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このメールを受け取った彼はやはり「わかった」と一言安請け合いした。彼のそういう所を僕は敬愛して止まない。

そう言えば、いつだったか、僕は君に化学や数学、に対する臨床心理学の学問的本質の違いについて話した気がするが、今考えると、あれは大分間違いが有ったように思う。僕はいつも話す時、より分かり易く、短くしようとする余りに、簡略化し過ぎてしまい、矛盾の混じった事を説いてしまうのだ。反省する事しきりである。兎も角、僕はあの時、恐らく心理学について論じてしまったように思う。あれは、大問題だ。だが、敢えて修正したり、最初から説き直すような事はしない。あれは、あれで、君にとっては良かった気がするのだ。君のように生きる事を、君のように考える事を、僕はとても羨ましく思い、尊敬している。(はたまたこれも僕の勝手な思い込みであり、一方通行な物であるのかもしれないが)それはわざわざ僕の自己満足によって干渉するべき物ではないと、思うのだ。(やはりそれも自己満足だが)人間という奴はどうにもこうにも、君のように、幸せを自ら求める、正直な生き方は簡単には出来ないようになっている。であるからして君のように純粋な人間というの

はとても貴重である。誇って良い。僕が数年掛かって考え、得た意見である、恐らくよっぽどな事が無い限り、覆される事は無い、と思う。まあ、僕の事であるからあてにならないが。駄弁をたらたらと述べていたらもう空は暗く成ってしまった。月は出ているのだろうか。出ていようが、いるまいが、僕は月を見たりしないのだが。僕は、あの月だとか、惑星だとかの、曲線的形質に酷い嫌悪感を覚える。見ていると、呑まれ、溶かされているような気分になり、嘔吐しそうになる。しかし、どういうわけか、あの表面の拡大写真などを見ると、僕が愛して止まない、金属的形質を持っているのである。ああいったネジの捻れのような金属的形質は僕が最も愛する物なのだ。また、そういった形質は君が持ち合わせていない、また君が嫌う物なのだ。どうせ君はこの様に長く無駄の多い文章など読まないだろう。僕も、また其れが良いと思う。どうせ意味なんか無いのだ。全てはアンコエランなのだ。それでいいのだ。夢は深く成り、歪みを増した。僕は寝る事にする。とうとう一日なにもしない

ままだった。


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