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coincide
コインを投入してください。
無機質な機械音声が、僕に命じる。
折角ゲームセンターに来たのだから、何かやっていこうと思っていた。丁度良さげなシューティングゲームだし、当然、プレイする気だったのだが。
こうも、傲慢に命令されると、途端に冷めてしまう。我ながら捻くれた性分だと、ほとほと呆れ果てる。けれど、僕の捻くれは、冷めたまま、止める事すら許さない。
コインを入れ起動すると、いかにも安っぽいオープニングが流れる。コスプレをしたおっさん二人が、学園祭の出し物並みの演劇を披露する。ゲームが始まって出てきた敵は写真を貼り付けただけの蝙蝠で、いよいよ駄目な雰囲気を醸し出す。
しかも、連射機能が無い。
そしてやたらと高難易度だ。
ゲームオーバーの文字を背にして筐体を去る。
そして、一緒に来ていた店主を連れてきて、プレイを促す。
彼はクリアした。
ムカついたので、一発殴った。




