糞垂れ流して、
外国に居た。
とりあえず英語圏内のようだが、具体的な場 所は分からない。
僕はあるお店でバイトをしているのだが、その店主が厄介者で兎に角言う事を聞かない。
今日だって、彼が駄々を捏ねて飯を喰わないので、朝作ったとろろ昆布丼を僕は二杯食べたのだ。
まあ、彼の駄々はいつもだが、それにしたって今回のは酷い。失恋だかなんだか知らないが、彼は落ち込んでいるようだ。
向かいの店に買い出しに行くと、気の良いオバさんが居て、「早く、元気になるといいわね、」という一言。そうですね。あのままでは困る。
昼飯を渡すため彼の部屋の前へと、僕のノックは二三回。木製の硬質な響きの気持ちよさと言ったら。
彼は何も言わず扉の隙間から紙切れを出して、「キャビアを食べたい」
キャビアを求めて三千里、海へ。
船頭さん、キャビアは有りますか。
「簡単に言うことじゃないよ、有るけどね」
僕は手持ちの金を出して、乞う。
くださいな。「はい、毎度あり。たりないけどね」
キャビアを持って帰路のはるばる。
僕が帰って来ると彼は卵かけご飯を食べていて、「御免ね、お腹が空いてしまった。さあ、キャビアを食べよう」
僕は溜息をついて、言う。
実は帰って来る前に、すべて食べて仕舞いました。




