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FAP01:第09弾 "ガンパレード!!"


皆様、こんにちわ~♪


ようやく土曜日、朝からまったりできるの久しぶりな暮灘です(^^;


さてさて、いよいよ雪上バトルの決着エピソードですね~♪


いや、ホントここまで来るの長かった(^_^;)


ユッタ

「狙い撃つZE!ッスよ~!」


おお、ユッタか。

てことは、これで一巡したのかぁ~(しみじみ……)


ユッタ

「へへへ~♪ ミコ隊長とユッタの"ラヴラヴ鋼破雪驚砲"が見事に決まったッス!」


嘘を言うな。嘘を(^^;

んなオプション、【クアトロ・スペツァル】にゃついてねぇって(笑)


ユッタ

「似たような物じゃないですかぁ♪」


間違っても金色に光ったり、砲弾に紋章浮かんだりしないからな?


ユッタ

「残念ッス……」


あのな(^_^;)

暮灘とて【デビル・スターリン】とか書きたくないぞ?


自己修復/増殖/進化するISシリーズなんてイヤ過ぎる(汗)




何はともあれ、いよいよ決着!


もし、"熱さ"みたいな物が伝われば嬉しいッス♪








「いっけぇぇぇーーーっ!!」


サラの雄叫びと共に、【クアトロ・スペツァル】は滑りにくい戦車の身でありながら、30tを軽く超える車体を【制御されたスリップ】……【ドリフト走法】で横滑りさせ、KVの斜め後方へとスライドさせた!




☆☆☆




「よしっ!」


そして、正面を向けたままKVの横に滑りこむ車体の中で、


「ユッタちゃん、逝けそうっ!?」


ミコはユッタの照準器から標的が外れぬよう、電気油圧駆動の砲塔旋回装置を動かし続けていた。


そして、砲撃に邪魔な車体の動きが止まると……


「もうすぐッス……もうすぐイケそ……」


ジャイロにより縦横二軸安定化された合致式照準器から片時も目を離さず、瞬きすら忘れながら誤解を招く台詞をハァハァと息を乱しながら呟いたユッタは……


「今ッス!!」


KVから短機関銃を抱えた戦車兵がハッチから身を乗り出した瞬間、


「ファイエル!!」




"ドムッ!!"




☆☆☆




ユッタがトリガーを引くと同時にオート・スレイブ型の照準器同調撃発装置が作動し、人間が知覚できるかできないかのタイム・ラグの後に重量4.1kgのAPCR-T弾を990m/sで射出する!



「やばいっ!!」


キューポラから上半身を出していたウラジミール赤軍曹長が、反射的に下半身もKV戦車より抜いき、転がり落ちるように飛び降りた刹那……


"ガボッ……!"


今度こそPzGr40は、正面や側面に比べれば比較的薄い砲塔後面の装甲を食い破り、恐らくは自慢の分厚い装甲故に外には出られずに48口径長砲に与えられた運動エネルギーが0になるまで内部で跳ね回り……


「ぐぇっ!?」


その過程で内部にいる赤軍紳士諸兄をただの赤い細切れに変えてゆく。


"がくんっ"


そして、乗組員がこの世から解放された事を示すように、KVの長76.2mm砲が項垂(うなだ)れるように下がったのだった……









**********




「やった……やったよ! ミコ隊長!! あの鉄板の化物(レヴァイアサン)を倒したッスよ!!」


はしゃぐユッタだが、ミコは彼女にしては厳しい表情を変えないまま、


「まだ油断しちゃだよ! 不用意に警戒解いて、倒した筈の手負いに逆襲されて死んだ人間は多いんだよ……狩猟でも戦争でも」


ミコは最後は囁くように声を小さくし、


「ハンナちゃん、次弾装填! 弾種"PzGr39(APCBC-HE-T)"!」


「ヤボールですわ!」


元々予備命令でいつでも次弾を装填できるように待機していたハンナは、返事と同時に寧ろ優雅さすら感じる手つきで新しい75mm砲弾を薬室に装填し……


「サラちゃんは何時でも後退できる準備を!」


「ヤー!」


サラの短い返事を聞くと最後にミコは、


「ユッタちゃん、先弾が穿った破孔を狙ってもう一度砲撃!……二度とわたし達に牙を剥かないように、きっちりトドメ刺すよ?」




普通は、敵の装甲内部に入り込んだ徹甲弾は内部を跳ね回り、戦車兵達を殺傷……時には人肉ミンチに変えるのだが、どういう加減かそうならない場合もある。


「ヤボール!! 流石ミコ隊長! 油断ないッス!」


ミコは小さく頷き、


「ファイエル!」




☆☆☆




それは正しく


【鬼のような砲撃】


だった。

鬼のように"正確無比"と言えるかもしれないし、或いは鬼のように"情け容赦ない"砲撃だったのかもしれない。


どちらかと言えば後者の気がする。




【PzGr39】は、種別的には【低空気抵抗被帽付"徹甲榴弾"】ないし【低空気抵抗被帽"炸裂徹甲弾"】と呼ばれる類の砲弾だった。


装甲を食い破る事に特化したガチな徹甲弾のPzGr40に比べると貫通力こそかなり劣るが、砲弾内部に炸薬(爆薬)が仕込まれている事が最大の違いだ。


装甲を撃ち抜く事を前提としたPzGr39は、その内蔵炸薬量自体は大した事はない。

精々、手榴弾に毛が生えたような物だ。




しかし、戦車の分厚い装甲の中には、人間のように"柔らかい目標"や、各種砲弾や燃料など爆発物や可燃物に事欠かない。


そんな半ば密閉された場所に、手榴弾が音速の倍以上の速度で飛び込めばどうなるか……?


ましてや、それが先のPzGr40が撃ち込まれ穿たれた場所に、ほぼ寸分違わぬ場所に命中すれば……






"DuWwauoooooN!!"










**********




おそらくそれは、KV-1が搭載していた砲弾への誘爆……


一瞬、KVの厚い装甲が内側から一気に膨れたように見え、刹那の後にに目と耳に届いた盛大な爆炎と轟音……


如何に42年型KV-1がソ連自慢の頑強な(こしら)えを誇るとしても、数十発の搭載砲弾全てが連鎖誘爆(チェーン・ファイヤ)してしまえばどうにもならない。


爆圧が限界を超えたのか重さを感じさせるように妙にゆっくりと砲塔が吹き飛び、ガランガランと音をたて落下した後に捻れ裂けた砲身と共にスオミの雪原に転がった……




そう、それはまさに戦闘力を完全に喪失した"残骸"だ。

ここまで確認してからミコは、


「こちら【ツーク・アイン(小隊1号車)】。敵、中隊長車の撃破に成功せりっ!!」




☆☆☆




『『『『わぁぁぁぁ〜〜〜っ!!!』』』』


通信に繋がっていた小隊全ての戦車から上がる大喝采!!


だが、ここがミコが【新米らしかぬ】と言われ続けた所以でもあるのだが……


「みんなっ! 今までよく頑張って耐えてくれたねっ! でも、戦闘はまだ終わった訳じゃない……ううん」


ミコは小さく首を振り、


「これからがわたし達の逆襲の時間だよ!!」


彼女は再び車長用キューポラから身を乗り出すと……


「状況は"残敵掃倒戦"に移行!!」


誇らしげにそう宣言するのだった!




☆☆☆




「小隊全車両に告ぐ…… 残る赤色戦車を全て殲滅せよっ!! 繰り返す! 全て殲滅せよっ!!」


微笑みと呼ぶには獰猛過ぎる表情を浮かべながら、


「スオミに土足で踏みいった罪、その命で支払ってもらおっ!!」




『『『『ヤボール! ツーク・フューラー!!』(了解しました! 小隊長殿っ!!)』』』

炎のような戦意溢れた返答にミコは満足しながら、今度は小隊長車に、


「パンツァー・フォー!!」


よく知った仲間……戦友達の返答と同時にミコの【クアトロ・スペツァル】は戦列に戻る為にスピードを上げる。


火照った頬に、硝煙混じりのスオミの冷たい風が妙に心地好いと感じていた……











**********




既に戦いの趨勢は決していた。


政治将校……"粛清屋"チェンコスキー中尉の恐怖により保たれていた統制は、KV-1が原型を止めない程に爆発した事により、同時に崩壊していたのだ。


また、数の少なさを逆手にとり、動きや位置からミコが判断した【敵の小隊長車らしき戦車】を最優先で撃破した事が、今になってソビエト偵察中隊の戦況悪化に拍車をかけていた。


そして、残存していたT-34は最悪の決断を下してしまったのだった……




『ミコ、敵さんどうやら逃げにかかったみたいだよん♪』


そんな感じで気だるさと楽しさの中間のような声で通信を繋いできたのは、ちみっこい肢体に明るい赤毛のツインテールを組み合わせたツリ目の"お凸娘(おでこ)"、【ツーク・ツヴァイ(小隊2号車)】の車長で同時に小隊副長も兼任する……


「了解だよ。"アンジー"ちゃん!」


"アンジー"こと【アンジェリカ・ヤヴェリナ】曹長であった。


ついでに言えばフィンランドではなくバルト三国の一つ、お隣の"エストニア"の生まれらしい。




『そろそろ頃合いじゃね?』


見かけはミコ以上に幼いが、その戦術眼はミコに"一級品"と言われるほど確かで、また指揮センスもかなり高い。


実はミコがKV-1にかかりきりだった間、変わって小隊の指揮を代行してたのが彼女、アンジェリカだった。


「そうだね……」


アンジェリカの言葉は、ミコが待ちに待った瞬間が寸前に来ている事を告げていた。


「全員、傾聴してっ!!」


ミコは高らかに、


「敵は既に壊走を始めた! 古来より撤退する敵を叩く"追撃戦"は最も効率的な攻勢戦術の一つ……だからっ!!」


彼女は小さな胸一杯に大きく息を吸うと、


「【オール・バンディッツ! ガンパレード!!(小隊全車! 追撃を開始せよっ!!)】」



☆☆☆




『ヤボール! 【ツーク・ツヴァイ】、ガンパレード!!』


アンジェリカの追従と共に、


『ヤボール! 【ツーク・ドライ(小隊3号車)】、ガンパレード!!』


3号車に続いて4号車、5号車も【ガンパレード】の名乗りをあげる!


どうやら無傷とは言えないまでも、小隊全車が追撃可能な状態にあることにミコは安堵しながら、


「【ツーク・アイン】、ガンパレード!!」


心底楽しそうに号令をかけるのだった……








**********




【ガンパレード】


それは、彼女達をはじめごくローカル通じる"追撃の号令"だった。


誰が最初に言い出したのかは分からないが……というか、こんな台詞を面白半分でなく面白"全部"に考えつきそうな人物をミコ……【ミコワルツェ・ヴァレンシュタイン】は一人しか心当たりが無かったので、おそらく【エルフリーデ・ヴァレンシュタイン】あたりから広まったのだろうと辺りをつけていた。


とはいえ、姉の口から出た言葉にしては、ガリガリSAN値が削られない……寧ろ耳触りが悪くなく、響きもいい為にミコもここぞと言う時に好んで使っていた。




☆☆☆




そんな病的な程に勇ましい彼女達を見送る、一対の視線があった……


「やれやれ……どうやら生き残れたみてぇだな?」


雪溜まりの影に潜んでいたヒゲの男……


そう、PzGr40が装甲を食い破る直前に、文字通りKVのキューポラから転がり出た【ウラジミール】曹長だった。


「それにしても……」


ウラジミールは、そばにPPsh1941短機関銃を置くと懐からタバコ……自家巻の"マホルカ"を取り出して火をつける。


「俺達は、あんな娘っ子に負けたのか……」


紫煙を吐き出しながらウラジミールは、キューポラから上半身を乗り出し、プロイセンの機甲将校もかくやという凛とした姿を見せていたミコ(と言っても彼はその名を知るはずもないが)を思い出し、


「まだ熟れる前で堅そうだったが……悪くないケツだったな」


彼は苦笑する。

苦笑しながら、


「どうりで俺が惑わされる筈だ」




☆☆☆




(さて、どうしたもんか?)


マホルカを根元まで吸いきったウラジミールは、思案にくれる。


(なんだかんだ言っても、俺はツイてるって事か……)


偶然、敵砲弾が車内に飛び込む前に飛び出す事ができた。


更にKVの爆風に巻き込まれたが、破片が自分に突き刺さる前に吹き飛び、柔らかい雪溜まりへ頭から飛び込んだ。


あとは見つからない事を祈り(何に祈ったのかは知らないが)ながら、ひたすら"災厄"が通り過ぎるのを隠れ待ってただけだ。




(ついさっきまで、俺は世界最大級の戦車長だった筈だが)


「俺のエモノも随分と可愛らしくなっちまったもんだな」


苦くなった笑みを消すこともなく、ウラジミールは短機関銃を片手に立ち上がる。


ここが敵地で、極寒の雪原だという事を考えれば、あまりに頼りない装備だが、


(少なくとも俺はまだ生きてる……!)


だから、既に死んじまった奴等よりは、よほど


(ツキがあるって事か?)


そう信じて、ウラジミールは歩き出すのだった。







次回へと続く







皆様、ご愛読ありがとうございましたm(__)m


【軍馬vs化物】のファイナル・ガンファイトは如何だったでしょうか?(^^;


しかも、最後はガンパレード(汗)



ミコ

「ようやくお仕事終わりそうだよ~♪」


おおっ。

トドメの一発をキッチリ入れた、"戦車外道(笑)娘"ではないか。


ミコ

「戦車外道って……(汗)」


いや、まさにぴったりかと(笑)

追撃もガッツリ逝ってたし(^_^;)


ミコ

「それでも、手を抜いたり敵に情けをかけて、自分や仲間が天に召されるよりずぅ~っとマシだよ……」


まあね(^^;

さて、いよいよ雪上バトルもいよいよラスト、ミコから何かある?


ミコ

「ここまで読んでくれてありがとうございます♪ エピソードはもうすぐ終わりだけど、最後まで付き合ってくださると、ワタシも嬉しいよ♪」




それでは皆様、また次回お会いできる事を祈りつつ(__)





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