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まるいつき
仮面を被った人びとが踊っている。
空は黒くて、月が丸くて、
その真ん中で僕が一人、膝を抱えて蹲っていた。
不思議と辺りは明るく、彼等が纏う装束の細やかな絵柄の1つ1つを、じっと見つめて。
単純な図形の1つ1つが組み合わさって出来たフラクタルが、目まぐるしく、ぐるぐると回って行ったり来たり、
次第に眠くなってきて。
それでも僕は眠っちゃいけないと思ったんだ。
結局眠ってしまったけれど。
決して、眠っちゃいけないと、
そう、思ったんだ。
仮面が回る、回る、回る。
その中心、
温かい月光の中、静かに眠り続けた。




