FAP02:第09弾 "マンネルハイム十字章"
皆様、おはようございま~す♪
本日は何とか通勤前アップが出来そうな暮灘です(^^;
さて、今回のエピソードは……
ミコ
「う~ん……なんて言うか、微妙?(汗)」
アンジェリカ
「経緯説明と明らかになって無かった情報が開示されると同時に新たな伏線が仕込まれてる……かな?」
エレオラ
「ん? 普通に"拠点イベント"で良いんじゃないか?」
エレオラ、大雑把過ぎ(^_^;)
でも、この三人が主役というか、この三人しか喋ってないというか(苦笑)
ともかく、一応色々と問題はあるけど、
【この娘達もやっぱり国防を任された軍人なんだなぁ……】
という感じが、何となく伝わってくれれば良いな~と(^^;
それでは、お楽しみ頂ければ幸いです♪
さてさて、美少女と美女だけで編成される、実戦を想定してるけど実のところ(本来は)プロパガンダ向けの
【パンツァー・フロイライン】独立戦車大隊
と呼ばれるフィンランド軍最高司令部直轄の部隊がある。
その中の1戦車小隊を預かるのが、"ミコ"こと【ミコワルツェ・ヴァレンシュタイン】少尉。
まだ10代末と若いが、
【前線装甲指揮官に必要な全ての素養を兼ね備えている】
と、ある教官に絶賛されるほど高い戦車兵資質の持ち主だ。
全知全能を破壊と殺戮に投入し、戦場においては些か凶暴……もとい戦闘的過ぎるきらいがあるが、間違いなく有能だった。
少なくとも第一次冬戦争において、スオミ人からは【救国のヒロイン】と祭り上げられ、ロシア人からは【III突の魔女】と恐れられたは伊達ではない姉に、
【雪原の装甲魔女】
とまで言わせる程には……
☆☆☆
実は今回、ミコが姉の"エルフィー"……【パンツァー・フロイライン】大隊の大隊長【エルフリーデ・ヴァレンシュタイン】大尉より招き寄せてしまった"厄介事"は、その有能さ故の事だった。
ほんの数時間前、芬ソ暫定国境線を越境侵犯していたソビエト赤軍の"強行装甲偵察中隊"がいた。
彼らの任務は暫定国境にある筈の進軍可能な【フィンランド防衛線の穴】を見つける事にあった。
その辺りの下りはエピソード【FAP01】に詳しいが……
だが、彼ら装甲偵察中隊は実に運が無かった。
赤い紳士諸兄が断りなく入り込んだのは、【パンツァー・フロイライン】大隊の哨戒圏内……
つまりは、大隊所属の小隊が定期的にパトロールを行う一帯だった。
しかも、よりにもよってその時にローテーションで巡回していたのはミコの小隊だ。
ミコは先に赤軍中隊を発見すると、自分の庭のように熟知している地形……
"地の利"が自分達にあること。
雪中行軍の様子から敵の練度が自分達より劣ってること。
何より敵の主力であるT-34がポーランド侵攻に合わせて大量急造された、ミコ達が警戒する42年式T-34に比べると総合性能がかなり劣悪な"簡易生産版"……いわゆる【ピロシキ】である事を判断材料に、待ち伏せからの奇襲を用い、少数である自分達から仕掛ける事を決めた。
【サーチ&デストロイ(見敵必殺)】
実にミコらしい判断である。
**********
詳細は省くが、結果は敵中隊はミコが掻き回す"魔女の大釜"にに放り込まれ、具材としてグツグツと煮え立つ鍋の中に残らず熔けた……
「今回の【3倍以上の兵力差を覆し、1両の損失も出さず、尚且つ1両も残さず殲滅した快挙! いや……その"奇跡"の実像に迫る!】だそうだよ」
敵は中隊編成……ミコ達の3倍はいたのに、戦車は全て硝煙臭いスクラップにされ、現状で確認された生存者(捕虜)は一人だけだった。
「陳腐だねぇ〜……要するにマスコミの晒し者になり、士気高揚のプロパガンダを詠ってこいってことでしょう?」
そう呆れたのは、ミコとエルフィーのヴァレンシュタイン姉妹共通の幼なじみの親友。
小隊副長と小隊2号車の車長を兼任する、"アンジー"こと【アンジェリカ・ヤヴェリナ】で、
「良いではないか? 我々(パンツァー・フロイライン大隊)は本来、そういう存在なのだからな」
そう生真面目に返すのは、あのエルヴィン・ロンメルの三女、前線装甲将校として戦争する為にわざわざフィンランドに移民した3号車車長、"エレオラ"こと【エレオノーラ・ロンメル】だ。
「そんなのは本当ならお姉ちゃんの仕事なのに……わたしは普通に戦争したいよ」
アンジェリカは苦笑しながら、
「諦めなさいって。大方、軍の広報や政府広報だって一枚噛んでるだろうしさ」
エレオラも頷き、
「国境の向こう側……ラドガ湖だけでなく、カレリアにコラ半島も含め確認されてるだけで58万6千人のソビエト赤軍……対して、我らは最大動員でもその半分にも満たない25万の兵力に過ぎない……」
残念ながら、紛れもない事実だった。
暫定国境線の向こう側にいる赤軍は増える事はあっても減る事は考えにくい。
「そんな絶望的な状況下で、【可憐な少女戦車隊が、3倍の野蛮な敵を撃ち破った】なんてニュースが誇張ではなく事実として飛び込んでくれば、フィンランド政府や軍じゃなくたってとことん利用したくなるさ」
達観した雰囲気のエレオラに、同意するようなアンジェリカは、
「まあ、【バルバロッサ戦役】で数百万人規模の殴り合いを延々と半年も続けて疲弊したCETO各国に、前回(第一次冬戦争)並みの支援を期待するのも虫が良すぎる話だしねぇ〜」
そう……
前回との最大の違いは、プロイセンを中心とする北部戦闘管区をはじめCETO各国が2週間で25万もの増援を義勇兵団という形で送り込んできてくれたが、今回はそういう訳にもいかないだろう。
アンジェリカの言う通り、CETO各国はバルバロッサ戦役において勝ったというより、むしろ
【防衛に成功した】
と表現すべきだろう。
実際、北部戦闘管区の中でも主戦場となったチェコとスロバキア、オーストリア、そしてプロイセンすら広大なポーランドとの国境線に加え、バルト海……リトアニア方面の国境線がかなり酷いことになっている。
当時、ソ連が投入した累計総兵力390万人に対し、CETO北部戦闘管区は230万人の兵力動員で対抗し、100万人越えの甚大な出血を強いて赤軍を撤退させたが、彼らの受けたダメージも決して少なくはない。
CETO側の戦死者/行方不明者20万人というのは……そういう数字だ。
**********
「まあ、だからこそプロパガンダ部隊に過ぎない【パンツァー・フロイライン】が、ガチに独立戦車大隊なんて実戦部隊として動かないとならなくなったんだけど……」
明け透けに言うアンジェリカにエレオラは、
「いや、この国家非常事態に最新鋭の戦車を遊ばせる余裕はない。司令部の判断は適切だ」
「あ、あのね、それに関しては朗報……と言っていいかどうか分からないけど、関係ありそうな話が、今回のヘルシンキ行きに絡んでるの」
「ん? なんか妙に要領を得ない言い回しね」
「隊長、小官は歯切れの悪い言葉は軍人として好まないのだが?」
二人に訝しげに見られたミコは、
「正直、わたしにも良いのか悪いのか分からないんだって。じゃあ、事実だけを挙げるね」
頷く二人に、
「先ずは今回の【王都詣】には二つの意味があるの。一つは……ううっ」
ミコは一瞬言い淀み、
「わたしの受勲。わたしことミコワルツェ・ヴァレンシュタインは、この度の戦功により、【マンネルハイム十字勲二等章(別名"二級マンネルハイム十字章")】を授与される事になりました!」
口調が滅茶苦茶……というか、ヤケクソ気味なのは何故だろう?
☆☆☆
【マンネルハイム十字勲二等章(二級マンネルハイム十字章)】について少し説明しておこう。
これは冬戦争(第一次冬戦争)の直後に制定された勲章で、戦場あるいは戦争において、勇敢な兵士/すばらしい業績を達成/優れた指導指揮を行ったものに与えられている。
この章は受賞すべき功績を挙げれば階級に関わらず、全てのフィンランド国防軍が対象となり、個人の武勇や功績に重点が置かれる。
「やったではないか隊長!! まさに得るべき者が得たというところだな?」
無邪気に祝福するエレオラである。
確かに、今回のミコの為にあるような勲章だ。
「やったじゃん♪ これで褒賞5万マルク、get確定だぜ♪」
ちなみにこの勲章、授与されると5万マルクの褒賞金が出る。
今の貨幣に換算するとミコより1階級上の【中尉の年棒】くらいには楽になる金額だ。
「ちゃんと皆に還元するよ〜。勲章授与式が終わったら、小隊のみんなで何か食べに行こ?」
何というか、こういう部分もまたミコらしい。
ミコは確かにスオミで最も危険な"雪原の装甲魔女"かもしれないが、同時にひどく友人好きの人好き、甲斐甲斐しいまでの部下想いでもあるのだ。
☆☆☆
「それにしても、ミコ"も"【マンネルハイム騎士】ねぇ……」
マンネルハイム十字章の受勲者は【マンネルハイム騎士】と呼ばれるが、問題はそこではなく……
「【姉妹揃って"マンネルハイム・リッター"】だなんて、」
アンジェリカはニヤリッと笑い、
「いっそ清々しいまでのあざといプロパガンダよね〜」
そう、マンネルハイム十字章はそもそも第一次冬戦争の武功を讃える為に制定された勲章だ。
であるならば、その受勲者に、女だてらにIII号突撃砲を乗り回し、5両以上のソ連戦車を鉄屑にした
【救国のヒロイン】
が混じってない方がおかしい。
ついでに言っておくと勲二等(二級)があるなら【マンネルハイム十字勲一等章(一級マンネルハイム十字章)】も存在するが、これは勲二等を二回授与された者が受勲対象なので、今のところまだ受勲者は出ていない。
しかしながら、エルフリーデ・ヴァレンシュタインは【最も勲一等章に近い三人】の一人に数えられていた。
ちなみに残りの二人は、フィンランドの最高司令官で勲章の元ネタ(?)である【カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム】元帥と、歩兵大将【エリック・ハインリッヒス】という階級も軍歴も違う超大物だったりする。
☆☆☆
「それ、お姉ちゃんも『いくらなんでも演出過剰』って笑ってたよ」
「構わぬではないか? 隊長、政治とはいうものだ。古代ローマ帝国の頃より、国民が熱狂できる娯楽を提供するも、為政者の義務だ」
するとミコは今にも唸りそうな表情でエレオラを見ると、
「その政治的なバカ騒ぎ(イベント)の為に人身御供になれと?」
「割り切れ。高級将校というのは多かれ少なかれ、政治に無関係でいられる立場ではない」
「エレオラちゃんは、任官したての一介の少尉に何を求めるかな?」
すると二人のやり取りを見ていたアンジェリカはケラケラと笑いだし、
「ミコぉ〜、【ゲルハルトおじ様】の娘で戦車乗りなんかやってる以上、アンタが"一介の少尉"なんて扱いでいられる訳ないじゃん♪」
そうミコとエルフィーの父、【ゲルハルト・ヴァレンシュタイン】中将(第二次冬戦争の勃発と同時に戦時特例措置で昇進した)は、
"フィンランド陸軍機甲化の父"
とか呼ばれ、中には
"スオムス・グデーリアン"
とゲルハルト本人が聞いたら卒倒しそうな呼び方をする者もいるくらいだ。
☆☆☆
「おじ様だって【フィンランド獅子勲章第一級騎士章(国家に長い間多大な貢献した者に、軍民問わず送られる最高栄養勲章)】持ちの【レーヴェン・リッター(獅子の騎士)】なんだよ?」
アンジェリカは意味ありげにニンマリ笑い、
「全部の事象はリンクしてるんだってばさ♪」
彼女は笑みを強くして、
「【レーヴェンハルト(獅子の心臓を持つ男:ゲルハルトの受勲後の二つ名)】の娘二人が揃ってマンネルハイム・リッターとなる。しかも、3倍は以上の……【今のスオミと赤軍以上の戦力差】あっさりひっくり返して」
何かの歌詞を口ずさむようなアンジェリカの台詞をエレオラは受け継ぎ、
「追い詰められたフィンランド国民にとり、恐怖から目を逸らせるこれほど適した"武勇的慶事"はない……だろ?」
アンジェリカはゆっくりした動作で頷く。
同時にミコは只でさえ細い撫で肩なのに、それをガクンと盛大に落とし、
「トホホ……酷い現実もあったものだよ……」
と溜め息混じりに呟いたのだった。
次回へと続く
皆様、ご愛読ありがとうございましたm(__)m
三人娘の会話イベントは如何だったでしょうか?(^^;
暮灘的には、ミコ/アンジェリカ/エレオラ三人のそれぞれ"らしい"とこが何となく描けたので、満足です(^。^;)
ウォーモンガー疑惑(笑)があるけど【戦場以外】でも意外に指揮官適性が高いミコ……
独特のクセはあるけど三人の中で一番広い視野を持ち、よく見ているアンジェリカ……
まごうことなき変態(笑)だけど、父親が父親だけに【軍人のなんたるか】を自分なりに確固として持ってるエレオラ……
ユッタ/サラ/ハンナのカルテットも好きだけど、このトリオも好きだなぁ~っと♪
次回のアップは未定ですが、また次回にて皆様にお会いできる事を祈りつつ(__)




