ年端もいかぬ少女達を、原型から徹底的に強化された"軍馬"達は、未だ赤い砲弾が愛くるしい存在を肉片へと変える事を許してはいなかった。







次回へと続く






皆様、ご愛読ありがとうございましたm(__)m


ミコ達の戦いっぷりやIV号戦車のPPGバージョンは如何だったでしょうか?


それにしても、正伝は20話越えてもまともな戦闘シーン無いのに、最初からクライマックス(?)な外伝って一体……(;^_^A




明日はメンテらしいのでアップを前倒しにしたせいで、次回のアップは激しく未定ですが、また皆様にお会いできる事を心より祈りつつ(__)




追伸

ご意見ご感想を頂ければ本当に嬉しいです。





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