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FAP02:第10弾 "階級という立ち位置とその意味"


皆様、おはようございます♪


本日もまたしても朝方アップな暮灘です(^^;


さてさて、今回のエピソードは……


ミコ

「ふふふ……幸せも哀しみも皆で分かち合おうよ……」


アンジェリカ

「あ~、ミコが何か壊れてるけど気にしないで。なんか最近のエピソードでストレス溜まってるみたいだし」


エレオラ

「そうなのか? 今回のエピソード、小官としては歓迎すべきことなんだが?」


アンジェリカ

「高級将校には色々思うところがあるんでしょ? それにミコって以外に溜め込むタイプだしね~」


ミコ

「お姉ちゃんだけワクワク退役ハッピーライフなんて許さない……」




何やらまた動きが有りそうなエピソード、どうやらまたしてもミコにストレスが溜まるのか?(笑)


そんなこんなで楽しんで貰えたら幸いです♪








【マンネルハイム十字勲二等章(二級マンネルハイム十字章)】


この勲章は、冬戦争(第一次冬戦争)の直後に制定された勲章で、戦場あるいは戦争において、勇敢な兵士/すばらしい業績を達成/優れた指導指揮を行ったものに与えられている。


この章は受賞すべき功績を挙げれば階級に関わらず、全てのフィンランド国防軍が対象となり、個人の武勇や功績に重点が置かれる……


とまあ確かに、ミコの為にあるような勲章だ。


そして案の定、3倍に及ぶ敵を、例外的に生き残った一人の捕虜を除き語義通りに全滅させたミコは、二級マンネルハイム十字章の受勲が伝えられた。




☆☆☆




勿論、不自然な点は山程ある。


例えば、ミコ小隊が赤色戦車中隊を蹂躙してからまだ半日も経ってない。


無線通信が当たり前になった現代軍では、インフラが整備された国内であれば情報伝達その物は、以前とは比べ物にならないくらい早い。

だが、飛び込む様々な事象を判断するのは相変わらず人間なのだ。


にも関わらず、今回のミコの受勲は本当に話し合いが行われたのか怪しいほどのスピードで決まった……




☆☆☆




まあこれは、【パンツァー・フロイライン】大隊が元々はフィンランド最高司令部直轄の"プロパガンダ"独立戦車大隊とい特殊な(情報がダイレクトに伝わりやすい)バックボーンもあるのだが……


「おじ様だって【フィンランド獅子勲章第一級騎士章】持ちの【レーヴェン・リッター(獅子の騎士)】なんだよ?」


そもそも、プロイセンが出自のフィンランド・ヴァレンシュタイン家の受勲の始まりは、フィンランド陸軍を近代化させる為に時の政府からスカウトされた、元プロイセン陸軍の現場叩き上げ戦車将校……フィンランド陸軍に他国に見劣りせぬ【機甲部隊】設立すべく東奔西走し、八面六臂の活躍をした父【ゲルハルト・ヴァレンシュタイン】から始まっていた。




そして、ミコの姉であるエルフィーは、第一次冬戦争(39〜40年)でIII号突撃砲を乗り回してソ連戦車を破壊しまくり、見事に


【二級マンネルハイム十字章を最初に受勲した中の一人】


という栄誉を手にしてる。

まさに【救国のヒロイン】であるエルフィーに相応しい、華々しいエピソードと言えるだろう。




☆☆☆




「【レーヴェンハルト(獅子の心臓を持つ男:ゲルハルトの二つ名)】の娘二人が揃ってマンネルハイム・リッターとなる。しかも、3倍は以上の……【今のスオミと赤軍以上の戦力差】あっさりひっくり返して」


何かの歌詞を口ずさむようなアンジェリカの台詞をエレオラは受け継ぎ、


「追い詰められたフィンランド国民にとり、恐怖から目を逸らせるこれほど適した"武勇的慶事"はない……だろ?」


アンジェリカはゆっくりした動作で頷く。

同時にミコは只でさえ細い撫で肩なのに、それをガクンと盛大に落とし、


「トホホ……酷い現実もあったものだよ……」


と溜め息混じりに呟いたのだった。

しかし……


「で、でも今回貧乏クジを引くのは、わたしだけじゃないもん!!」


「はぁ?」


不思議そうな顔をするアンジェリカに、


「隊長……?」


疑問符が今にも頭上に浮かびそうなエレオラに、


「実はね……」









**********




話は、大隊長室でのヴァレンシュタイン姉妹の会話まで遡る……




「"昇進"?」


キョトンとすりミコは、直ぐに困惑した顔になり、


「あの、お姉ちゃん……わたし、まだ少尉として任官してから、まだ一年も経ってないんだけど……?」


だがエルフィー、エルフリーデ・ヴァレンシュタイン大尉は苦笑し、


「まさか【軍人と武功と士気高揚の為に作った勲章】を与えて昇進させませんって訳にはいかないでしょ?」


どうでも良いが、今エルフリーデが着ているのは【プロイセン帝国(今はプロイセン"皇国")時代の下士官用パンツァー・ユニフォーム】。

つまり、エレオラが愛着してるパンツァー・ユニフォームのご先祖様(正確にはその安物版)だ。


言うまでもない事だが、父ゲルハルトから貰った古着である。




☆☆☆




一応、【"フィンランド"の救国のヒロイン】という世間の目があることを理解してるのか、エルフィーは一歩外へ出る時はフィンランドの正規高級将校服や野戦服をきっちり着こなす(いやそれも、全て父親のお古をわざわざ自分用に仕立て直した物だが……)。


だが、基本的に身内(部隊内の人員)しか来ない大隊長室では、普段はこのタイプの軍服……それもサイズ直ししないで袖を折り、明らかに大きいそれをガウン(羽織?)風に着ているのだ。




ちなみにミコ、


【"はだかぐんぷく"で父親の軍服をクンカクンカして、下半身大洪水にしたまま床を転げ回る姉】


という奇っ怪な物体(?)を家でもここでも何度か目撃していて、その度に無言でドアをしめ、自分自身をマインド・リカバリーした記憶があった。




☆☆☆




「はぁ〜……冗談だとしてもタチが悪すぎ。本当だからもっとタチが悪いよ」


深々と溜め息をつくミコだったが、


「ミコちゃん、胸を張りなさい。もうすぐ"ヴァレンシュタイン中尉"殿なんだから♪」


「わかってはいるけど……受け止めたくない現実ってあるから(例えばお姉ちゃんの性癖とか……)」


だが、ミコの心を知ってか知らずかエルフィーはニコニコしながら、


「この調子でどんどん出世してお姉ちゃんを追い抜いて欲しいな♪」


「えっ?」


「そうしたら、お姉ちゃんは大隊をミコちゃんに預けて、晴れて円満退役☆ お屋敷に戻ってお父さんと二人で仲良く子作りに励みながら、ミコちゃんが帰ってくるの待ってるから♪」


問題発言をさらっと言うのも、母親をきっぱりスルーするのもエルフィー・クオリティ♪




「……お姉ちゃん、殴っていいかな?」


「あん。ミコちゃんたら冗談が通じないんだから〜」


いい歳(と言っても大尉としては若すぎるが……)こいた姉が、デカい乳を強調するように『やんやん♪』する姿は、中々にエゲつないなぁ〜と思いながらミコは、


「冗談……? 冗談だよね? お姉ちゃんの事だからてっきり本気で願望がだだ漏れしてるのかと思ったよ」


フゥ〜っと安堵の息を漏らすミコ。

しかし、


「……なんでバレてるのかしら?」


安堵の息が深い深い溜め息に変わったのは言うまでもない……




☆☆☆




「まあ、でもミコちゃん。今回はミコちゃんだけ昇進って訳じゃないから♪」


「へっ?」


鳩が豆鉄砲を食らったような顔をするミコにエルフィーは、


「言って無かったっけ? 今回はマンネルハイム十字章の受勲はミコちゃん一人だけだけど、昇進は戦闘に参加したミコちゃん小隊の全員だって」


「聞いてないよっ!!」










**********




「とまあ、そういう訳なの」


再び時間と場所はミコの小隊長室に戻る。


「本当か!? そうか……小官も伍長から軍曹に出世かぁ……"ロンメル軍曹"……うん! 悪くない響きだな!」


『父様……エレオラはやりました……また一歩、父様に近付きました』と呟きながら、素直過ぎるくらい素直に感激するエレオラとは対照的に、


「ふ〜ん……で、わたしゃ上級曹長? 特務曹長? それとも准尉? どれになるんだい?」


さて、アンジェリカが言う三つは曹長の上にくる"准士官"の階級で、実はかなり意味が違う。




☆☆☆




簡単に階級をお復習しておこう。

ただし、これはあくまでPPG世界における【貴族制度が形骸化した現代欧州】の一般的な軍階級であり、現実には国ごとに恐ろしく差異がある(詳細はまさに複雑怪奇)ことをご了解頂きたい。




まずは兵。

二等兵→一等兵→上等兵


実はこの上に"兵長"という階級があるが、兵に入るか下士官に入るか微妙なグレーゾーンとなる。


ちなみに【王立女子戦車訓練学校(通称"戦女")】の一般成績卒業者に与えられるのが、この兵長だ。




次に下士官。

伍長→軍曹→曹長


いわゆる現場叩き上げで、最小行動単位(陸軍なら分隊)のチームリーダーを任される事が多い。


"戦女"の各兵科の成績優秀者に与えられる階級が、下士官の一番下である"伍長"。

特に花形の戦車科では、車長に抜擢される場合が多い(ミコの小隊長車は二人の伍長がいるが、それは例外に近い)。


アンジェリカはFAP02:第08弾で触れた通り、既に第一次冬戦争で実戦経験を積み、"戦女"入学時には軍曹で卒業時に一階級して曹長という例外的な事例だった。


本来なら確実に成績優秀者枠内で、本人が望むならもう一階級上を狙えたが、


『二階級特進は縁起が悪い』


と本人が辞退した。

それが本音かどうかは別(階級が上がると責任が増えるので、"単に面倒だった説"が固く信じられている)にしても、二階級特進は普通は戦死者にとられる措置なので、アンジェリカの言い分も筋違いという訳ではない。




さて、問題なのは下士官の上に来る、アンジェリカが望めばなれただろう"准士官"。

これは簡単に言えば、


【士官学校は卒業してないけど、下士官にしておくには惜しい者】


に与えられる階級だ。

大抵の現代軍では士官学校を卒業した者(=士官教育課程の修了者)が、"少尉"以上の士官(上級士官)になれるのが一般的だ。

ちなみに下士官に対して"本士官"や"高級士官"と呼ばれる事もあるが、意味合い的には上級士官と同じである。


さて、何が問題かと言えばこの准士官、


兵曹長

上級曹長

特務曹長

准尉


の四つがあるのだが、実はこれが素直に"→"では結べない。




☆☆☆




最も一般的なのは"兵曹長"と"上級曹長"。

この二つは基本的に同じ階級で【曹長より上で少尉より下の階級】と言うストレートな意味だ。


違いがあるとすれば階級が常設されてるのが兵曹長で、該当者が出た時に任官されるのが上級曹長だろうか?

とはいえ、例えばプロイセンはこの階級を常設しているのにも関わらず上級曹長としてるので、ややこしい。




次は"特務曹長"。

本来の意味は、一兵卒(二等兵)からの叩き上げで軍の服役年数が長く、それだけの経験に応じた階級として設定された。

いわゆる【一兵卒の出世の頂点("兵にとっての元帥")】だ。


このタイプの特務曹長は、兵曹長や上級曹長からの昇進であり、必然的にベテランが多い。


だが、これ以外にも特務曹長は存在する。

それが文字通り【"特殊任務"に従事する】タイプの曹長だ。

実は、エピソードFAP02冒頭に登場した"ターシャ"こと【タチアナ・ロジェストヴェンスカヤ】がこっちのタイプの"特務"である。


これ以外にも【特別なスキルや技能を持つ士官】も特務と付く場合もあり、このタイプの特務曹長は前述のベテラン特務曹長に対して若年特務曹長に多い。


両者に共通してるのは、特務と付けば【2階級上と同等かそれ以上】であり、つまり特務曹長とは【少尉と同等以上の階級】なのである。




最後は"准尉"。

階級的には上級曹長や兵曹長と同じなのだが、准尉は別の意味がある。

"准"には"なる手前"というニュアンスがあり、つまり


【少尉になる手前の尉官=士官学校卒業前の"士官候補生"が事情があり配属(実戦配備)される】


場合に便宜上与えられる階級だった。

つまり、士官候補生は厳密には"軍人の卵"で正規士官ではないので戦場に立てない。

それを何とか戦場に立たせる為に用意されたのが准尉だ。


そしてこれは近年、いざ戦争が始まれば真っ先に消耗しやすく、また徴兵で兵員が増える為に急速に需要が増えて不足気味になる高級将校の頭数を補う手段として、


【実戦叩き上げだが士官候補生以上に上級将校の資質や経験を持つ若手曹長】


にも適応されるようになった。

まあ、【戦場から学びとったノウハウが士官学校に勝る】と判断された者に与えられる階級と考えていい。




☆☆☆




では、アンジェリカはどのタイプの准士官となるのだろうか?


「アンジーちゃんは……」




ミコの口から出たのは、ある意味順当な階級名だった。









次回へと続く






皆様、ご愛読ありがとうございましたm(__)m


なんといきなり全員出世の展開は如何だったでしょうか?(^^;


というか、後半は階級の話ばかりだったような?(汗)


でも、一度ちゃんと書きたい話題ではあったんですよ(;^_^A




それにしても……

エルフィー、君は基地で何をやっとるんだ?(^_^;)




亀足ではありますが、話は少しずつ進んで行きます……行くといいなぁ~(^^;




それでは、また次回で皆様にお会いできる事を祈りつつ(__)






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