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虫潰
どーでもいいけどさ。
虫が、這っている。
だからどうしたという訳ではないが、何故だか目を惹かれる。
私の机の上を、ゆっくり、ゆっくりと、のそのそ。
虫が机の端まで行ってしまうと、私はそれを摘み、机の中心に戻す。虫は何が起こったか分かって無いらしく、また、ゆっくり、ゆっくり、のそのそ。
その動作を数回行った後。
何を思ったか私は、動けないように、人差し指で虫を抑えた。
身体を収縮し、必死に歩こうとする虫。ただ、それを見ていた。
その時、私は、虫を抑える以外の事は全く考えていなかった。
「じゃあ、全楽、この問題、解いてみろ」
授業中だって事も忘れてた。
私は先生の言葉に驚いて、手を滑らせた。
「……ぁ」
「何だ?やってないのか?」
人差し指は綺麗に虫の胴体を潰していた。
緑の液体でべとべとの人差し指。
ペロッと。
結構美味しかった。
虫の死体をゴミ箱に捨てた。
舐めた人差し指が、まだべとべとしているので、
私は、虫を飼おうと思った。
まー、別にどうでもいいけど。




