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07)リアン(上)

あらあら、ここは何処かしらね?

ペール達と隠れん坊していた貴方は案の定、迷子になってしまったわ。


「おかしいなぁ。上に向かって歩いてたはずなのに、いつの間に地下に来たの?」


…何言ってるのよ、明らかに下り坂を降りたじゃない。


「そうだっけ?」


本気で言ってるの?ノエル。バカねぇ。


「バカ言うな」


アタシなら帰り道分かるけれど、教えてあげなぁ〜い。


「この悪魔!」


悪魔だもの。

それとも、条件によっては教えてあげても良いわよぉ?


「…どうせ、不幸なこと起こすつもりでしょ?」


もちろんよv


「…っせぇな!!」

ひ、ひどいわノエルちゃん…!

うるさいだなんて。


「私じゃない!」


じゃあ、だれ?

貴方は地下の先を見たわ。


「誰か居る。隠れて!」


ああん、またそうやって無理矢理ハンドバッグに押し込むんだから〜。


「だ、だれか居るの?」


わずかに震える声で貴方は叫んだわ。


「女の声だな?こっちに来い。下だ、その辺に階段が見えるだろ」


あるわね。ほら、そこの突き当たりよ。

面白そうだから、行ってみない?


「帰り道知ってるかな」


そうそう。さあ、早く行ってみましょう?


「うん」


そして貴方は下へ下へと階段を降りていったわ。

辺りはちょっと薄暗いわね。

壁にあるランプの油が嫌な臭いを振りまいてるわ。

それが唯一の明かりよ。


「よぉ」


片手を上げてそう言ったのは、意外に若い男よ。

突き当たりには牢屋があって、彼はその向こう側に居るわ。

身なりも汚いし、無精ひげ生やしてる。

長い間ここに居たみたいね。


「囚人?」


アタシと同じ臭いがするわ。


「ユーリと同じじゃあ、良い人ではないね」


そうね。否定はしないわよ。


「こんな所に来るとは、さてはアンタ迷子だろ」


図星だわねぇ。


「俺の頭ン中には、城の地図が全部入ってんだ。教えてやっても良いぜぇ?」


「本っっ気でユーリと同じ事言うのね」


「ユーリ?さっき話していた、もう一つの声か?」


「しまった」


バカね。そんな言い方したら、肯定してるようなものじゃない。


「ふーん。なんかヤバイ秘密なんだな」


ニヤリと男は悪だくみした顔で笑ったわ。

背中がぞくりとする悪っぽさが良い感じだわねぇ。


「良くない!」


「こっちに来な」


貴方は手招きされて後ずさるわ。

ま、当然よね。


「安心しろ。言うことを聞けば、帰り道も話し相手のことも秘密にしてやる」


「…本当に?」


「女神アルテナの名に誓って」


行っちゃえば?あっちは牢屋の中だしさぁ。

何にも出来ないわよぉ?

――それとも、アタシに帰り道聞きたぁい??


「…わかった。そっち行く」


貴方は渋々牢屋に近づいてくわ。

石畳が無くなって、ただの土に変わるから、靴の音が無くなっていく。

ぬかるんでるから、ちょっと気持ち悪そうねぇ。


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