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FAP01:最終弾 "雪原の機甲魔女(パンツァー・ヘクセン)"


皆様、こんにちわ~♪


本日はちょいと仕事に穴が空き(泣)、時間ができたのでそのストレスを装薬に最終弾を発砲した暮灘です(^^;




いや~、長かった雪上バトルもいよいよラストステージ……


やったぁーー!

終わったぁ~~♪




サラ

「ホント、無駄に長かったわね」


ぐはっ!?( ̄□ ̄;)


ハンナ

「美味しいエピソードラストなのに台詞が全くありませんでしたわ……」


ユッタ

「ユッタも同じッスよ!(泣)」


ミコ

「わたしだって、あんまり台詞は……ヒロイン・ポジってウソだよね?」


うっ……

今まで散々派手に暴れたんだから、ラストくらいは……って、駄目?(汗)


サラ

「というか、ラストはオッサンと初登場キャラが持ってくってのもどうよ?」


いや、まあこちらにも色々と事情がありまして(;^_^A




とにかく、そんなこんなで大団円(?)なエピソードFAP01・ファイナル!


お楽しみくだされば、感謝感激ッス♪








フィンランドとロシア、その今となっては酷くあやふやになってしまった国境線にある湖【ラドガ湖】……


その湖畔、主戦域から少し外れてはいるが、やはり【西岸戦区(ウエスト・バンク)】で勃発した"小さな戦争"は、既に最終ステージに突入していた。




「1台として生かしてロシアには返さないよっ!!」


『『『『ヤー! マイン・フューラー!!(了解! 我らが隊長!!)』』』』




☆☆☆




その追撃戦……ソビエト強行偵察中隊(正確にはその残存数両)に言わせれば、撤退戦はまさに地獄だった。


確かに直線はT-34の方が軽い上にパワーもあるので速いが、いかんせん小回りが効かない。

何よりここは未だフィンランド領、地の利もミコ達にある……


逃げ切るのは、酷く困難な状況だった。




☆☆☆




ミコ達に正面を向けたまま、熊を相手にするようにジリジリと後退するのは論外。


いくらT-34が速いと言っても後進では、流石にIV号戦車改型の前進スピードの方が格段に速い。

すぐに追い付かれてノーリスクの位置から一発喰い、一貫の終わりだ。




では速度差を生かす為、背を向けて真っ直ぐに走れば……


同じクリスティー式の足回りで同等かそれ以上の走破性を誇り、パワーはなくても操舵装置やトランスミッションのアドバンテージ(T-34はIV号改型のように超信地旋回が出来ない)でずっと小回りの効くのが【クアトロ・スペツァル】の強みだ。


不器用に旋回する間に真後ろ(チェック・シックス:王手詰みの6時方向)に付かれ、高命中精度の砲撃でエンジンを撃ち抜かれて止まるか、あるいは薄い砲塔後部を射抜かれる……

いや、それ以前に方向転換の際に隙ができやすく、無防備な背後や脇腹を狙われて炎上する車両すらあった。


何れにせよ、最後はグツグツと煮え立つ【魔女の大釜】の具材にされるのは確定だろう。




では、ジグザグに走れば……


確かに敵主砲の命中率は格段に下がるかもしれないが、その分距離が稼げずに折角の速度差を生かしきれず(何しろ追い掛けるミコ達は直線の最短距離で迫ってくる)、程無く捕捉され同じく75mm砲弾で刻まれて具材の仲間入りだ。


文字通り、鍋に放り込まれるのが遅いか早いかの違いでしか無い。




☆☆☆




史実では登場当時、"無敵の戦車"のように書かれる事の多いT-34だが、特に42年型以前のモデルは基本性能は高いが機械的な欠点が少ない戦車という訳では無かった。


むしろ驚くべきは、機械的な欠点や弱点を年を重ねる度に是正あるいは改善/克服し続けたソビエト戦車開発の底力だろう。




しかし、PPG世界ではアメリカの後ろ楯を得て底上げされたプロイセンも、決して陸軍国として負けてはいない。


後に【T-34キラー】と呼ばれるティーガー/パンターを次々とロールアウトし、また既存のIV号戦車とてその一角を担えるように進化させたのだ。


少なくとも現用のプロイセン戦車でT-34に手も足もでない物は、帳簿上では存在しない筈だった。


そして、命がけの"リアル鬼ごっこ"の結果……




『こちら装甲哨戒小隊【ツーク・フューラー(小隊長車)】。【バタリオン・シャンツェ(大隊指揮所)】へ。状況終了。敵残存車両0。繰り返す。敵残存車両0』




ミコは冷静に事実のみを報告するのだった。










**********




彼女達……ミコワルツェ・ヴァレンシュタイン少尉に率いられた"小さな戦車隊"は、"小さな戦争"における小さな"完全勝利"を収めた。




後に【第二次世界大戦】と呼ばれどの国の教科書にも"歴史的事実"と書かれることになる一連の大戦争の中で、【第二次冬戦争】はそれを構成する1パートに過ぎない。


そしてその中の一幕……1戦車小隊と1戦車中隊の、名前すら着かないような小競り合いなど、それこそ数奇者(すきもの)四方山噺(よもやまばなし)に出てくれば御の字だろう。


だが、ミコ達は知っている。


どんな小さな戦いでも、自分達に敗北は許されないと……


華々しい大戦(おおいくさ)での巨大な勝利は勿論のこと、地味で地道な勝利を重ねて行かなければ、自分達の祖国、ロシア革命の混乱を突き、共産主義を拒絶して産声をあげた【フィンランド】に明日はない……




その事を誰よりも解っていたのが、常にソ連という超大国と正面から向き合い、前線で戦うミコを初めとしたスオミ将兵達だったのだから……











**********




さて、ミコ達が完全なる"小さな勝利"を確定した頃……


「ハァイ♪」


「は、はぁい」


グルジア生まれのウクライナ育ちというややこしい経歴のウラジミール曹長は、にこやかに微笑む女性に75mm48口径長砲を突き付けられていた。


一応、状況説明は必要だろう。


ウラジミールが雪原を寒さに背中を丸めながら歩いていたら、近場の雪溜まりの影から突如として戦車(しかもさっきまで戦ってきたのと同じ物)が飛び出し、唖然としてる間にキューポラから上半身出した美女の指示で砲塔が回転して、ピタリと主砲を向けられたいう……


きっと、書いてる方以上にウラジミールが何が起こったのか分からず混乱してるだろう。


「出来れば銃を捨てて貰えないかしら? 私も渋い中年のハンサムさんを、木っ端微塵にはしたくないんですよぉ?」


肩にかかるふわふわの柔らかそうなやや茶色がかった金髪に、穏やかそうな表情……


おおよそ戦場には似つかわしくはない風貌の優しげな美人だったが、不思議とこれといった油断や隙のような物は見当たらなかった。




「あ、ああ。特に断る理由もなけりゃ、断れる状況でもねぇわな」


そうウラジミールは"ペイペイシャー"のアダ名で知られる短機関銃を雪上へ投げた。


勿論、腰のホルスターに下げた同じ弾丸を使うトカレフTT-33拳銃やナイフも同じようにゆっくりとした動作で捨てた。


「賢明な判断に感謝しますわ♪」


そうにこやかに微笑む美女にウラジミールは、


「殉じてあの世に逝けるほど、共産主義にもスターリンにも義理も愛着もねぇさ」


「本当に賢明ですわね☆」


彼女はふにゃっと笑い、


「貴官の降伏を認めますよ♪ 声明と階級を名乗って頂けますか?」




(なんつーか、やりにくいネーチャンだなぁ……)


単純な兵力差(?)ではなく、ようやく少女から女という年頃に脱皮しそうな雰囲気の女流前線装甲指揮官に、ウラジミールは毒気を抜かれたような気分になり、


「【ウラジミール・フルシチョフ】。階級はソビエト赤軍の曹長だ」


「うふふ♪ 素直な殿方は大好きですわ。では、フルシチョフ曹長……」


彼女はコホンと咳払いをすると、


「貴方の戦争は、今ここで終わりましたわ。おめでとうございます♪」










**********




ウラジミールは困惑していた。


彼は特に身柄を拘束される事もなく、


「少し小さいかもしれませんが」


とソ連製のそれより遥かに上質な防寒外套を手渡され、砲塔の上に座らされてるのだ。


ウラジミールにしてみれば見慣れない状況じゃない。


今回のミッションは強行偵察だからたまたま乗せて無かっただけで、ソ連ではタンクに……分厚い外側に鈴なりにへばりつき、"肉装甲"として敵陣に戦車共々突撃する【跨乗歩兵(タンク・デサント兵)】など珍しくもないのだから。


ただレアなのは、デサント……腰掛けてるのがプロイセン生まれのフィンランド戦車の砲塔の上だという事と、暇なのか車長用キューポラから上半身を乗り出した装甲隊長らしき人物……多分、美人と表現しても世界人口の半分は納得しそうな美人が、気さくに話し掛けてくるこのシチュエーションだ。


普通なら、尋問かと思えるシチュエーションだが……


「それでね、ミコちゃんから敵装甲偵察中隊発見の報と、応援要請が来たからせぇ〜っかくお姉ちゃんが自前の直轄中隊引き連れて慌てて援軍に来たのに、着いた時にはと〜っくに追撃戦に移ってて散々食い散らかした後なんて酷いと思わない?」


単に"ウラジミール"が愚痴られていた(笑)




「いや、あのよ……」


「なに?」


ウラジミールは困惑を隠そうともせず、


「アンタは何者だよ? というかミコって誰よ?」


「ああ、そっか。まだ自己紹介してなかったっけ?」


すっかり打ち解けた様子(ただし、一方的なようだが……)の彼女は、


「私は【エルフリーデ・ヴァレンシュタイン】。こう見えてもフィンランド陸軍大尉で、陸軍総司令部直轄独立戦車大隊【パンツァー・フロイライン】の隊長よ♪」




☆☆☆




「【III突の魔女(ヴェーヂマ)】……マヂかよ」


思わず引きつるウラジミールだったが、


「あら♪ ロシアではそう呼ばれてる? 中々言い得て妙ね♪」


何故か上機嫌に笑うエルフリーデだが、


「でもウラジミールさん、きっと貴方もいずれ"不死身"とかってアダ名が付くわよ? きっとね」


「あん? なんでだ?」


彼女は笑みをチシャ猫のようなそれに変えて、


「だって"あの"ミコちゃんの【全力全壊突撃】から生き残ったんですもの♪ それだけで貴方の実力、あるいは武運を高く評価しますわ☆」




☆☆☆




「……本気で、そのミコちゃんとやらは何者なんだよ……?」


冬戦争で"魔女"と恐れられたエルフリーデがここまで高く評価する相手……ウラジミールはつい興味本意で聞いてしまう。


「ミコちゃんは、私を基準にするなら、そうねぇ〜……前線装甲指揮官としての適性はざっと二倍、戦意や果敢さ……というより"獰猛さ"に至っては私の二乗倍はありそうな、」


エルフリーデは実に楽しげに、


「貴方の中隊をプチッと潰滅させた小隊の隊長、"自慢の妹"です♪」




☆☆☆




「おまっ、それどんな……」


リアクションに困るウラジミールにエルフリーデは、


「クスクス♪ 多分、私が【III突の魔女】なら、ミコちゃんはさしずめ【雪原の機甲魔女(パンツァー・ヘクセン)】って感じかな?」




その時、噂のミコから再び連絡が入り、これより残敵掃倒を確認したので、帰投許可が欲しいと告げられた。


無論、エルフリーデは二つ返事で了承し、自らの中隊も帰投すると発令する。


ウラジミールは、「聞くんじゃなかったかな?」と少し後悔しながら、


「【ミコワルツェ・ヴァレンシュタイン】……【雪原のパンツァー・ヘクセン】、か」


頭に浮かんだのは、後ろ姿を息を殺して盗み見た、あのKVをスクラップにした戦車に座乗していた少女……


エルフリーデに聞いた外観的な特徴にぴたりと一致したから、おそらく間違いないだろう。


(次に殺り合ったら命はねぇだろうな……)


不思議とそんな確信が合った。




(本当に俺は幸運なのかもな……)


間違っても再戦したい相手じゃない。


そして、今はやけに遠く感じる祖国の兵は、"これから"ミコと殺り合うのだ。


少なくとも、搬送されるだろうフィンランドの捕虜収容所から脱走でもしない限り、自分にババは回ってこない。


そして、それに安堵してる自分も確かにいるのだ……




(確かにエルフリーデの言う通り、)


「俺の戦争は終わったのかもな……」


気がつくと、ウラジミールは苦笑していた。


きっと自分の現金さに笑ってしまったのだろう。


だが、その笑顔は厚い雪雲の上に広がる空のように晴れやかだったという。









Episode【FAP01】


Mission All Completed.


Do you want more stories?


Yes/No






皆様、ご愛読ありがとうございましたm(__)m


【Fraulein Angriff und Panzer(突撃お嬢、激闘ス!!)】のエピソードFAP01は如何だったでしょうか?(;^_^A


皆様の応援もあり、何とかエピソード・ファイナルまで走り抜けてこられましたm(__)m


まだ、キャラクター・シート(主要キャラ四人)やメカニック・シートなんかも残ってますが、一先ず着陸することが出来ました。




正直、エピソードFAP02はいつ開始するかは解りませんが、変わらぬ暖かい応援をしていただけたらと願っています(;^_^A


エルフリーデ

「次こそはお姉ちゃん目立つぞぉーっ!!」


いや、君は最後の最後で美味しいとこかっさらったじゃん(;□;)!!


初登場なのに(汗)




なんかネクスト・エピソードやるならゴチャっとキャラが増えそうな気もしますが(汗)、気長にお待ち頂ければ幸いですm(__)m




では、また皆様にお会いできる事を祈りながら(__)





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